ご紹介が遅くなりましたが、上京の際には勿論「築地明石町」を拝見してまいりました。
今まで出会った日本画の中で「黒」という色の美しさを最も日本人らしく表現できている
作品ではないかと感じました。
幻の作品、三点で5億円、それぞれの人物のバッグに描かれている建物、船、植物などなど
作品にまつわる話題にも事欠かず、清方作品を皆様にご覧いただける機会も増えると喜んでおりますが
この作品達の一番の魅力は、やはりタイトルに「お江戸」の地名がついているところだと思うのですね。
「築地明石町」こう聞いただけで、もう・・少し鼻っ柱の強そうな美人がすっと立っている気がいたします。
「足立区梅田」(私の実家です😓)では、こうはいかないのです。
深水も松園も、美を真摯に求め、絵画に「凛」とした女性の美しさを表現しようと努力しましたが
清方は、描く女性に決して責任を持たせ過ぎない。
清方の育った家庭、家族がそうであったのでしょうか?
女性は、いつも空気の中で生きて行く。風に吹かれ、雨に打たれ、おしゃれをしたり、お洗濯をしたり、子供と遊んだり、その場その場の「場」感じ、生きていく。
そして、その原動力となるのは、男性に愛されること。大きな愛に恵まれること。
清方はそれがわかっていたように感じます。
「女性をなんとか美しく描いてあげたい」清方のそんな言葉にも、画家として、また男性としての
清方の愛情を感じます。
今回に限らず、これからの展覧会で、ぜひ皆さまにも清方作品をご鑑賞いただきたいと存じます。
国立近代美術館 鏑木清方 幻の「築地明石町」特別公開 は12月15日まで開催されています。