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サインを見ると '84 とある。家事の合間に3週くらいかけて仕上げた。 30号である。子どもにばかり目がいき、いらぬ口出しをしそうになる。 絵を描くことで、グッとおさえていた若い日の私がいる。
師には7年間ついた。 仲間と会をぬけ、自分たちだけでつづけた。 やがて第三者の評価が欲しくなり、 知る人もない県展に挑戦する。 縁故もなく応募し入選した。
浅い絵だ、入るはずがない。 でもこんなに打ち込んだ、 もしかしたら などと思いめぐらせ鬱々とする日々。 通知があるまで惑いはつづく。 世の中まで暗くみえてくる。
発表の日、 跳びあがって喜んだ。 嘘のように晴れる風景、ぬける青空。 はっきり覚えている。 友がみんなで祝ってくれた。
ことしも届いたクワイを見ながら、このごろ飾ることもない絵をひっぱり出してきた。 何もかも新鮮に映った21年まえ、 こういうときめき、 まだ続いているだろうか