せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

「くまもと地球会議2022」に参加して、森林で起きているメガソーラーの弊害を考える

2022年04月18日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト


先週末の4月16日(土)は、
熊本地震から6年という節目でした。

またまた熊本ネタですが、
熊本発信!で世界に広げていきたい内容ですので
ご紹介します。

今回は、地震関連ではなく、環境問題についてです。
(地震の知見も様々あります。専門的な話は次回)

私がユーザーでもある、熊本の女性たちが商品を
企画販売をしている会社があります。

東京で、あるチラシがきっかけで、、
最初は、地元の女性の会社を応援する気持ちもあり
商品を使ってみました。

それが、思いの外、素晴らしく、
現在では長期ユーザーであり、
同じような悩みを持つ方には、紹介するほどになりました。

環境に配慮した商品であることと
身体にも、とても良いからです。

地元の女性建築家の先輩のお宅訪問した際に、
洗面所で見つけた時は、あら、まぁ!と
問題意識が同じところにあると、嬉しくなったほどです。

そこの女性たちが、環境問題に意識を持って
ここ数年は、商品のチラシとともに、
地球環境に関するレポートを配布されるように
なりました。

森と樹と暮らしを繋ぐプッロジェクト
関連する内容があった際には、
社長さんとは直接お電話で話をしました。
その時は、いちユーザーとして、でした。

今回の「くまもと地球会議2022」では、
私自身は、登壇者側ではありませんでしたが、
知り合いの林業家、
そして、地元のバイオエネルギーの女性企業家の登壇で、
今後は、もっと積極的に関わっていこうと思った次第です。

その話の中で、一番衝撃的であったのが、
(一財)日本熊守協会の森山まり子会長の講演

メガソーラー(太陽光発電)と
風力発電による森林破壊の話でした。

熊守協会さんの本は拝読していますし
森林保護団体の第一人者であられるので、存じていたのですが

現在、東北では大規模な、メガソーラー設置の計画が進んでおり
住民の方は、なすすべもなく困っておられるのだとか。

関東近郊の山でも、その話は自治体が推奨する側と
ストップをかける市民との間で、
相当なやりとりがあっていることは知っていましたが、

日本全国に、いつの間にか広がっており
九州の島でも起きている!

それを止めるために、
奔走されているということでした。

熊本の拠点でも、景観を壊し、
下草を生えさせなくする民間による開発が進んでいます。

自治会や住み手は反対をしつつも、
放棄耕作地などの問題を解決するという
一方では、過疎化地域にとっては、良さそうな話なので
自治体が許可してしまうのです。

今現在は、何でもかんでも、山に入り込む開発を
食い止める法整備しなくては、ならない段階です。

脱炭素なら、太陽光発電は必須では?
と、思われますよね。

2030年問題は、ご存知でしょうか。

助成金を得て、大量に設置された太陽光発電池が寿命を迎え
大量な廃棄物が出てくると言われている問題です。

埋め立てゴミで、また地球を汚すわけですね。

一面だけ見ると、エコなイメージの太陽光発電も
一方では、地球に還す時のことが、検証されないできました。

柿本がしつこく「創還エネルギーで考えないと!」
と言っているのは、そのためです。

今は、シート状のものや
リサイクルできる商品も出てきました。(完全ではないのですが)
載せたいという方には、その選択をお願いしています。

今回の会長の講演での指摘もまさに、矛盾点への指摘です。
CO2を固定してくれる森を破壊しての、脱炭素って!?
本末転倒な事態です。

都市部もしかり、山でのゾーニングが必要と
森林会議でも訴えてきたのは、このためです。
(林業地、人工林と、動植物の棲める森とのエリア分け)

水も、空気も、森なしでは作れません。
(いろいろな科学的な方法もなくはないですが、圧倒的に量は少ない)

地球が自然に生み出したものは、自然に還るけれど
人間が作り出したものは、自然に還せない矛盾。

負荷をかけない選択をし、長い年月をかけてでも
地球に還っていくものを、選択する
つくり手と、使い手になりたいものです。

まだまだ、私自身も未熟です。
諸先輩方や、熱い思いの熊本おごじょの皆さんに刺激を受けて

逆風にも思える建築業界ですが、
私も、目の前のことを、一歩一歩、取り組んでまいります。

会議の開催と、今後の方向性を示してくださった
皆様に感謝して。

ぜひ、下記をチェックしてみてくださいね。

(一財)日本熊守協会、ここのくまもりNewsがおすすめ

ネーチャー生活倶楽部

地球環境への活動のレポートがおすすめ

災害による過疎化を懸念、歴史文化様々学びを通じて対策を考える

2021年08月16日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト
(天候が良ければ、緑と川の水で、
涼を取る事も出来ますが、今はそれすら叶わず)

