大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評9・おおかみこどもの雨と雪/メリダとおそろしの森

2016-08-16 06:25:17 | 映画評
おおかみこどもの雨と雪/メリダとおそろしの森

この春(2016年5月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


 奇しくも、成長と葛藤の物語が二本揃いました。

 しかも「メリダ~」は、タイトルからも判る通り、女の子が主人公(ピクサーアニメ始まって以来)、 日本じゃ 「ナウシカ」以来、野郎は脇役に追いやられ、ヒロイン中心の系譜が出来上がって久しい。あの「紅の豚」ですら、結局の所、女性の手のひらの上でした。
 こんな点でも日本のアニメは30年以上アメリカに先んじてます、エッヘン…いやまあ、威張る話やおまへんなあ。 両作品は家族の成長を描き、「おおかみこども~」は13年間の、「メリダ~」は2日間の物語です。どちらも感動ストーリーで、極めて良く出来上がっています。但し、ちょいと不満もあります。 
 先に、それに触れるとすると、まず「おおかみこども~」の方は、作画の出来の悪いシーンが有ること。恐らく外注に出されたのだと思われるが、明らかに荒れた画のシーンが有り、集中が切れる。
「メリダ~」の方は、さすがに世界最高のアニメスタジオ、手書き・CG共に欠点無し、メリダのびっくりするような赤毛の質感、重要キャラクターの熊の存在感、等々素晴らしいの一言。
 ただ、「メリダ~」への不満は、これは日本語タイトルの付け方と予告CMの作り方に問題が有るのですが、まず、本作の原題は「BRAVE」 勇敢なっちゅう意味です。「おそろしの森」は大して恐ろしくはありません。昔のスコットランドがバックグラウンドに成っています。
 イギリスの森は、神秘的ではありますが、ドイツ・東欧の「黒き森」のように恐ろしさをあまり内包しません。不思議なもので、アニメで作るのですから、いくらでもおどろおどろしく作れそうなものですが、これがそうはならないんですなぁ。自分の運命を変えるべく、森の魔法使いに魔法をかけて貰うのですが、その魔法のせいで戦争になりかける、魔法は、かけられて二日目の夜明けを迎えると解けなくなる。さあ、これからどんな大冒険が……ありゃりゃ~こいつは少々期待したのと違う。
 ふ~ん、そうなるんかいな位のお話…決してつまらない訳ではないが、予告編から想像したのはもっとスペクタクルな冒険なので、ちょいと期待をはずされる。

 粗方の責任は、作品ではなく、CMの作り方にあるのですがね。その点「おおかみこども~」は、家族の13年間を描き、自分の生きるべき道をいかに見出すか、じっくりと語って行く。
 やがてやってくる選択の時は、物悲しくもあるが、それは一家の問題に止まらず、もっと大きな自然への回帰、もしくは自然自体が自ら失われたものを修復しようとする営みとの出会いとでも言えるシーンに成っています。家族のお話から、もっと大きな世界を垣間見せるのは、宮崎駿のストーリー世界の作り方と同じ、細田守が宮崎駿の後継者だと言われる由縁です。「メリダ~」は、その点、短時間の物語ですが、その分時間が限られサスペンスフルなストーリー構成に成っています。
 いずれも、最大の見せ場を語るとネタバレになるので難しいのですが、日米の、全く違うストーリーながら、出来ればどちらも見て欲しい。この二作は、互いに補完しあっているように思えてなりません。奇しくも同じ日に封切られたのは、何かの「縁」があるような気がします……。
コメント
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