東京国際大学吹奏楽団による第25回定期演奏会を聴いた。
会場は秋深い所沢航空公園にあるアークホールだった。
今回は「タラのテーマ」など馴染みの映画音楽が多く、初めて聴く曲でも親しみ易い旋律のものばかりだった。
例えば「朝鮮民謡の主題による変奏曲(J.B・チャンス作曲)」の朝鮮民謡はあのアリランである。
「最近のあの国はアリランだ」という人でも、一度聴いたらこの曲が好きになるだろう。
指揮者の稲垣征夫は陽気なお爺ちゃんという雰囲気で、団員は明るくのびのびと演奏した。
楽しい気分は客席にも充満し、音楽会はこうでなくちゃ、と思った。
今回の目玉は「アルトサクソフォンとバンドのためのバラード(A・リード作曲)」だった。
サキソフォンの演奏は、入場券を下さった床屋さんのお孫君である。就職も決まり、これが最後の晴れ舞台になった。
お祖父さんは、森生が30年間通った店を臨時休業にし、家族全員を引率し会場に来ていた。
演奏は見事だった。音色は流麗で艶やか。春のような暖かい旋律にゆったり浸ることができた。
お祖父さんたち、演奏が始まるまではどきどきはらはらしていたに違いないが、演奏は堂々たるものだった。
森生はお孫君を坊やの頃から知っているので、他所の家の子だけれど、感慨も一入だった。
この吹奏楽団の演奏は、これまでに何回も聴いている。
しかし今回の演奏会がいちばん明るく、華やいで、和やかだったような気がする。
この演奏会でいつも感じることは、「若いっていいなぁ」ということ。
駅前広場で動けなくなったプロペラ機同然のじじぃ。
「もしも青春をやり直せるなら悪魔と取引をしてもいいかも」、と思う冬の始めである。
131203
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