8月は、長い夏休みを取りながらも、リオ・オリンピックとポケモンGOのおかげで読書量が伸びなかった。
それで一応25冊、「新潮文庫の100冊」「カドフェス」「ナツイチ」チャレンジ中のため、文庫本中心の読書になった。
まずは新潮文庫が4冊。
◆ウィニー・ザ・プー (A.A.ミルン)
あの阿川佐和子さんの新訳「くまのプーさん」。ほのぼの平和で愛おしい森のお話でした。
ウイニー・ザ・プーって元々ディズニーのキャラじゃなかったんだ。
◆マイ国家 (星新一)
毎度おなじみのショート・ショート。毎年「新潮文庫の100冊」で1冊読むことになるのだが、今年のこれはなかなかに面白く、読みやすかった。
◆土の中の子供 (中村文則)
芥川賞受賞作。中村さんらしい、不条理で暗いお話で、短い割には読むのに苦労した。
孤児としての虐待体験から破滅願望を抱くに至ってしまった青年。パートナー?の白湯子もこれまた似た者同士。ラストに少しだけ救いを感じる。
◆とにかくうちに帰ります (津村希久子)
職場の日常を淡々と、でもユーモラスに描いた短編集。
「職場の作法」の鳥飼早智子さんといい、「とにかくうちに、、」のハラさんといい、細かいこだわりがリアル。
角川文庫が8冊。
◆二十四の瞳 (壺井栄)
名作ですよね。恥ずかしながら初読みでした。
地面にへばりついて生きているような貧しい過疎の寒村も、否応なしに時代に飲み込まれていく。なすすべもなく運命に翻弄される子供たち、こんな風景が日本のいたるところにあったのでしょう。
こういう時代があったということをしっかり心に留めておかなければ。
◆ホーンテッド・キャンパス (櫛木理宇)
ホラーといいながらほとんどホラーではない。ジャニーズ系で映画になるのも納得の学園青春物語。ラノベ感覚でお気軽に読めます。
◆新訳 かがみの国のアリス (ルイス・キャロル)
トランプの「不思議の国のアリス」に続きチェスの「鏡の国のアリス」を読んだのですが、さらに難解。お子様向けのつばさ文庫の新訳で読んで良かった。OKAMAさんの挿絵がラノベっぽくて良い。
それにしてもこの英語の言葉遊びは、原書で読まにゃわからないなー。
◆不道徳教育講座 (三島由紀夫)
高校生の時以来の再読。当時三島に強い興味を持っていたのは、やはりあの自衛隊駐屯地での割腹自殺ゆえだと思う。
「痴漢を歓迎すべし」とか、当時共感を感じたものが結構しっかり記憶に残っている。さすがに昭和の香りがして、今だとちょっと顰蹙ものの話もありながら、結論としては逆説的に常識として納得できてしまうものが多い。
しかし、このユーモア溢れるエッセイと、観念的で難解な小説と、あの衝撃的な最期、この3つがどうもつながらない、不思議な人だった。
◆小説 君の名は。 (新海誠)
こういうお話はラストですべてが決まると思うのですが、ちょっと普通すぎるかな。
でも、映画も見てみたいと思わせる作品でした。
◆にぎやかな未来 (筒井康隆)
星新一さんばりのショート・ショート。
昭和47年だから、もう40年以上前の本だけど、そん色なく面白い。
◆告白予行練習 (藤谷燈子)
角川ビーンズ文庫。どうしてわざわざこじらすかな。おじさんにはちょっと無理でした。
◆心霊探偵八雲 ANOTHER FILES いつわりの樹 (神永学)
ホラーなのかミステリーなのか、このシリーズはどうもちょっと苦手で感情移入ができない。
集英社文庫が4冊。
◆宇和島の鯛めしは生卵入りだった ニッポンぶらり旅 (太田和彦)
居酒屋好き、お一人様好きなので、こういうのあこがれる。仕事を引退したらぜひやりたい。
◆ああ言えばこう食う (阿川佐和子・檀ふみ)
結婚、家族、そして食事を題材に女性同士の絶妙の掛け合い、さばさばとした、吹っ切れた女の友情。面白く読ませていただきました。
◆初恋温泉 (吉田修一)
