1967年
順調に仕上がっている中日投手陣のなかで、いまいちばん調子がいいのが二年生の鳥谷だ。特設ブルペンで毎日目を光らせている西沢監督も、そのスピードとコントロールのよさに驚きの表情。近藤ピッチング・コーチは「現段階では小川とともに抜群。この調子で伸びてくれれば、紅白戦、オープン戦でどんどんテストする」と期待している。鳥谷は昨年、福岡県立築上中部高から中日入り。九州では本格派の剛球投手として知られ、中日吉江代表も村山ばりの力投にほれ込んだが、松山キャンプではパッとせず、ついに公式戦のマウンドを踏む機会を一度も得られなかった。そんな鳥谷がやっと頭角を現してきたのは昨年、中日球場で行われた秋季練習のとき、球質が重く、えげつないシュートがよく決まって若手打者を大いに悩ませたものだ。秋季練習で自信をつけた鳥谷は、一月十日から十九日までの十日間、大分県中津市で門岡、豊永、秋元らの九州組と合同トレーニングし、からだづくりに専念。そしてキャンプインと同時にビュンビュンとばした。好調の原因は、こんなところにあるようだ。昨年に比べてよくなった点は、ストレートのコントロールがよくなったことだと、鳥谷は言う。確かに内外角低めにタマがよく決まっている。あとは、このキャンプで決めダマシュートのコントロールをよくすることだろう。「まだシュートが思い切って投げられない。打者のアゴにぶつけるような気がしてこわいんです。でもぼくが一軍ベンチにはいるには、やはりシュートのマスターが先決だと思う。キャンプの課題にします。若いんだから、これからもビュンビュンとばしますよ。ベテランに追いつかれないだけの自信はあります」と、一軍入りのチャンスにヒトミを輝かせる。「球質が重いだけでなく、切れもいい。シュートを武器にする投手はウチにも少ないだけに、鳥谷が出てきてくれたら大助かりだ」と、西沢監督が鳥谷の成長にひそかな望みをかけるのも無理はない。はたして昨年の北角のように思わぬ戦力になりうるかどうか。ことしの鳥谷は楽しみな存在だといえる。
順調に仕上がっている中日投手陣のなかで、いまいちばん調子がいいのが二年生の鳥谷だ。特設ブルペンで毎日目を光らせている西沢監督も、そのスピードとコントロールのよさに驚きの表情。近藤ピッチング・コーチは「現段階では小川とともに抜群。この調子で伸びてくれれば、紅白戦、オープン戦でどんどんテストする」と期待している。鳥谷は昨年、福岡県立築上中部高から中日入り。九州では本格派の剛球投手として知られ、中日吉江代表も村山ばりの力投にほれ込んだが、松山キャンプではパッとせず、ついに公式戦のマウンドを踏む機会を一度も得られなかった。そんな鳥谷がやっと頭角を現してきたのは昨年、中日球場で行われた秋季練習のとき、球質が重く、えげつないシュートがよく決まって若手打者を大いに悩ませたものだ。秋季練習で自信をつけた鳥谷は、一月十日から十九日までの十日間、大分県中津市で門岡、豊永、秋元らの九州組と合同トレーニングし、からだづくりに専念。そしてキャンプインと同時にビュンビュンとばした。好調の原因は、こんなところにあるようだ。昨年に比べてよくなった点は、ストレートのコントロールがよくなったことだと、鳥谷は言う。確かに内外角低めにタマがよく決まっている。あとは、このキャンプで決めダマシュートのコントロールをよくすることだろう。「まだシュートが思い切って投げられない。打者のアゴにぶつけるような気がしてこわいんです。でもぼくが一軍ベンチにはいるには、やはりシュートのマスターが先決だと思う。キャンプの課題にします。若いんだから、これからもビュンビュンとばしますよ。ベテランに追いつかれないだけの自信はあります」と、一軍入りのチャンスにヒトミを輝かせる。「球質が重いだけでなく、切れもいい。シュートを武器にする投手はウチにも少ないだけに、鳥谷が出てきてくれたら大助かりだ」と、西沢監督が鳥谷の成長にひそかな望みをかけるのも無理はない。はたして昨年の北角のように思わぬ戦力になりうるかどうか。ことしの鳥谷は楽しみな存在だといえる。