ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

官の組織、民の組織

2005-08-19 01:04:05 | 政治経済
人間を含むすべての生物は、親のDNAを忠実に受継ぎ、本質的に変化する事を忌避するものようです。
人間が数百万年という気が遠くなるような長い時間をかけ、猿人やネアンデルタール人などの多くの絶滅種を出しながら現在の姿になったように、進化と言うものは、自然界では、長い時間を消費しながら、ごく限られた偶然の勝者だけがなしとげるもののようです。

人間が作り上げた組織も、このDNAをなぞり、基本的に変化を嫌います。
ところが民間企業、特に株式会社は、環境に応じて、嫌が応にも自らを変化させるプログラムをそのメカニズムとして持っています。
利益を出して株主に配当できない経営者は排除され、利益を上げる経営者に取って替られるようになっていますし、また、競争に負けるなどして利益を出せない状態が続けば、倒産と言う形で、比較的容易に淘汰されてしまいます。
故に、DNAに逆らって環境に即応し、非常な痛みを伴う変革という作業を自発的に行い、自然界から見れば異常なスピードで進化する事ができるのです。

今の日本の組織の基本になっている環境は、戦後の高度成長期でしょう。
成長を続ける環境下では、終身雇用と年功序列で和と忠誠心を高めた方が効率的です。
増大するコストと必要なポストは拡大再生産で賄えました。
低成長期に入っても、官民ともしばらくはこのシステムを踏襲しました。
ポストの不足は子会社出向や天下りで賄い、コストも利益を削って吸収して、何となく終身雇用と年功序列を実質的に維持しました。
10年ちょっと前までは、どこの会社でも「出世レースの敗者は潔く会社を去って出向や天下りをし、その再雇用の面倒を見るのは勝者の役目」といった、今から考えると馬鹿みたいなことが行われていました。
民間企業では、団塊の世代の高齢化といった内的要因や、中国、BRICSの台頭による国際競争の激化、連結重視の会計基準などの外的要因により、時代に合わず非効率となった年功序列に対し自浄作用が働き、前述の「今から考えると馬鹿みたいなこと」は行われなくなりました。

変化対応のメカニズムを持たないために、それを今でもやっているのが官の組織なのだと思います。
天下り原則禁止なんて、お題目を唱えるだけでは絶対無理。
年功序列を廃して、管理職ポストをリタイヤしたら、スタッフとして65歳まで勤めるように、組織の人事制度をカルチャー毎変えなければダメ。
当然給料は下がるし、上司も年下でしょう。昔の部下が上司なんてことも日常茶飯事、それを受入れられる組織文化にならなければ、天下りと談合は無くならない。
事務次官レースに破れたキャリア組の方に、このことを理解し、率先して実践していただけるかに、日本の未来がちょっとかかっている、そんな気がします。
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2 コメント

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時代の趨勢 (走る9番ライト)
2005-08-20 02:11:08
本当にわかりやすい話なのですけどね、当事者になったら自分の身を守ることに懸命で、「この俺まではナントカ逃げ切って」と考えるのでしょうね。時代の趨勢に抗う輩はもう、外部からの力で排除するのがいいと思いますけど。
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同感! (あくび)
2005-08-19 21:04:11
断固実践してもらいたい!でも、いざ本腰を入れて組織が変わったとしたら、欝とか壊れたオヤジが妖怪のように漂いそうだ。
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