

皆様こんにちは。
今月のラボ便りでは「胚盤胞」についてお話し致します。
胚盤胞(はいばんほう)とは、
受精卵(胚)が受精してから約5日間順調に育つとみられる状態です。
この胚盤胞は、それまでの胚の様子と大きく異なり、
将来的に胎児になる部分と胎盤になる部分とに分かれています。
この胚盤胞を子宮に移植(胚移植)した方が、
採卵してから3日目もしくは2日目の胚(初期胚)で移植するよりも
妊娠率は高くなります。
これだけを聞くと、
みなさん、胚盤胞移植を行いたいと思われると思いますが、
必ずしも胚盤胞移植を行えるわけではありません。
というのも、
採卵して受精した全ての胚が5日目まで順調に育つわけではなく、
中には 途中で成長が止まってしまう胚もあります。
止まってしまった胚は妊娠の可能性がないので移植することはできません。
ですので、初期胚の状態によっては胚盤胞への培養を行わず、
初期胚の時点での移植を行うこともあります。
胚盤胞への培養を行わないからと言って残念に思うことはなく、
初期胚の移植でも妊娠の可能性は十分あります。
胚盤胞の方が妊娠率が高いというのは、
胚盤胞が初期胚よりも優れているからというわけではなく、
胚盤胞の方が着床に近いためです。
例えば、20人の人がマラソンを走るとします。
①10人はスタート地点から出発し42.195km走ります。(初期胚)
②残りの10人は30km地点から出発します。(胚盤胞)
この場合どちらのグルー プがゴールできる確率が高いでしょうか。
おそらく②グループの方が高いと思います。
だからと言って、①グループの人よりも②グループの人の方が
優れていたとは言えません。
胚移植でも同じことが言えます。
初期胚移植、胚盤胞移植、どちらの方法であっても、
その患者様にとってどちらがより良い方法か、
院長と培養士が考え行っております。



