イザベル・コイシェ監督の作品だ。昨年ひっそりと公開されたとても素敵な作品である。
先日ようやく見た。DVDになったのは知っていたけど、なかなか手に取ることが出来なかった。あまり自己主張しない映画だから(僕がそう思っているだけだけど)どうしても後回しになる。
やはり、素敵だった。予想通りの作品で、胸一杯になる。見てよかった、と素直に思える。ほんの少し勇気を出したな . . . 本文を読む
実は1ヶ月くらい前に見た映画なのだ。公開されてすぐに見に行った。でも、あまり面白くなかったからここには書かなかったのだ。だけど、たまたま今、時間があるし、書くネタもないし、ということで、この映画のことを思い出した、というわけだ。かなり期待したからかもしれないけど、見た時の脱力感はすごかった。きっとめちゃくちゃ書きそうで怯んだこともある。まぁ、今なら少しは冷静に書けそうだ。
妄想女 . . . 本文を読む
名古屋の劇団である。学校団体での公演としてはめずらしい。学校にセールスに来るのは、大阪の劇団や、東京の劇団が多い。なかなか地方での学校公演の出来る劇団はない。しかも、この素材である。勇気がある。
ドストエフスキーの大作をなんと2時間の作品としてまとめた。膨大な原作からお話をダイジェストにするだけではなく、1本の完結した作品にして提示したのは凄い。
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どんどんさりげなくなっていく。武田さんの描く世界が、である。けれんもなくただ日常の風景を淡々と綴る。そんな芝居になる。だから今回は野外ではなく劇場を選択した、というふうに考えることもできる。いつもなら9月の野外公演が入るところなのに、今年は2月に続いてウイングでの劇場公演をする。もちろん諸事情からこうなったのだろうが、これはこれで悪くはない。
昭和40年代、とある . . . 本文を読む
いまどきこんな映画が劇場で公開されているなんて、驚きだ。しかも、一応東映系公開である。今年の東映映画は70年代に戻ったようなプログラムが、しかも何の告知もなくいきなり登場してきてびっくりすることばかり。先日の『全員、片思い』もそうだし、これもそう。公開から1週間で1日1回程度の上映になるくらいの不入り。
結構力を入れたはずの作品も、閑古鳥。6月公開の『探偵ミタライの事件簿 青籠の海』なんていうプ . . . 本文を読む
パンデミックを描くのだが、SF的なアプローチではなく、しかもピンポイントで描くから、なんだか新鮮でリアル。高校生が死の病になる。10代限定で感染する。隔離され死んでいくのを待つ。どうして自分たちはこんな運命に至るのか。悩み苦しむけど、理由はない。たまたまそうなっただけ。だから、今はなっていない人も戦々恐々。いつ、どうなるかなんてわからないからだ。現実にこんなことが起きたならパニックになるより何より . . . 本文を読む
今年の高校生向け課題図書として選定された作品である。(そんなことよりも、まず、これが額賀澪の新作である、というところで手に取るけど。)昨年の松本清張賞受賞作となった彼女のデビュー作『屋上のウインドノーツ』は、「なぜ、これが松本清張?」と思わせるような普通の青春小説だった。まぁ、青春なんてものがミステリだと言われたら、たしかに、とも思うけど、でも、なんだかなぁ、と思った。もちろん、作品自体には文句は . . . 本文を読む
夏の恒例となるあみゅーずによる「しゃば・ダバ。だぁ リーディング」。なんと今回で6回目の夏になる。本公演を20年以上連続11月にこなし、それだけでも凄いことなのに、たまたまイレギュラーで始めた(たぶん)リーディングをこんなにも律儀に毎年続け、それもまた恒例のものにしてしまうなんて、なかなか出来ることではない。
条さんと笠嶋さんは決してムリをしているわけではない。とても自然体で、楽しそうに公演を積 . . . 本文を読む
今年の2月公開でガンガン宣伝していたのに、公開直前に起きた修学旅行のバス事故のあおりを受けて公開延期になっていたのだが、ようやく4カ月遅れで上映が始まった。確かにあの時期この映画の公開は不可能だっただろう。あまりにもドンピシャで、驚くばかりだった。修学旅行のバス事故で高校生が死んで地獄に行く話なのだから。しかも、こういうバカバカしい内容の映画だし。(まぁ、そこは関係ないかぁ)
ア . . . 本文を読む
中学のなぎなた部を舞台にした青春スポーツ小説。最近この手の小説はよくあるパターンで食傷気味なのだが、これがまた、他とは違っておもしろい。マイナースポーツを描くのだが、そこをことさら強調するわけではない。自然だ。マイナーであることの悲哀とか、ましてやスポ根でもなく、部活もの一番基本である友情、勝利、ライバル(少年ジャンプですかぁ)とかいうようなものでもなく、自然体でどこにでいるような . . . 本文を読む
「片思い」をテーマにした7つの短編ならなるオムニバス映画。安易な企画かと思ったが、これがなかなか丁寧で、しっかりした映画だった。今では落ちぶれた中年ミュージシャン(加藤雅也)がDJをしているラジオ番組に新企画で、「片思い」を綴った投稿をリスナーから募り、毎週1本紹介していく。映画はその7週間の放送を再現するというスタイル。加藤はつなぎとして登場するのではなく、彼とラ . . . 本文を読む
創立50周年シリーズ第3弾である。今回は20年前に上演した作品をリメイクする。昭和41年という時間が舞台となる。高度成長期の日本で、やがて時代から取り残されることになる「おんぼろ下宿」が舞台となる。日本がどんどん豊かになる時代に、そんなこととはまるで無縁な人たちもいる。でも、彼らは彼らなりの夢を抱いている。
これは夢についてのお話だ。夢を語ることは . . . 本文を読む
夢の中で過ごす3日間を描く長編小説。ふたつの中編小説からなる・どちらも150ページほど、と同じ長さ。その中で、同じ時、同じ場所にいた別々のふたりの姿を描く。台風によってこの街に閉じ込められたようなのだが、それもまた夢のお話で、彼らは自分が夢を見ていて、ここは夢の中の世界だと知っているけど、その中から出ようとしない。
ハルとダイチは知らない者同士で、これまで会ったこ . . . 本文を読む
ハレンチキャラメルは神原さんが10年前、春の演劇まつりに初めて参加した時、旗揚げした集団、だったらしい。当日パンフを見て知った。というか、気づいた。まぁ、そんなこと、気にも留めてなかったけど。(その年は僕が春演の審査、講評を引き受けた最初の年だったから、今年はハレンチキャラメルの10周年であるばかりでなく、春演の審査員として10年になるということなのだ。まぁ、そんなことは個人的なお話で恐縮なのです . . . 本文を読む
何がなんだか、よくわからない。でも、この不思議な世界に引き込まれる。田舎の国道沿い。車の中に鍵を入れたまま、ドアをロックした男(もう少しで40歳になるヤンキー)とその年の離れた彼女(まだ高校生)。そんなふたりと、彼らのいる駐車場にあるコンビニ。(というか、彼らはコンビニの駐車場にいるのだが)そのなかで、引き継ぎをしている朝番と夜番のバイト。そんなふたつの風景を交互に描く。でも、その . . . 本文を読む