さいたま芸術劇場で映画を見ました。
「遠くを見ることなんか忘れていました」 ヒロインのせりふです。目先ばかり気にしているところへ、「心を開いて!」 と言われた気がしました。
ものがたりは 以下パンフレットより抜粋
売れない作家・孝夫と、妻で有能な医者・美智子は、東京を離れて孝夫の故郷、信州に移り住む。それは、美智子が原因不明のパニック障害になり、都会での生活に耐えられなくなったためだ。
ふたりは死者が祭られた阿弥陀堂に住む96歳の老婆・おうめを訪ねる。そこで喋ることが出来ない難病とたたかう少女・小百合と出会う。少女はおうめ婆さんから聞いた話をもとにコラムを書いていた。それは村の広報誌に「阿弥陀堂だより」として連載されている。
「雪が降ると山と里の境がなくなり、どこも白一色になります。山の奥にあるご先祖様たちの住むあの世と、里のこの世の境がなくなって、どちらがどちらだかわからなくなるのが冬です」
やがて美智子は無医村だった村で診療所を開き、医者としての自信と責任をすこしずつ取り戻していく…。
心を病んだ妻の回復を静かに見守る夫の姿を通して、現代人が忘れかけた日本の原風景、信州の大自然と、そこに暮らす人々とのふれあいを描いている。
気になるセリフが随所にあった 「姿は(その人の)心を映すのです」
奥信濃の懐かしくもうつくしい四季の変化は 「春、夏、秋、冬、人の一生に似ている」 「今をよく生きることが よく死ぬこと」と教わります。
「天上大風」 良寛
ロシアの詩人 プーシキンの一節も こころに響きます
「日々の命の営みが、時にあなたを欺いたとて、悲しみを、また、憤りを抱いてはいけない。
悲しい日には心を穏やかに保ちなさい。きっと再び喜びの日が訪れるから。
心はいつも行く末の中に生きる。今あるものは、すずろに寂しい思いを呼ぶ。
人の世のなべてのものは束の間に流れ去る。流れ去るものは、やがて懐かしいものとなる」
とにかく自然の美しさを堪能し 人の一生と、やがて命を終えること。しみじみと母を思い、重ねました。 そして 主人公といっしょに生きる喜びを感じることができました。