「初恋温泉」は離婚係争中の妻、「白雪温泉」はおしゃべりな夫婦、「ためらいの湯」はお互いに家庭がある不倫カップル、「風来温泉」は仕事中毒ゆえの夫婦喧嘩で一人温泉を訪れた男、「純情温泉」は高校生カップルの初お泊り、温泉にまつわる短編が6編。
「純情温泉」の二人がカワイイ。
◆ここはボツコニアン 1 (宮部みゆき)
なぜ宮部みゆきさんがこれを!?趣味で楽しんで書いたのだろうけど、ラノベとしてはちょっと浅い感じがしました。やはり餅屋は餅屋。
芥川賞、直木賞受賞作が3冊。
◆海の見える理髪店(荻原浩)
第155回直木賞受賞の短編集。「海の見える理髪店」「いつか来た道」「遠くから来た手紙」「空は今日もスカイ」「時のない時計」「成人式」、抑制の効いた切ない物語だけど、やはり表題作が一番良かった。
主人は、いつから分かっていたのだろうか。やはり最初っからかな。
◆スクラップ・アンド・ビルド(羽田圭介)
歳をとるにつれ、尊厳死について考えてしまう。自分の人生は自分の作品であり、その作品の最期を、自分が自分でなくなって汚したくないと、102歳まで生きた祖父をみて真剣にそう思った。といいながらも何も決意できずにその時がきて、この小説のように哀しい喜劇を繰り広げてしまうような気もする。
身につまされる小説でした。
◆サラバ! 下(西加奈子)
上巻は7月に読んだのだけど、月をまたいでしまいました。
男の友情物語であり、家族の絆の話であり、最後に自分の内面に帰ってくる、、、なんか、こう、疾走感のある小説でした。
西さん自身、テヘラン生まれ、カイロ育ちでお兄さんがいるんですね。自分を重ねながら長いのを書いたってことか。
話はあちこちに飛んでまとまりがないのですが、理屈抜きに面白くて、読みだしたら止まりませんでした。
ミステリーが2作品。
◆ブラック・ヴィーナス 投資の女神(城山真一)
第14回このミス!大賞受賞作。
ヒロインの茜があまりにも超人的過ぎてリアリティなし、少年漫画みたいな話で、どうしてこれが大賞?と思いながら読んでいたのですが、後半は一転納得の展開。ありえないながらもエンタメ全開のミステリーで、一気読みでした。
投資というとっつきにくい題材ながら難しい要素は抜きでエンディングも単純明快。娯楽作品として良いのではないで0しょうか。
◆アメリカ最後の実験(宮内悠介)
難関音楽学校に挑む受験生たちの友情、音楽とはゲームか、神秘的で世の中を変えうるものか、親子の絆とは、そしてネイティブ・アメリカンとアメリカという国が抱える問題、これに殺人事件が絡むという盛ったお話。
私は音楽に造詣がないので正直実感としてよくわからない部分も多かったが、めちゃくちゃ盛りだくさんの割には、全体を流れるトーンは軽妙で読みやすい。これもテーマがジャズという音楽ゆえか。
久々の物語シリーズ新刊!
■撫物語 (西尾維新)
緻密に伏線が組み立てられてきたこのシリーズも、オフシーズンに入って「愚物語」「業物語」と崩れ、これまでかなと思い始めたところだった。
今回の千石撫子のターンは、羽川翼の「猫物語(白)」、神原駿河の「花物語」と並んで中々の秀作。脇役にもきっちりけじめをつけさせてくれました。
おと撫子、媚撫子、逆撫子、神撫子、自分の過去と向き合うのはつらくてむずかしいもの。撫子ちゃん、意外なスキルも身に着け、強くなりました。途中出場の余接ちゃんも大活躍。
蛇足ですが扉絵のベリーショートの今撫子が異常にカワイイ。
なぜか秩父の三十四か所巡礼にはまってしまって、、、関連本を3冊。
◆元気になれる 秩父おへんろさんぽ (さとうみゆき)
ほのぼのとした秩父お遍路漫画。
スタンプラリーみたいな気分で先を急いでしまった分、見落としてしまったところもあり、やや後悔。残りの11か所は、この本の著者のように、レトロな秩父の街も散歩しながら、ゆっくり巡りたいと思います。
◆てくてく巡礼~秩父札所三十四ヶ所観音霊場&三峯神社~(蛸山めがね)
◆秩父三十四ヵ所を歩く旅―自然に包まれた遍路道 (山と渓谷社)
