のこされた手紙を 読みかえす
顔も思いだせないけれど
いくつになっても 父が恋しい
葉書だけで 想像する
肉声を聴くような気がして なんどでも読む
ほんとうは どんな声で話したの
年をとったお父さんは どんな匂い?
どんな貌 どんな性格…
どんな趣味を持って
困ったときは どんなアドバイスして
怠けていたら どんな風に叱るの
父を奪った戦争を ぜったい許さない
お骨もない 遺品もない 思い出もない
わたしは 戦争を憎む