とてもよく出来た脚本(朝田大輝)だと思う。お話として面白いだけではなく、そこには可能性があるからだ。アレンジ次第でいろんなものに化ける。そんな本だと思った。それを演出の丑田さんは、丁寧にテンションを下げて描く。これをハイテンションに演出したなら別の芝居になる。そうすることで、コミカルな作品として楽しいものにも処理可能だ。だが、そうはしない。重くなりすぎたら失敗する。難しいのはそのバ . . . 本文を読む
重松清の小説の映画化なのだが、とてもじゃないが、これはいつもの重松小説のテイストではない。ここにはまず荒井晴彦の脚本があり、彼の嫌らしいタッチに世界は染め上げられてある。優しくて元気になれる重松文学のストーリーは骨格として残ったが、それは荒井脚本によってまるで別次元に連れて行かれる。そしてさらにはそれが三島有起子監督の力でさらに別次元の時空へと投げ出される。結果、このルックからは想 . . . 本文を読む
25周年記念作品。(第3弾、だけど) 今回の作品が記念作品としては最大の大作で、なんとキャストも25人集めた。(もちろん、たぶん、わざと)2時間10分の大作。見る前には、ド派手で、剣劇シーン満載のアーサー王伝説を描くアクション大作だろう、と勝手に決めつけていたら、なんと暗黒の中学時代を描く重くて、キツくて、暗い作品で驚く。
葬儀のシーンから始まる。主人公の男(有馬 . . . 本文を読む
今年のジャッキーはなんと3作品。初夏の『レイルロードタイガー』に続いて今月にはこの映画が公開された。(さらには12月『カンフー・ヨガ』というコメディーもある。劇場ではもう早々と予告編をしていた)
この今回の作品は本国(香港ではなく、たぶん「中国」)では、なんとジャッキー映画史上最大のヒットだという話で、期待が高まる。しかも監督はなんとあのレニー・ハーリンなのである . . . 本文を読む
久々のジャームッシュの新作。最近ご無沙汰だったけど、これは文句なしの大傑作だ。『デッドマン』くらいから作品が減って、あまり面白くなくなっていたけど、今回はその不在の時間を補ってあまりある。初めて見た彼の映画、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』そして、『ダウン・バイ・ロー』さらには『ミステリー・トレイン』の衝撃を思い出させてくれる。あの頃、彼の映画を見ることは最高の喜びだった。何も . . . 本文を読む
2人芝居。どこにでもいるような2人の女の子たちの恋バナ。20歳を目前に控えた2人はほんのちょっと恋に臆病。彼女たちはルームシェアしているなかよし同士。奥手の女の子の初めての恋を、耳年増のもうひとりの女の子が見守り、応援する、という図式。でも、2人の友情が、間に入った男の子のせいで壊れていく。
演じる2人の女の子たちがとてもいい。正直言うと、芝居を見始めた最初少しがっかりした。 . . . 本文を読む
女の子たちが全力で演じている。まず、役を演じるのではなく、最初にシンクロありき、だ。芝居はその後に付いてくる。これだけの演技をするために、どれだけの練習をしたことだろうか。水の中で演じるシンクロナイズドスイミングを舞台上でみせるという離れ業をやりきるのは並大抵ではない。中途半端をしたならお笑い草にしかならない。まず彼女たちは本当にシンクロをやり遂げなくては成立しない。そのとても高い . . . 本文を読む
もう、思いもしない面白さに驚嘆。噂には聞いていたけど、ここまでとは、思わなかった。先日の『スパイダーマン ホームカミング』といい、これといい、あきらめていたところから奇跡が始まる。昨今は「ヒーローもの」の映画ばかりでウンザリしていたはずなのに、こういう新機軸が登場すると、まだまだ、このジャンルには可能性があったのかと、嬉しくなる。(ただ、この2本が徒花にならないことを祈る)
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オリジナルは45分。それを90分の長編にした。なんと2倍。どこをどう膨らませて、新しい展開を見せてくれるのか。オリジナルのテイストをどこまで生かし切れるのか、興味津々で、見たのだが、予想通り惨敗。
それほど、実写のアニメ化(その反対も含む)は、思った以上に難しい。というか、最初からそんなことはわかっている。そんな無謀なことはするべきではないし、もしするのなら、それ . . . 本文を読む
昨年『日本のいちばん長い日』を作った原田眞人監督が念願の司馬遼太郎『関が原』に挑む。これは彼のキャリアにおいても最大の挑戦だろのう。スケールだけではなく、前作でただの群像劇ではなく、そこで昭和天皇の存在を真正面から描き、日本が大きく揺れた1日のドキュメントではなく、あの戦争が日本人にとって何だったのか、に迫った彼が、次に満を持して天下分け目の大合戦に挑むのは、当然の推移だ。石田三成 . . . 本文を読む