大橋むつおのブログ

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わたしの徒然草62『ふたつ文字』

2021-04-04 07:07:59 | 自己紹介

わたしの然草・62
『ふたつ文字』     

 


徒然草 第六十二段

 延政門院、いときなくおはしましける時、院へ参る人に、御言つてとて申させ給ひける御歌、

 ふたつ文字、牛の角文字、直ぐな文字、歪み文字とぞ君は覚ゆる

 恋しく思ひ参らせ給ふとなり。


 この段は、皇后であった延政門院が、子どものころに、御所に来た人に預けて、父君の後嵯峨天皇にあてて詠んだ歌です。

 「ふたつ文字  牛のつの文字  直ぐな文字 ゆがみ文字 と君を思う」

 父君を「恋しく」と詠まれています。

☆なぞなぞ

 これは、なぞなんですねえ。

「ふたつ文字、牛の角文字、まっ直ぐな文字、ゆがみ文字」が何故「恋しく」なのか? ちょっと考えてみましょう。

☆なぞなぞの答え

 これは、ひらがなの形をなぞらえています。
「ふたつ文字」はひらがなの「こ」、牛の角文字は「い」、まっ直ぐな文字は「し」、ゆがみ文字は「く」。あわせて「こ・い・し・く」。

 今の子はなぞなぞをやるんでしょうか?
 昔はよくやりました。
「上は大水、下は大火事、なーんだ?(答・お風呂)」
 文字のなぞなぞもあります。「辶」に離して「首」が書いてある(答・分かれ道)とか、「雨」の真ん中の縦棒が下に長く伸びて「ん」になる(答・アーメン)などとやっていました。

 以前も、このエッセーで触れましたが、今の子は、あまり人にあだ名をつけなくなりました。
 昔はやりました。原田武という先生がいた。あだ名は「チョ-ビゲンタム」、お分かりでしょうか。この先生はチョビ髭であられました。それに「原田武」を湯桶読みして「ゲンタム」 で、二つを合成して「チョ-ビゲンタム」となります。
 出っ歯の先生は八重桜「ハナより先にハが出る」の意味。
 今の子は、先生を呼び捨てにして済ませることがおおいでしょうね。「オオハシ」とか「ムツオ」とか、直裁的で芸が無い。大阪弁というのは、言葉そのものに遊びや、シャレの種がある。「オオハシサン」をつづめると「オッサン」になる。和尚さんも、つづめると「オッサン」。文字にすれば同じですが、発音すれば明確な違いがあります(少なくとも大阪人には分かる)。それも最近は、急速に無くなってきたように感じます。中には心無いあだ名が人を傷つけるというので、あだ名禁止令を出す学校もあるそうです。
 映画の『スゥイングガール』のロケ中に、ガールズたちは、みんなにあだ名を付けていました。
「村長」「ミサイル」「おかん」などなど。語源はよく分かりませんが、「ジュリ」とか「シホリ」とか直裁的なものではありません。

 アニメの『女子高生の無駄づかい』でも、主役の一人のバカがクラス全員にあだ名をつけています。表情に乏しい「ロボ」、オタク趣味の「ヲタ」、ネガティブで暗い「ヤマイ」、礼儀正しく成績のいい「マジメ」、小柄でお婆ちゃん子の「ロリ」、占いや呪いに凝っていて不登校気味の「マジョ」などなど。一見あぶなそうな、イジメに繋がりそうなものもありますが、表現が的確で、面白がっては居ますが、根底にクラスメートへの肯定的な興味と、乱暴ではありますが愛情があります。

 要は、どういう気持ちで呼ぶかが問題で、きちんと名前で呼んでも悪意やオチョクリや敬遠の気持ちが潜んでいれば「大橋君」とか「大橋さん」とか呼ばれても気持ちの悪いものです。

 息子の授業参観の帰り、クラスの友だちが「大橋!」と呼んでいるのを耳にしました。男子なら当たり前の呼び捨てなのですが、その響きには、クラスでの息子のヒエラルキーの低さや、軽いイジメのニュアンスがありました。

 むろん、こんなことで学校に抗議などはしません。二年後の参観に行ったら普通の「大橋」になっていました。



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