アルガーヴには有名な観光地がないから、1-2週間で有名観光地をめぐり歩く団体観光客はほとんどいない。タヴィラは一応観光地だが、半日歩けばほとんど見て回れる。でもタヴィラを中心に山歩きや海岸線、塩田などの散歩は長期にこの地で滞在する私達の一番の楽しみ。
2月中旬コーヒーをフラスコに入れ長距離散歩に出かけた。野原も道端も一面の花盛り。
直射日光は暑いが風が冷たく暑さを感じさせない。日陰に入るとひんやりするくらいの気候だった。
カセラ・ヴェルハは英国人のキャラバン住まいのジャンとロッドから聞いた場所で、海辺のきれいなお城があると言っていた。国道125から途中で脇道に入り高級ゴルフ場やホテル前を通り木陰の未舗装道路をてくてく歩く。
昨年暮れまで亭主の坐骨神経痛で今年は散歩も諦めていたのがまるで嘘みたい。
途中の道路標識にファブリカの名前を見つけ、この名前はスペイン語では工場というのだと亭主がいう。でもポルトガルでこんな田舎に工場が?と思い行ってみることにした。ここは小さな小さな海辺の村だった。
道路標識から500メーター足らずできれいな海岸の駐車場に着き、一休みして海辺伝いにカセラ・ヴェルハへ向かった。巨大なサボテンに赤い実が沢山生っている。これが花の満開の時はどんなに素晴らしいだろうか?
砂浜を数百メーター歩いたところから長い階段があり、見晴らしがとっても良い。辿り着いたところがカセラ・ヴェルハのお城?だった。想像していたお城とは全く違い小さな教会と数軒の石の建物を取り囲む石の壁が城壁だった。
がっかりして小さな観光案内所で向こうに見えるモンタ・ロータ(Monta Rota) へ海伝いに歩けるかと聞いたところ、この塀の横道を降りてと教えられ、まっすぐ降りたところは河口で橋を探して川辺を登るうちにカセラ・ヴェルハの町外れにでた。町中を通らなかったからどれほど大きい街なのか判らなかったが、町外れの広場をうめつくすキャンパーに驚いた。
あとで聞いたところではすべてがフランスのキャンパーで、数日後にポリスカーが2台来てこれらのキャンパーのナンバーを控えて全部追い払ったという。
ポルトガルのあちこちの空き地にこんなキャンパーが止まっているが、立派なキャンパーを走らせるくらいお金持ちの彼らがどうしてキャンプサイトのお金をケチってワイルドキャンピングするのだろうか。トイレや汚水をどこで処理するのだろうか。
さてモンタ・ロータまでの海岸の道は見つからず内陸へ向かう自動車道を歩いて国道125と交わったところでモンタ・ロータへの道標を見つけた。ここから道路が掘り起こされたような悪路を30分、やっとモンタ・ロータの町中に入った。道路はひどいけれど自転車や自動車がのろのろガタガタ土煙を上げて走りそんな中に目も覚めるような真っ赤なケシが一輪さいていた。町の入り口では昔からの水を汲み上げる水道器具が見られる。
ただ一本のメイン道路を海岸へ向かうととってもきれいな街だとわかった。とにかく色彩がいい。ただ海岸近く安いキャンピングプラッツにあふれるようなキャンパーにはたまげた。こんなところで何ヶ月も暮らしたくないものだ。