とくおかレディースクリニック~ブログ~

日々、徒然なるままに、書き込んで参ります。
どうか宜しくお付き合い下さい。

体外受精・顕微授精のお話 その6

2009年07月17日 | Weblog
本日は 『”胚”=”受精卵”のグレード』 について書かせて頂きたいと存じます。

”胚”は生きています。
培養液の中にただ浸かっているわけではなく、”胚”は培養液の栄養素を取り込んでは不要なものを吐き出して生きていますので、微妙な動きをします。
まるで羊水に浸かる胎児みたいなものですね。
そこからして生命の始まりなのだと感動するお話です。
ですので、静止画のように最良の状態でポーズがとれていれば良いのですが、そうでない状態の時もあります。
「たまたま微妙に小さくなっている状態の時に判定を受けたがために、ひとつグレードが下がっちゃったじゃないの!!」なんていう”胚”の声も聞こえそうな思いです。

”胚”のグレードは、専任の胚培養士が行います。
”胚”の状態が、割球の場合はVeeck法、胚盤胞の場合はGardner法で分類されます。
割球の時点で状態が良くなくても胚盤胞になるものもありますし、胚盤胞にならなくても見事に妊娠に至るものも当然あります。
”胚”のグレードは見た目の状態でありますので、受精卵自体の染色体や遺伝子異常の有無は、その形態だけではわかりません。
グレード1でも染色体異常のある”胚”もありますし、見た目は少々悪くてもちゃんと着床する”胚”もあります。
 
最後に勝つのは、その”胚”の生命力という事なのでしょう。

既に”胚”の段階から「個性」と「生命力」を持って生きているっていう事なのですね。
妊娠の可能性は、”胚”のグレードだけではなく、ホルモン環境・子宮内環境・タイミングなどあらゆるものが関与してきますので、あまりグレードにとらわれる事のないようにお願い致します。

ママになりたい貴女も一生懸命頑張っていらっしゃいますが、個性豊かな”胚”=あなたのお子様も一生懸命に頑張っています。
-196℃の液体窒素の中で待っている”胚”達もいます。
皆を応援したい気持ちでおりますので、今日の添付写真は「マウント富士」にしてみました。
やはり富士山は、雄大で美しいですね。

ーby事務長ー



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