タキさんの押しつけ映画評04『外事警察』
これは、友人の映画評論家ミスター・タキさんが、個人的に身内に流して、互いに楽しんでいる映画評ですが、あまりに面白くモッタイナイので、タキさんの許諾を得て転載したものです。
ヤバイ、論評しにくい映画を見ちまいました。 面白かったんです。100‰お薦めで~す。
さぁ! 見に行こう! おしまい。
見て来た? よっしゃ、ほんなら始めますか。
原案は麻生幾の「外事警察」、元作は2009年のNHKドラマです。どちらも未見、真っ白で見に行きましたが…メッチャ面白かった。
テレビドラマの映画化は元作を見ていないと半分判らない作品が多いのですが、本作にそういう弱点は有馬線(?)、導入部にさらっと流れる説明で物語の外郭が理解できる形に成っています。
監督は「ハゲタカ」に引き続き堀切園健太郎、進行編集はさすがです…ただ、この人アップが好きなのは変わりませんなぁ~。なんか全編の1/2がアップ(そんな事もないが)じゃねえかくらいの印象があります。田中ミンさんの、それでなくとも痩せているのに、更に10キロ減量して、更に眼光鋭くなった顔がアップになると 背筋が思わずゾクッとします。
この田中演じる徐(元在日外国人の原子力学者)と渡部篤郎の外事警察官/住本とのやり取りが本作の背骨です。
全編、嘘、嘘、嘘、嘘の連続、その中にたった一つだけ 最初から最後までを貫いて存在する真実がある。それが何か?を……考えながら見るのがこの映画の醍醐味であります。
そして、この緊張感は渡部/田中の演技力が生んだ奇跡と言っても言い過ぎじゃありません。
今回改めて感じたのは、こういったアジアクライムシーンの映画に出演する韓国人俳優の上手さです。現実に未だ北と交戦中の国(朝鮮戦争は終わっていません、今は単に休戦中)の俳優さん、北との危機感・緊張感は本物。殊に、キム・ガンウのリアルな存在感は抜群であります。
日本人では真木よう子さんをベタボメしたい。これまで彼女の演技は上手いのか下手なのか判断しかねていたのですが、本作の身体も心もバラバラに引き裂かれた女の役を見事に演じ切っている。彼女の周りも嘘だらけで何が真実なのか判らない。その中の何を彼女は信じたのか、あるいは信じたかったのか。彼女の中に真実はあったのか、いや 見つけたのか…これも本作の肝です。
映画館の中は集中感がみなぎり、観客が一言の台詞も聞き逃すまいとしている。サスペンス映画として大成功している証拠です。
不満と言えば……まぁこれはNHKエンターブライズの製作であるからやむなしですかね。
映像も、殊に暗部の表現が素晴らしく、ただ塗りつぶすのではなく 微かに何かが映っている。冒頭、闇の中弱く光る徐の瞳。この瞳の奥にどんな想いが隠されているのかを追う作品であった事を思えば、いかにこのシーンが重いものであったかに気付く。
邦画で此処までノアール感にどっぷり浸かれる映画もそうはない。映画を見る前にこれを読んでしまったアナタ。極力内容に触れないよう気を使って書きました。後は劇場で確認してください。 私は、取り敢えず本屋で原作を探して、それからテレビドラマのディスクを探しに行きます。
蛇足: 昨日「海老蔵」というチャンコ屋さんで晩飯を食べました。JR長瀬の近くなんですが、メッチャ旨かったです。こんだけ旨いチャンコはメッタに有馬線。ただ、食べるのに必死で会話が弾まないきらいは有りますがね。 以上
これは、友人の映画評論家ミスター・タキさんが、個人的に身内に流して、互いに楽しんでいる映画評ですが、あまりに面白くモッタイナイので、タキさんの許諾を得て転載したものです。
ヤバイ、論評しにくい映画を見ちまいました。 面白かったんです。100‰お薦めで~す。
さぁ! 見に行こう! おしまい。
見て来た? よっしゃ、ほんなら始めますか。
原案は麻生幾の「外事警察」、元作は2009年のNHKドラマです。どちらも未見、真っ白で見に行きましたが…メッチャ面白かった。
テレビドラマの映画化は元作を見ていないと半分判らない作品が多いのですが、本作にそういう弱点は有馬線(?)、導入部にさらっと流れる説明で物語の外郭が理解できる形に成っています。
監督は「ハゲタカ」に引き続き堀切園健太郎、進行編集はさすがです…ただ、この人アップが好きなのは変わりませんなぁ~。なんか全編の1/2がアップ(そんな事もないが)じゃねえかくらいの印象があります。田中ミンさんの、それでなくとも痩せているのに、更に10キロ減量して、更に眼光鋭くなった顔がアップになると 背筋が思わずゾクッとします。
この田中演じる徐(元在日外国人の原子力学者)と渡部篤郎の外事警察官/住本とのやり取りが本作の背骨です。
全編、嘘、嘘、嘘、嘘の連続、その中にたった一つだけ 最初から最後までを貫いて存在する真実がある。それが何か?を……考えながら見るのがこの映画の醍醐味であります。
そして、この緊張感は渡部/田中の演技力が生んだ奇跡と言っても言い過ぎじゃありません。
今回改めて感じたのは、こういったアジアクライムシーンの映画に出演する韓国人俳優の上手さです。現実に未だ北と交戦中の国(朝鮮戦争は終わっていません、今は単に休戦中)の俳優さん、北との危機感・緊張感は本物。殊に、キム・ガンウのリアルな存在感は抜群であります。
日本人では真木よう子さんをベタボメしたい。これまで彼女の演技は上手いのか下手なのか判断しかねていたのですが、本作の身体も心もバラバラに引き裂かれた女の役を見事に演じ切っている。彼女の周りも嘘だらけで何が真実なのか判らない。その中の何を彼女は信じたのか、あるいは信じたかったのか。彼女の中に真実はあったのか、いや 見つけたのか…これも本作の肝です。
映画館の中は集中感がみなぎり、観客が一言の台詞も聞き逃すまいとしている。サスペンス映画として大成功している証拠です。
不満と言えば……まぁこれはNHKエンターブライズの製作であるからやむなしですかね。
映像も、殊に暗部の表現が素晴らしく、ただ塗りつぶすのではなく 微かに何かが映っている。冒頭、闇の中弱く光る徐の瞳。この瞳の奥にどんな想いが隠されているのかを追う作品であった事を思えば、いかにこのシーンが重いものであったかに気付く。
邦画で此処までノアール感にどっぷり浸かれる映画もそうはない。映画を見る前にこれを読んでしまったアナタ。極力内容に触れないよう気を使って書きました。後は劇場で確認してください。 私は、取り敢えず本屋で原作を探して、それからテレビドラマのディスクを探しに行きます。
蛇足: 昨日「海老蔵」というチャンコ屋さんで晩飯を食べました。JR長瀬の近くなんですが、メッチャ旨かったです。こんだけ旨いチャンコはメッタに有馬線。ただ、食べるのに必死で会話が弾まないきらいは有りますがね。 以上