ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

「永遠の0」

2014-02-05 23:59:29 | 映画
最近映画が評判になっているので、改めて読んでみました。
本の帯に「発売から半年…ついにこの感動が広まり始めました」とあるので、初読は2010年かな。3年半ぶりの再読ということになります。
でも、結構細部まで話を覚えていたので、それだけ初読から感動的な本だったということなのでしょう。

日露戦争を最後に修羅場から離れ、官僚化してしまった軍部。
同じく日露戦争で戦争を煽れば発行部数は伸びると知り、その後も商業主義に走った新聞。
この両者が民主主義がまだ未熟だった日本をあの戦争に走らせたという武田(主人公・宮部久蔵が教官をしていた時の教え子です)の見解に、私は全く同意です。
硬直化した組織というものは、非常時には恐ろしいほど無能になり、現場に不条理な犠牲を強いるもの。
日本と米国は長いこと互いに仮想敵国同士でしたから、あの戦争が歴史的必然だったかもしれません。でも、それにしても、有能な指導者の下、的確な戦術をとっていれば、全然違う結末があったはずです。
日本軍の戦死者数約200万人、対する米軍は約40万人、よくもまあ、ここまで人命を粗末にしたものです。
圧倒的な物量差で勝てない戦争だったとしても、もし戦死者が拮抗していれば、先に米国に厭戦気分が広がり、もっと早期に停戦が出来たのではないでしょうか。
こんな考え方、不謹慎なのかな。
でも、私たちの祖父の世代は、決して洗脳されていたのではなく、宮部のように、祖国を、家族を守るために、そのように考えて自らの命を賭したのだと思います。

102歳で亡くなった私の祖父も、市井の人でしたが、徴兵され、中国に出征していました。
戦争の話は時々聞かされましたが、戦果を誇るでもなく、悲惨さを吹聴するでもなく、こんなこともあった、あんなこともあったと、淡々と昔話をするように話をしていました。
どのような心境だったのでしょうか。今にすれば、もっとちゃんと聞いておくんだったな、と思います。

吉村昭の「零式戦闘機」も読みましたが、それと比べても、百田さんの詳細な記述に改めて感心させられました。
この本が、日本人があの戦争のことを再考するきっかけになってくれればと思います。

再読の勢いで、映画も見てきました。
軍部の無能さ、不条理さが原作よりも薄まってしまった感はありましたが、でも、すごくいい映画でした。
水曜日でレディースディだったせいもあるけど、映画館のあちこちからすすり泣きの声が聞こえてきました。

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