3月第一週目の土曜日はミゼリコディア教会でアカデミア合唱団の宗教曲と音楽教師イソベル・レイス(Isobel Reis)の素晴らしいソプラノの独唱があった。合唱団の方は全然記憶に残らないが、イソベルさんの歌声には魅了された。もう中年と思える彼女は声が若くて綺麗に澄んだソプラノで、若い時に音楽コンクールに出たことがあるのだろうかと聞きながら考えていた。
3月11日、近くのショッピングセンターのシネマでENO ( English National Opera )からのオンライン・オペラのラ・トラヴィアーター(椿姫)があった。
イギリス人のペニーと私それにキャンパー近くのフランス人フランソワーズとジョセリンが一緒に行くことになった。2人のフランス人は初めてのオペラで、ストーリーがわからないと面白く無いだろうと歩きながらストーリーを手短に話したが、何しろ英語が通じない。おまけにENO のオペラは英語で歌い、翻訳にサブタイトルはポルトガル語、結局彼女たちはラヴ・ストーリーだとしか判らなかったに違いない。
ところがENO のオペラは何時も奇をてらう傾向があり舞台装置が4幕とも変化なし。赤いカーテンが幾重にかさがっているだけで衣装も現代風、主人公ヴィオレッタに扮したエリザベス・ザロッフがはじめから最後まで素晴らしい声で歌ったのがただひとつのとりえだった。恋人役アルフレッドに扮した若い男性はずんぐりむっくり、知能が低い本の虫という感じでヴィオレッタが恋に陥るには大いに無理がありそうな感じだった。
2幕目の2人が住む田舎のコッテージも同じ幕で4幕目にヴィオレッタが死んでゆくところも舞台装置が汚く変わらず全くがっかりさせられた。
ENOはオペラを初めて見たフランス女性2人の、オペラに対する興味を完全に奪ってしまった。
14日土曜日、サン・セバスチャン教会でファーローからのコーラス・グループ・コーロヴォザート(Coro Vozart)の公演があった。男性3人女性3人の少人数だったが一人ひとりが非常にいい声でうまく、玄人らしいことが分かった。あまりに素晴らしくてヴィデオに録画し、感激して帰った夕方の7時、タヴィラの大橋から見るタヴィラの町は夕暮れが迫って昼とはまた違ういい顔を見せてくれた。
15日日曜日の午後、アカデミーでウクレイナの民族歌曲の公演へ行った。白髪のおじいさんコンスタンチン(Konstantin)と民族衣装に着飾ったナタリヤ(Natalya)はコンスタンチンのギターに合わせてウクレイナのフォークソングを歌ったが、彼女の声がガサツで全然おもしろくなかった。ところがコンスタンチンが私に興味を示して、自分は柔道3段、囲碁と将棋をやるがまだ日本へ行ったことがないとのこと。彼らの名前を書いてくれた。
この日のただひとつ楽しめた曲がロシア歌曲カリンカとはなんとも皮肉。
この日、ロンドンの我が家の近くから来た英国人女性とも親しくなり、メールの交換をしたり、写真を送ってほしいというポルトガル人女性とも親しくなり,人の輪がだんだん広がっていく。