お盆休みというのに、週末は
全国での大雨や土砂災害の発生。

大変、痛ましく思います。
被害に遭われた方々には、お見舞い申し上げます。

ここから書く話は、自慢ではありません。
悔しい思いの方が先に来ます。

日本の植林の山の荒れ方を目の当たりにして
間伐することの必要性を訴えるのに、
[森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト]して
2013年にムービープレゼンを作りました。

未来を見せるという手法であったために

「木々は、土砂災害で流されてしまった。」→禿山になる
「今では、わずかな水を求めてさまよう人々」
→山の保水能力がなくなり、飲料水が確保できない。

と、警告しました。

(別の星で起きた出来事、という設定で、
地球は環境問題に取り組んだので
回避できたというストーリーとなっています。)

なぜかというと、青々と茂った山に
そんな危険が迫っているとは、
一般の方の方々はつゆも知らないだろうと
考えたからです。

東京ドームホールで、発表しました。
共感してくださる方も、多くいました。
DVDで販売もされました。

それから、有志による
「森と樹と暮らしを繋ぐコミュニティラボ」を立ち上げ、

木育、間伐材の小物、啓発ソングに環境絵本など
一般の方に、山と街の関係性の危うさと危機を訴えてきました。

地域では、少しづつ、山の問題に取り組まれている方も増え、
問題意識を共有し、意気投合できる方も増えました。

けれども、大きなうねりまでには、到達できていません。

あの時の、プレゼンのように
現在が、なってしまっていることが
苦しいです。止めたかったのに。
(止められるとは思いませんが、少しでも食い止めたい)

志だけでは、何も変わらないのか!
と、悔やまれます。

一方で、こうした状況を、一般の方々とも
大いに共有する時代に突入したとも考えられます。

いろいろと、活動してきて
国は、補助金だけで対応しているということ、
人や制度が育っていないと、感じています。

政治的な動きがないと、今後は、
ますます地域の過疎化が進むと、
今度は、警告します。

もともと、過疎化が進んでいる地方に
災害で、追い打ちがかかるからです。

道路復旧、インフラ整備、予算無くしては出来ません。
土砂災害が起きると、復旧までの相当の年月を要します。

温暖化で、ますます、大雨と大雪が予想される中
危険な区域から、人は離れていくでしょう。

今、居る方の次の世代が、里山を離れたら、
せめぎあってきた、イノシシやシカの領域は増え、
畑が荒らされます。田んぼも。

命の作物がなくなったら?
バイオで育てれば良い?
水も、ろ過装置で飲み水を作れば良い?

いえいえ、そんな単純な話ではないですよね。

海と山と空がつながり、
その間に居る人間や動植物が生かされているわけですから、
どこかが荒れるとなると、全てが狂います。

課題を整理します。

土砂災害の原因。

1)開発が進み、自然破壊(危険区域など人が住めないところにも住居や施設)
2)過疎化、山の手入れ不足、里山崩壊
3)温暖化による気候変動

ところが、今は、1)のために、3)が進み、2)が起きている
負のスパイラルに陥っています。

食い止めるためには、逆のことをするしかありません。

一気に、1)が起きたわけですから、一気に逆を進めなくてはならない
でも、人類は後戻りできない。そんなせめぎ合いがあると思います。

しかしながら、46億年の地球上で
これまでも、人間のご先祖方は災害を乗り越えてこられた訳です。

何とか生き延びる方法は?ないでしょうか。
今の私たちではなく、次世代のためにも。

例えば、『働き方改革』という旗印があります。
時短とか、リモートワークとかだけではなく、
ライフスタイルそのものを見直し、
半分畑、半分デスクワーク。がスタンダードになるとか。