それで一応25冊、「新潮文庫の100冊」「カドフェス」「ナツイチ」チャレンジ中のため、文庫本中心の読書になった。
まずは新潮文庫が4冊。
◆ウィニー・ザ・プー (A.A.ミルン)
あの阿川佐和子さんの新訳「くまのプーさん」。ほのぼの平和で愛おしい森のお話でした。
ウイニー・ザ・プーって元々ディズニーのキャラじゃなかったんだ。
◆マイ国家 (星新一)
毎度おなじみのショート・ショート。毎年「新潮文庫の100冊」で1冊読むことになるのだが、今年のこれはなかなかに面白く、読みやすかった。
◆土の中の子供 (中村文則)
芥川賞受賞作。中村さんらしい、不条理で暗いお話で、短い割には読むのに苦労した。
孤児としての虐待体験から破滅願望を抱くに至ってしまった青年。パートナー?の白湯子もこれまた似た者同士。ラストに少しだけ救いを感じる。
◆とにかくうちに帰ります (津村希久子)
職場の日常を淡々と、でもユーモラスに描いた短編集。
「職場の作法」の鳥飼早智子さんといい、「とにかくうちに、、」のハラさんといい、細かいこだわりがリアル。
角川文庫が8冊。
◆二十四の瞳 (壺井栄)
名作ですよね。恥ずかしながら初読みでした。
地面にへばりついて生きているような貧しい過疎の寒村も、否応なしに時代に飲み込まれていく。なすすべもなく運命に翻弄される子供たち、こんな風景が日本のいたるところにあったのでしょう。
こういう時代があったということをしっかり心に留めておかなければ。
◆ホーンテッド・キャンパス (櫛木理宇)
ホラーといいながらほとんどホラーではない。ジャニーズ系で映画になるのも納得の学園青春物語。ラノベ感覚でお気軽に読めます。
◆新訳 かがみの国のアリス (ルイス・キャロル)
トランプの「不思議の国のアリス」に続きチェスの「鏡の国のアリス」を読んだのですが、さらに難解。お子様向けのつばさ文庫の新訳で読んで良かった。OKAMAさんの挿絵がラノベっぽくて良い。
それにしてもこの英語の言葉遊びは、原書で読まにゃわからないなー。
◆不道徳教育講座 (三島由紀夫)
高校生の時以来の再読。当時三島に強い興味を持っていたのは、やはりあの自衛隊駐屯地での割腹自殺ゆえだと思う。
「痴漢を歓迎すべし」とか、当時共感を感じたものが結構しっかり記憶に残っている。さすがに昭和の香りがして、今だとちょっと顰蹙ものの話もありながら、結論としては逆説的に常識として納得できてしまうものが多い。
しかし、このユーモア溢れるエッセイと、観念的で難解な小説と、あの衝撃的な最期、この3つがどうもつながらない、不思議な人だった。
◆小説 君の名は。 (新海誠)
こういうお話はラストですべてが決まると思うのですが、ちょっと普通すぎるかな。
でも、映画も見てみたいと思わせる作品でした。
◆にぎやかな未来 (筒井康隆)
星新一さんばりのショート・ショート。
昭和47年だから、もう40年以上前の本だけど、そん色なく面白い。
◆告白予行練習 (藤谷燈子)
角川ビーンズ文庫。どうしてわざわざこじらすかな。おじさんにはちょっと無理でした。
◆心霊探偵八雲 ANOTHER FILES いつわりの樹 (神永学)
ホラーなのかミステリーなのか、このシリーズはどうもちょっと苦手で感情移入ができない。
集英社文庫が4冊。
◆宇和島の鯛めしは生卵入りだった ニッポンぶらり旅 (太田和彦)
居酒屋好き、お一人様好きなので、こういうのあこがれる。仕事を引退したらぜひやりたい。
◆ああ言えばこう食う (阿川佐和子・檀ふみ)
結婚、家族、そして食事を題材に女性同士の絶妙の掛け合い、さばさばとした、吹っ切れた女の友情。面白く読ませていただきました。
◆初恋温泉 (吉田修一)
「初恋温泉」は離婚係争中の妻、「白雪温泉」はおしゃべりな夫婦、「ためらいの湯」はお互いに家庭がある不倫カップル、「風来温泉」は仕事中毒ゆえの夫婦喧嘩で一人温泉を訪れた男、「純情温泉」は高校生カップルの初お泊り、温泉にまつわる短編が6編。
