大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

かの世界この世界:27『ペギーの店・1』

2020-08-01 06:22:16 | 小説5

かの世界この世界:27     

『ペギーの店・1』  

 

 

 しばらく行くと一本道は分岐していた。

 

 いずれも畦道ほどのものでしかないけど、左側の方は、少し進んだところに宝箱がある。

「あ、宝箱!」

 健人は跳び上がって宝箱を開けようとした。

「ちょっと待って」

「え、なんでえ?」

「序盤でミミック(宝箱に化けた魔物)ってことは無いだろうけど、大事な選択肢だと思う」

 

 ウィンドウを開いて調べてみる。

 

――開ける前に難易度を選択すること、選択肢はA・イージー B・レギュラー C・ハード D・オニ ――

「どれにする?」

「むろん、イージー。サクサク進みたいからね♪」

 わたしの意見も聞かずにA・イージーをクリックする健人。ま、いいけど。

 

 パッカーーーン 

 

 のどかなエフェクトと共に宝箱が開く。

――メンバー全員にポーション五つずつ――

 レジのような音がして、ウィンドウのアイテム欄に五個のポーションが加えられた。

 

 HP:200 MP:100 属性:?

 持ち物:ポーション・10 マップ:1 所持金:1000ギル

 装備:始りの制服

 

「なんかショボイ」

「かわりに何かあるよ、きっと……」

 首を巡らせると、いままで来た道が消えていて、右側の道はいばらの道に変わってしまって、左側の道は、分かりやすく虹がかかっていたりする。

 

 左の道をしばらく行くと、造りは中世ヨーロッパの田舎風の小屋が見えてきた。

 

 小屋ではあるんだけど、屋根やら軒やら脇やらに「激安の殿堂!」「ビギナーの味方!」「なんでもあります!」「毎日特売!」などドギツイ看板のネオンサインにキラキラしい。

「どうやら、ここで初期装備を整えるみたいね」

「でも、肝心の店の名前が書いてない」

 女装が板についてきた健人が可愛く口を尖らせる。

 すると、看板の全てが『ペギーの店』という店名を表示して、矢印が入り口を示した。

 

 ジャ~ン! ようこそペギーの店に!

 

 ドアをくぐると、店内いっぱいに声が響いた。

 声がするからには、店のオーナーとかスタッフが居るんだろうけど、わたしも健人も店内の広さと品数の多さにぶったまげた!

 屋根も含めて四メートルほどしかないはずが、まるで東京ビッグサイトほどの空間になっていて、雑多なグッズが本来の意味でのアマゾンみたく湧き出している。

 

 ボワ~ン……☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆!!

 

「ルーキーの味方! ペギーが初期装備の全てを見立ててさしあげま~す(^^♪」

 

 カーネルサンダースをオバサンにしたようなのが魔法使い出現みたいなエフェクトとともに現れた。

 

 

☆ 主な登場人物

  寺井光子  二年生 今度の世界では小早川照姫

  二宮冴子  二年生、不幸な事故で光子に殺される。回避しようとすれば光子の命が無い。

  中臣美空  三年生、セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生、ポニテの『かの世部』副部長 

  小山内健人 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ

 


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