

こんにちは。
今月のラボ便りでは、
胚(受精卵)の凍結についてお話し致します。
胚を凍結することによって、
細胞の生命活動を休止状態にすることができます。
つまり、適切な方法で凍結し、
適切な方法で融解(解凍)することによって、
胚を、
望む時に子宮の中に戻すことができます。
どのように凍結するのかと申しますと、
胚を液体窒素(-196℃)に直接浸け凍結させます。
しかし、
そのまま浸けただけでは胚は生存できません。
胚の細胞ではその85%が水分です。
この細胞をそのまま低温で凍らせると水が氷晶(氷の結晶)となり
細胞にダメージを与えてしまいます。
このようなことを避けるために、
胚を凍結する際には、
細胞内の水分を取り除いた状態で凍結します。
そして、
融解する時に再び水分を細胞の中に戻します。
この処理を行うことによって、
胚がダメージを受けることなく、
長期の保存が可能となっています。
ただし、
細胞自体が弱く凍結に耐えられないと、
変性(細胞が壊れてしまう状態)する場合があります。
しかしながら、
近年の凍結技術はとても安定しており、
胚の凍結融解における生存率は9割以上です。
当院では、基本的に採卵を行った周期に胚移植はせず、
胚凍結を行って、別の周期に移植を行っています。
採卵では複数個の卵子を育て採取するので、
自然の状態よりもホルモンの値が高くなります。
ホルモンの値が高過ぎると、着床を妨げる可能性があるため、
採卵とは別の周期に胚移植を行います。
台風など天候が不安定ですが、
皆様、体調を崩さぬようご自愛下さい。