「純情温泉」の二人がカワイイ。
◆ここはボツコニアン 1 (宮部みゆき)
なぜ宮部みゆきさんがこれを!?趣味で楽しんで書いたのだろうけど、ラノベとしてはちょっと浅い感じがしました。やはり餅屋は餅屋。
芥川賞、直木賞受賞作が3冊。
◆海の見える理髪店(荻原浩)
第155回直木賞受賞の短編集。「海の見える理髪店」「いつか来た道」「遠くから来た手紙」「空は今日もスカイ」「時のない時計」「成人式」、抑制の効いた切ない物語だけど、やはり表題作が一番良かった。
主人は、いつから分かっていたのだろうか。やはり最初っからかな。
◆スクラップ・アンド・ビルド(羽田圭介)
歳をとるにつれ、尊厳死について考えてしまう。自分の人生は自分の作品であり、その作品の最期を、自分が自分でなくなって汚したくないと、102歳まで生きた祖父をみて真剣にそう思った。といいながらも何も決意できずにその時がきて、この小説のように哀しい喜劇を繰り広げてしまうような気もする。
身につまされる小説でした。
◆サラバ! 下(西加奈子)
上巻は7月に読んだのだけど、月をまたいでしまいました。
男の友情物語であり、家族の絆の話であり、最後に自分の内面に帰ってくる、、、なんか、こう、疾走感のある小説でした。
西さん自身、テヘラン生まれ、カイロ育ちでお兄さんがいるんですね。自分を重ねながら長いのを書いたってことか。
話はあちこちに飛んでまとまりがないのですが、理屈抜きに面白くて、読みだしたら止まりませんでした。
ミステリーが2作品。
◆ブラック・ヴィーナス 投資の女神(城山真一)
第14回このミス!大賞受賞作。
ヒロインの茜があまりにも超人的過ぎてリアリティなし、少年漫画みたいな話で、どうしてこれが大賞?と思いながら読んでいたのですが、後半は一転納得の展開。ありえないながらもエンタメ全開のミステリーで、一気読みでした。
投資というとっつきにくい題材ながら難しい要素は抜きでエンディングも単純明快。娯楽作品として良いのではないで0しょうか。
◆アメリカ最後の実験(宮内悠介)
難関音楽学校に挑む受験生たちの友情、音楽とはゲームか、神秘的で世の中を変えうるものか、親子の絆とは、そしてネイティブ・アメリカンとアメリカという国が抱える問題、これに殺人事件が絡むという盛ったお話。
私は音楽に造詣がないので正直実感としてよくわからない部分も多かったが、めちゃくちゃ盛りだくさんの割には、全体を流れるトーンは軽妙で読みやすい。これもテーマがジャズという音楽ゆえか。
久々の物語シリーズ新刊!
■撫物語 (西尾維新)
緻密に伏線が組み立てられてきたこのシリーズも、オフシーズンに入って「愚物語」「業物語」と崩れ、これまでかなと思い始めたところだった。
今回の千石撫子のターンは、羽川翼の「猫物語(白)」、神原駿河の「花物語」と並んで中々の秀作。脇役にもきっちりけじめをつけさせてくれました。
おと撫子、媚撫子、逆撫子、神撫子、自分の過去と向き合うのはつらくてむずかしいもの。撫子ちゃん、意外なスキルも身に着け、強くなりました。途中出場の余接ちゃんも大活躍。
蛇足ですが扉絵のベリーショートの今撫子が異常にカワイイ。
なぜか秩父の三十四か所巡礼にはまってしまって、、、関連本を3冊。
◆元気になれる 秩父おへんろさんぽ (さとうみゆき)
ほのぼのとした秩父お遍路漫画。
スタンプラリーみたいな気分で先を急いでしまった分、見落としてしまったところもあり、やや後悔。残りの11か所は、この本の著者のように、レトロな秩父の街も散歩しながら、ゆっくり巡りたいと思います。
◆てくてく巡礼~秩父札所三十四ヶ所観音霊場&三峯神社~(蛸山めがね)
◆秩父三十四ヵ所を歩く旅―自然に包まれた遍路道 (山と渓谷社)
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