二年前 もういらないというので 一閑張の小箱をいただいてきた。
朱塗りと 金泥の牡丹が気に入って。 これを作った人 長いこと使っていた人
あたたかな心が通いあう。
葉脈も繊細… すかさず蝶もやってくる。 何を入れようかな…
いっかんばり… なつかしい手しごとが窺える。 あれは墨入れだったか 筥であったか 塵取のたぐいなど渋色がほとんどで 幼い頃は ずいぶん眼にしていた。
いただいた箱は8×10.5㎝ もとは 琴爪など入れていたらしい。
木型に和紙を貼りかさね、 型を抜いて表面に漆を塗ったものだ。
思い出すのは次男の夏休み。 小学2年だった。
自由課題に面作りをした。 膨らませた風船に大きく千切って濡らした新聞紙を、何枚も貼り重ねる。 充分乾燥させて中の空気を抜くだけで面の下地ができた。 眼の部分を開けて色づけ、 鼻はまっ赤に塗ったピンポン球 大きな口を描いて ピエロの面は上出来だった。 これと 工程はおなじだろうか。
江戸前期に中国から帰化した 飛来一閑の考案といわれるところから一閑張りと呼ばれるようになった と。 多く茶道具に用いられる漆器のひとつ。
貴方がたはとくと考えられたことがあるでしょうか、
今も日本が素晴らしい手仕事の国であるということを… 柳 宗悦
だいじにしたい。
漆を手がける娘の仕事を見ていて、塗り重ね研ぐ大変さは木彫の比ではありませんので。
大切にしてあげてください。朱漆も時代が付いていい味ですね。
芸術ご一家の、またひとつ、すてきなお仕事ですね。鏡面のようなしあげまで。小さなものにも込める技、その工程を思うと捨てられません。
こちらこそ、お目に留まって本望です。連れてこられて記事になるとは思いませんでした と。