家へ帰れない人たちの楽しみにと、高校生の吹奏楽部が
慰問演奏に来ていた。しかしいるはずの人の多くは
風呂へ行ったり、片付けに出たりで閑散としている。
それでも吹奏楽部は音出しの練習をして、人々が帰って
くるのを待っていた。
帰ってくる場所、ではない。
けれども、行くところ、がない。
白河市中央体育館には白河市内在住の被災者と浪江町
から避難してきた方々百余名がおられた。すでに会津
の受入れ先へ移動した方もいるので体育館内はブルー
シートの空きが目立った。
先月までは布団と衣類と人で埋め尽くされていたブルー
が見えている今が、良くなったと言えるのかどうか…、
何が変わったともいえないのが現状である。
どうしたらいいかと思案に暮れる大人をよそにお菓子を
パクつく女の子たち。撮らないでよ、撮ってよ、あたし
が前よー、と元気がいい。笑顔だった。
おしゃべり、ずっとしていた。
救われたのはこっち側である。でも子どもとて何も知ら
ないわけでもないのを感じる。子どもの力はわからない
でいられることなんだろう。それに大人は救われる。
支援物資を届けに行くと衣類は要らないといわれたが、
よく確かめてみると、管理にあたっている人の意見であり、
被災の当事者たちは欲しいし必要であることがわかった。
特に着の身着のままで逃げてきた浪江町(その他原発
から避難の人々)の人にとって無い無いづくしだった。
古着も集めて頂いたんです、要らないと言った人はたぶん
言葉がちょっと足りなかっただけで…とフォローした人。
何を話ししても頭を下げられる。
近くまで行って耳を傾けないかぎり聞こえない声、今は
それを聞くときなのだと思う。
私たちは古着ではなく新品を届けているが要らないと何度
も言われ、要る人を捜し歩いたのだった。
(註:古着はボロという意味ではないので)
今回も支援でいただいた菓子類が非常に喜ばれた。
宇都宮の宮司さんが尽力下さったラスクと日光の老舗
ひしやの羊羹はどこも大好評で、おおおっとどよめき
笑いがこぼれる。
付添いの人に駄菓子の袋をあけてもらい行儀よく待つ
子たち。大人もお茶だけよりおやつはありがたい。
必要最低の物資や食物を配るだけで足りるとする官の
考えは、人が生きて暮らすということと隔たりがある、
実際に足を運べばいつもそう思うのであった。
誰だってどこだって、同じだ。
自分が欲しいものは人も欲しい。
自分がうれしいものは人もうれしい、単純、素直なら
わかるんじゃないか?ちょっとした想像力で。
果物はないな、ずっと食べていないみたいだな…、
そうだ、缶詰ならどうにかなるだろう。ミカン缶、
杏仁缶、桃缶、いろいろあるけど同じ物を持ち寄りで
集めれば箱いっぱいになるだろ、とりあえずどれで
行く? 帰りの車の中でカメがそう言った。
う~ん、まずはミカンから行きましょう、一番手に
入りやすいから。そう言ったうさこは戻ってすぐに
メールリストで手配した。
次回はミカン缶詰1個、杏仁入り豆缶1個、合計2個
持ち寄りであーるよ、と。
今日の森は野鳥がよくさえずっていた。
ひさしぶりだった。窓を開け、鳥の声を聞いたのは。
慰問演奏に来ていた。しかしいるはずの人の多くは
風呂へ行ったり、片付けに出たりで閑散としている。
それでも吹奏楽部は音出しの練習をして、人々が帰って
くるのを待っていた。
帰ってくる場所、ではない。
けれども、行くところ、がない。
白河市中央体育館には白河市内在住の被災者と浪江町
から避難してきた方々百余名がおられた。すでに会津
の受入れ先へ移動した方もいるので体育館内はブルー
シートの空きが目立った。
先月までは布団と衣類と人で埋め尽くされていたブルー
が見えている今が、良くなったと言えるのかどうか…、
何が変わったともいえないのが現状である。
どうしたらいいかと思案に暮れる大人をよそにお菓子を
パクつく女の子たち。撮らないでよ、撮ってよ、あたし
が前よー、と元気がいい。笑顔だった。
おしゃべり、ずっとしていた。
救われたのはこっち側である。でも子どもとて何も知ら
ないわけでもないのを感じる。子どもの力はわからない
でいられることなんだろう。それに大人は救われる。
支援物資を届けに行くと衣類は要らないといわれたが、
よく確かめてみると、管理にあたっている人の意見であり、
被災の当事者たちは欲しいし必要であることがわかった。
特に着の身着のままで逃げてきた浪江町(その他原発
から避難の人々)の人にとって無い無いづくしだった。
古着も集めて頂いたんです、要らないと言った人はたぶん
言葉がちょっと足りなかっただけで…とフォローした人。
何を話ししても頭を下げられる。
近くまで行って耳を傾けないかぎり聞こえない声、今は
それを聞くときなのだと思う。
私たちは古着ではなく新品を届けているが要らないと何度
も言われ、要る人を捜し歩いたのだった。
(註:古着はボロという意味ではないので)
今回も支援でいただいた菓子類が非常に喜ばれた。
宇都宮の宮司さんが尽力下さったラスクと日光の老舗
ひしやの羊羹はどこも大好評で、おおおっとどよめき
笑いがこぼれる。
付添いの人に駄菓子の袋をあけてもらい行儀よく待つ
子たち。大人もお茶だけよりおやつはありがたい。
必要最低の物資や食物を配るだけで足りるとする官の
考えは、人が生きて暮らすということと隔たりがある、
実際に足を運べばいつもそう思うのであった。
誰だってどこだって、同じだ。
自分が欲しいものは人も欲しい。
自分がうれしいものは人もうれしい、単純、素直なら
わかるんじゃないか?ちょっとした想像力で。
果物はないな、ずっと食べていないみたいだな…、
そうだ、缶詰ならどうにかなるだろう。ミカン缶、
杏仁缶、桃缶、いろいろあるけど同じ物を持ち寄りで
集めれば箱いっぱいになるだろ、とりあえずどれで
行く? 帰りの車の中でカメがそう言った。
う~ん、まずはミカンから行きましょう、一番手に
入りやすいから。そう言ったうさこは戻ってすぐに
メールリストで手配した。
次回はミカン缶詰1個、杏仁入り豆缶1個、合計2個
持ち寄りであーるよ、と。
今日の森は野鳥がよくさえずっていた。
ひさしぶりだった。窓を開け、鳥の声を聞いたのは。