雨の所為か、頭痛がひどいren.です。
写真を撮りたかったのですが、明日以降に延期。
●「アオイホノオ 8巻」島本和彦/サンデーコミックスSP
帯は、独自のマンガ(に限らないか)を目指すと、誰もが必ず一度は考える言葉。
しかし、それは逃げではなく、自分の進む道標を見つけた希望、だと思う(w
SA社へ送る作品を描くにあたり、様々な壁にぶち当たる焔。
それを乗り越える姿は、手段は別として、勇気付けられます。
まず、学校という舞台を描く難しさ。
確かに、背景の中でも学校や教室って難関なんですよね。
机や窓を並ばせるのも面倒ですし、さらにそこにモブの生徒を描こうとすれば地獄。、
今でこそ赤松さんのようにCADデータで背景を作ることも出来ますが、私も含めてそんな技術も設備もない者にとって、パースをとらなきゃいけない背景は重荷です。
私は美術系専門学校で建築パースを勉強しましたが、当時からわけがわかんなかった(w
学校の形も、今でもマンガやアニメでは現実に則した学校のデザインの作品が少ないのが、その悩みに尽きないことを物語っているような気がします。
焔は原秀則さんの作品から、「ごまかして描く」ことを学び、車田正美さんから「描かなくて済ませる」ことを学びます。
暴力的かもしれませんが、実はこれってマンガにおいては誰もがやっていることですよね。
あまり極端になると、炎も陥っていますが、全てのコマにバストアップのキャラしか並ばない、たがみよしひささんの「なあばすぶれいくだうん」のようになりかねませんが(それもまた、ひとつの作家性w)、マンガは読者の想像力を借りる作品だということを踏まえれば、間違っていないと思います。
そしてストーリー面では、"意外性"を盾に知識のなさをごまかします。
ジョオのいう「ちゃんと知っていてウソを描くのと、知らないでウソを描くのは違う」は、マンガの入門書ではよくいわれる言葉です。
焔はそれを否定していますが、それはSFモノとしては失格だな(w
「SFは子供だまし」と馬鹿にされるが、一体どれだけのSF作家が博士号や教授といった裏づけを持っていることか。
それに、自分が詳しく知っているジャンルで適当なことを描かれると、「ああ、この作家は何も知らないな」と、やっぱり思っちゃいますよね。
実際、近年のマンガやラノベを見ていて、そう思うこともちらほら。
まあ、知らない人を想像で描くことによる斬新さと言うのも、あながちないわけではないですけど。
それが出来るのも、詳しくは知らなくても色々な作品に目を通している証拠。
焔は「パクリより汚い」と言われ否定していますが、まあ、それについてはもっともです。
ただ、これも描き方を間違うと、ただのパロディにしかならないので、その分野が成熟した今は使いづらいですよね。
そんなわけで、ついに描きあがった焔の作品。
おそらく「燃えよペン」で触れられている「嵐の転校生」、つまり島本さんのデビュー作「必殺の転校生」、後の「炎の転校生」ですね。
キャラクターのデザインは違えども、ストーリーとキャラ名は「ほのてん」のままです。
この原稿は、当時の島本さんのペンタッチを再現していますが、島本さん本人が描いたのかしら。
うわぁ、苦行だっただろうなぁ(w
どんな漫画家でも、描き続ければ絵は変わっていくものですからねぇ。
ともかく、SA社に送られたこのアオイ作品が、どう評価されるのか、今後が楽しみです。
さて、もう一方の主人公達ですが、山賀さんと岡田さんの密談だけで、庵野さんたち現場組は出番無し。
思えば「炎の転校生」はその後、ガイナックスがアニメ化(岡田さんが脚本担当)するんですから、数奇な運命ですね。
アニメ化については「燃えよペン」に詳しいですが。
▼ OVA 炎の転校生 OP (島本和彦&日高のり子 フルバージョン)
あえて、島本Ver.を(w