「シンラ大司教、国家反逆罪で逮捕する」
そう言ったとたんに、シンラ大司教の執務室にはバリアーが張られた。
「バリアーなんか張ったら、武装した部下たちが突入してくるぞ!」
習大佐は、反射的に叫んだ。
驚いたわけではない、バリアーは予想の範囲内なので威嚇したに過ぎない。
「三十分は破れません。ダミーの情報が流れます。今度のわたしの大陸遊説の成果をもとに今後の計画を話し合うという情報です」
シンラは、あくまでも落ち着き柔和な表情を崩さなかった。習大佐は、逮捕令状をたたんだ。たたむと緊急信号が発せられる仕掛けになっている。
「無駄ですよ、大佐の緊急信号は、この執務室からは出ることができない。明花くん開花くん、モニターを」
ヒナタの明花は、モニターのリモコンを操作した。天壇の教会の内外で配置についている部下たちが映されるが、彼らの動きに変化はなかった。開花のモニターには穏やかに話し合うシンラと習大佐、そして秘書として控えている明花と開花が映っている。
「くそ、これは……」
「習大佐が、ここに来ることは織り込み済みです。そのセキュリティー付の逮捕令状は、とりあえずのもの。軍司令部に連行したあとは、わたしを破壊することになっていますね。あなたは、わたしのことをアンドロイドと勘違いされている。この国にはアンドロイドには人権はありませんからね」
「そうだ、どんなに優秀であろうと、この国はロボットによる支配は認められない」
「ロボットとは見くびられたものですね。一体なにを証拠に?」
「この一か月間のあんたのデータだ。人間の能力をはるかに超えている。そこの明花開花姉妹でも交代で休憩をとっている。あんただけが不眠不休。ロボットである証拠だ」
「仕方のない人だ。たったこれだけの資料でわたしをロボット……正確にはアンドロイドでしょうが。そう決めつけてしまわれる。わたしはサイボーグです。ここだけは人間です」
「そうだ、どんなに優秀であろうと、この国はロボットによる支配は認められない」
「ロボットとは見くびられたものですね。一体なにを証拠に?」
「この一か月間のあんたのデータだ。人間の能力をはるかに超えている。そこの明花開花姉妹でも交代で休憩をとっている。あんただけが不眠不休。ロボットである証拠だ」
「仕方のない人だ。たったこれだけの資料でわたしをロボット……正確にはアンドロイドでしょうが。そう決めつけてしまわれる。わたしはサイボーグです。ここだけは人間です」
ポンポン
シンラは、自分の頭をたたいてみせた。
「嘘だ。身体はともかく、人間の脳が、あんな不眠不休の行動に耐えられるわけがない」
「わたしの脳はハイブリッドです。休息する間はCPで制御されている。必要なときはCP は強制的に、わたしの脳みそを叩き起こしますが。今がちょうど、その状態です。逮捕してお調べになれば分かるでしょうが、そんなことをすれば、この国の、いやこの大陸のシンラ教徒が黙ってはいない。あなたの部下にも信徒はいます。明花くん外部映像にフィルターを」
「わたしの脳はハイブリッドです。休息する間はCPで制御されている。必要なときはCP は強制的に、わたしの脳みそを叩き起こしますが。今がちょうど、その状態です。逮捕してお調べになれば分かるでしょうが、そんなことをすれば、この国の、いやこの大陸のシンラ教徒が黙ってはいない。あなたの部下にも信徒はいます。明花くん外部映像にフィルターを」
「はい」
なんと、出動した部下たちの1/3がシンラの信徒であった。
「わたしは、なにもこの国を支配しようと思ってはいません。願いはただ一つ。中華国家の復活です。大佐、あなたの悲願でもあるはずだ。それより、習大佐が気を付けなければならないのは日本から送られてきた究極兵器だ」
「……ヒナタのことか。あれはガセだ。入国の噂はたったが、以後なんの情報も無い。小心者の日本がそこまで冒険すると思うのが心理戦にハマった証拠。日本人に地球を人質にしたような行動はとれない」
「日本を見くびってはいけない。なんといっても三発目の核攻撃を受けたんだ、しかも、その三発目は、この中華国家が撃った。五か国に分裂して、責任をあいまいにしているが、日本人は、そこまで寛容じゃない。そうだろ明花……いや、ヒナタくん」
シンラの穏やかな目と、驚愕した習大佐の目が同時にヒナタに向けられた……。
なんと、出動した部下たちの1/3がシンラの信徒であった。
「わたしは、なにもこの国を支配しようと思ってはいません。願いはただ一つ。中華国家の復活です。大佐、あなたの悲願でもあるはずだ。それより、習大佐が気を付けなければならないのは日本から送られてきた究極兵器だ」
「……ヒナタのことか。あれはガセだ。入国の噂はたったが、以後なんの情報も無い。小心者の日本がそこまで冒険すると思うのが心理戦にハマった証拠。日本人に地球を人質にしたような行動はとれない」
「日本を見くびってはいけない。なんといっても三発目の核攻撃を受けたんだ、しかも、その三発目は、この中華国家が撃った。五か国に分裂して、責任をあいまいにしているが、日本人は、そこまで寛容じゃない。そうだろ明花……いや、ヒナタくん」
シンラの穏やかな目と、驚愕した習大佐の目が同時にヒナタに向けられた……。