あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

京都・栂尾から清滝川沿い

2006-03-17 19:04:07 | 京都を歩く
 前線が通過して天気が回復しましたが、強風の吹き荒れた1日でした。

 一昨日、2度目にサクラの開花予想が発表になり、東京は最初の予想より早まる
とか。そろそろお花見の計画をしている人もおられることでしょう。

 今日は、昨年春の花どきに歩いた、京都の栂尾(とがのお)付近のウオークを報告
します。

05年4月17日(日)
 東京駅7時36分発ひかり363号に乗り、京都駅に10時20分に着いた。
四条烏丸のビジネスホテルに荷物を預け、高尾行きバスに乗る。途中、仁和寺付近は
御室ザクラを見に来たマイカーで大渋滞、13時31分に終点高尾で降りる。

 清滝川の対岸斜面に満開のミツバツツジがたくさん咲いていた。

 国道162号(周山街道)は歩道が無く、行楽の車で込んでいるので、JRバスに
乗り継ぎ、2つ目の栂ノ尾(とがのお)で降りる。

 そばに檜皮葺(ひわだぶき)の茶屋があり、周辺は若葉の新緑がみずみずしい。

 清滝川を渡り、右岸山すそにある世界文化遺産のひとつ高山寺(こうざんじ)へ。
宝亀五年(774)、光仁天皇の勅願で開創、鎌倉時代に明恵(みょうえ)上人が中興
した寺である。
 
 モミジの新緑がやわらかな彩りを見せる斜面を上がり、国宝の石山院を拝観。室内
に、教科書でおなじみの鳥獣人物戯画や、絵画、古文書などが展示されていた。

さらに上がって開山堂、明恵上人御廟などを回る。老杉の林立する表参道の石段を
下って寺を出た。

 国道を槙尾(まきのお)まで戻る。バス停前のY字路を右に入り、朱塗りの橋を渡って
西名寺(さいみょうじ)へ。

 天長年間(824~)に弘法大師の弟子、智泉法師が神護寺の別院として創建、現本堂
は、元禄13年(1700)、将軍綱吉の生母、桂昌院の寄進により再建されたという。

 山門の横にご神木の槙が立ち、境内はやわかな若葉のモミジが多く、シャクナゲが
咲き始めていた。

 ミツバツツジの大群落下を回って、高尾山の山麓にある神護寺(じんごじ)に入る。

 和気清麻呂が愛宕神社の前身として建てた高尾山寺がはじまり。和気一族は最澄や
空海を招いたが、特に空海は、唐から帰朝して大同4年(809)に入山、14年間住持
して真言宗立教の基礎を築いた。前年、四国遍路を結願(歩き終えること)した私として
は、ぜひ訪れてみたいところだった。

 20万㎡あるという境内、幅広い石段を上がってかやぶきの大きな楼門をくぐる。
書院前のしだれ桜が満開。和気公霊廟、大きな鐘楼、若い山桜の咲く五大堂、精巧な
木組みや太い柱に圧倒される朱塗りの金堂、若緑に囲まれた多宝塔、静かなたたずまい
の大師堂などを巡った。

 さらに金堂内部に入り、国宝の本尊・木造薬師如来像や、国重文の日光月光菩薩像、
毘沙門天立像、愛染明王像などを拝観した。
 
 南側のハイキングコースに回り、清滝川沿いに出る。

 清滝橋を渡って左岸へ。すぐ先に堰(せき)があり、流れの大半が用水に取り入れられ、
本流は水量が減って景観がいまひとつとなる。

 渓谷沿いは東海自然歩道と、京都一周トレイル北山コースになっている。

 冠水橋を渡って右岸に回ると、道幅は人ひとり分に狭まった。東側から小さい流れが
幾筋か入り、淀みにハヤらしい小魚の影が見える。
 
 道は右からの支流沿いに入り、緩い上りとなる。せせらぎも聞こえる気持ちよい山道、
北山杉の林立する坂を上がって車道に出た。右に月輪寺への道標があった。

 反対方向に向かい、清滝川の高みを緩やかに下る。流れでカジカが鳴く。左岸に回ると
モミジが増え、竹林にはシャガが咲き、ウグイスがさえずる。間もなく清滝バス停である。

 京都駅行きバスもあるが、もう少し歩くことにする。トンネルを抜けるバス道を避けて、
トンネル上を越える旧道へ。

 ループ状に回って嵐山高尾パークウェイの横断点まで上がり、急な下りとなる。狭い峠
の壁面に、珍しい下向きのカーブミラーがあった。

 バス道がトンネルを抜けたところに、愛宕(おたぎ)念仏寺がある。17時の拝観
終了時刻間際だが、急いで拝観する。

 京都市内最古という鎌倉初期の仁王門をくぐると、狭い斜面いたるところに苔むした
羅漢像が並ぶ。その数1200体とか。

 寺は、称徳天皇(764~770)の開基という。国重文の本堂は、鎌倉中期の和様建築
の代表的遺構。穏やかな曲線の屋根と、白木と白壁の壁面が新緑によく溶けこんで
いる。

 仏像彫刻家・西村公朝(こうちょう)の寺としても知られる。公朝は昭和30年
(1955)に住職となり、荒れ寺を復興し、自作の仏像や仏画を奉納した。

 三宝の鐘や中国風のお堂など、異色の建物が目立つ寺でもあった。

 旧道を400mほど進んだところに、愛宕神社の一の鳥居があり、その辺りから、
南側にかやぶきの茶屋や旅館、鮎料理の店など並んでいる。

 一帯は、国の「嵯峨鳥居本(さがとりいもと)伝統的建造物群保存地区」に指定され、
その先にも、町並み保存館など、かわらぶきの古い民家が多い。

 近くの鳥居本バス停に17時20分頃着き、間もなく来た京都駅行きバスで四条
烏丸の宿に向かった。


 

 


   


 

 



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