11月のラボ便り
今月のラボ便りは、胚の見た目についてです。
*「胚」=「受精卵」をいいます。
体外受精を受けられた方はご存知かと思いますが、
胚は見た目をもとにその良し悪しを評価します。
複数の胚があれば、
見た目が良い胚ならば妊娠するだろうと判断し、
見た目の良い胚を優先して移植をします。
しかし、必ずしも見た目の良い胚が妊娠してくれるとは限りません。
見た目が良いのに妊娠しない理由は、
胚の中にある染色体に異常があることが、まず考えられます。
ということは、
見た目が悪くとも、染色体に問題がなければ妊娠すると言えます。
ところが、
胚の染色体を調べるには、細胞を取り出して調べなければなりません。
そうなると、
移植胚の選択をする際には、やはり見た目を重視することになります。
(実際には移植時の見た目だけではなく、
元々の卵子の状態や発育過程の状況も考慮した上で決定しています)
Correlation between standard blastocyst morphology, euploidy and implantation.
という論文では、
胚盤胞の見た目と染色体異常の割合が報告されています。
これによると、
一番見た目の良い胚盤胞であっても、
染色体が正常である割合は56.4%だそうです。
つまり、
半分近くは妊娠に至らない(もしくは妊娠しても流産してしまう)ということになります。
移植の時に良い胚と言われたのに妊娠しなかった
=何かおかしいというわけではありませんし、
一番良い胚で妊娠しなかったんだから、
この先も無理だと思われる必要もありません。
どのような胚であっても妊娠の可能性はありますし、
最高のパフォーマンスで移植させて頂きます。
※写真は外苑前の銀杏並木です。
見頃は今月の下旬~とのこと。
ぜひ足を運んでみてください。
とくおかLCラボスタッフより
とくおかレディースクリニック