ぐっと踏み込んだことが必要になると思います。

住宅に太陽電池を載せるのを義務化とか物に頼るのではなくてね。
仕組みや制度、生き方そのものが変わらないとならない
そこまで来ていると思います。

些細なことですが、少し自分自身のこと。

コロナ禍となり、篭ることも増え、
パソコンには、一日中向かっていられるわけですが、
むしろ画面を見る時間を減らしています。

午前中は、明るい場所で、電気をつけず、
書類チェックや手書きをメインに。
午後のメールチェックと、作図などは集中して行う。

家での消費電力は、主に家電ですから。
冷蔵庫は手放せないとしても、
照明とパソコン、テレビは減らせますよね。

なるべく徒歩も心がけています。
これは都市部の場合。

地方は車がないと移動できませんから
やっぱり、ハイブリッドか、自動運転か、
一人乗り移動車の普及が肝要と思っています。
今は、コンパクトカーに乗っていますが。

それから、今後の研究課題は

−1)「縄文時代的暮らし」です。

争いがなく、自然と共生出来ていた時代の知恵を
もう一度見直したいと思っています。

北海道・東北地方の縄文遺跡も
世界遺産になりますものね。

日本民家再生協会お世話になっている雨宮大工は、
とうとう縄文人の生活を始められて。

昨年は本も出されて、教科書にも掲載されたそうです。

住まいの作り方を、生き物に学ぶ
という視点がとても素晴らしい。



−2)「土中環境」

建築的には、風水や家相に代表される
水脈と樹木の関係の元になっていますね。

こちらの書籍も、住まいの源流を学ぶ中で、
紹介いただいた造園家の方ですが、土砂災害を防止する
歴代の知恵を紹介されています。



−3)微生物

植物も、ウィルスも、免疫確保も。。。。
結局は自然の力に人間が恩恵にあずかるしかないですね。
2)の土の中のこと関連です。

微生物由来の薬を開発されたノーベル賞の研究者の
薬が、昨今、新型コロナに対して、
効くかもしれないという情報があります。
書籍を読んで、研究の背景も探ってみたりと。

イベルメクチンの効果、薬局サイトより
↑情報を信じるかどうかは、ご自身で判断してくださいませ

大村先生の書籍は、専門的なものから
生き方を学ぶ本まであります。





—4)思想、哲学、歴史

昨年に引き続き、日本列島の平和のための自然崇拝の古神道、
伝搬最終地点の日本、慈悲の仏教、
戦火や気候風土に対応してきた住まいの成り立ちの知恵を
少しずつですが、紐解いていっています。

あ〜、広すぎます(笑)

森と樹と暮らしを繋ぐということは、
学びはもう無限大ですね。

これまで、建築の世界で、物や形、色に素材、そういった
ハードな部分で生業を行ってきました。

仕組みや制度、今後の方向性を考えるとなると、
これまで以上に、歴史文化に学ばなければなりません。

等身大の自分でどこまでできるか
未知数ですが、

コロナ禍が落ち着いて、行動ができるようになるまでは
ぐっとこらえて、学びを怠らないで続けます。

世界の『樹々の物語』に触れて、平和を考える

2021年08月10日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト


8月8日(日・新月)は山の日でした。
オリンピックの閉会式と重なり、
イメージが薄れてしまったのはちょっと残念です。
(今年は、休日がいろいろと入れ替わっています。)

振替休日の9日(月・祝)は、長崎に原爆投下された日
こちらも、オリンピック結果のニュースで
新聞紙面も、賑わってしまい、
静かに黙祷する雰囲気も払拭されがちでした。

スポーツの祭典という4年に一度の
世界のお祭りに沸き立ちつつも、

今あるこの平和は、各国が過去の過ちを乗り越えてきたこと。
様々な人々の命の犠牲や、文化文明や自然環境の破壊の上に
成り立っているということを

じんわりと噛み締めながら過ごした
3連休でした。

そんな中、この夏の読書で感動した樹の本を紹介します。
森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクトのfbと一部内容は重なります。

ブログでは、感想も含めてご紹介しますね。

昨年は、日本国内の『御神木の本』
皆さんにお勧めしました。

今年は、少し発刊時期をさかのぼって、
世界の樹々の本です。(日本では2017年日経NG社より出版)

写真が最高に美しいナショナルジオグラフィックからの
『心に響く 樹々の物語』です。

その大木の持つ歴史、言い伝え
人々の祈りや想いまで含めての説明がついています。

1本の木の写真も角度を変えて撮られています。

小さく密かに
そして、ゆっくりと感動が広がっていく一冊です。

1.日本人も知らない日本の木

日本の木も有名なものばかりですが
昨今は気軽に見に行けない分、
この本で日本文化の背景も、
より深掘りすることができます。

特に、この時期の戦後の平和を思い起こす
2本の木には、心打たれます。

長崎の原爆を生き延びたクスノキと、
ワシントンの盆栽盆景博物館にある
広島の盆栽です。共に被曝地域にあったものです。

樹の命に、生命のたくましさと刻まれた歴史が
痛々しいほどです。

2.世界の負の歴史も見守ってきた樹々

世界を旅行することが叶わない今、ページをめくることで
ささやかな旅気分が味わえます。

オリンピック・パラリンピックで活躍する各国の選手たちの
母国を想像することにも、一役買います。


(各国の選手の活躍で、地図や国旗もよく眺めました)

その中で、世界の負の歴史
生き証人のような樹もありました。

そこで行われた拷問や、決闘といった、
人々の生死をかける行いが行われたこと

今では、禁止されているようなそれらのことも
見届けてきた歴史的な樹も掲載されており、

人間のおぞましさも垣間見ると共に、
それを見守り続けてきた巨木のおおらかさ、懐の深さ
実感するような写真と文章になっています。

3.あなたは、どんな樹を見て見たい?

私が最も実物を見てみたい樹は、
1番最初に紹介されている「太古の木」です。

カルフォルニアの荒野に生きるなんと
樹齢4800年以上と推定される
「ネバタイガゴヨウマツ」です。


その樹に付けられた名の「メトゥセラ」は、
私が設計業務の中で
古民家の修復やリノベーションを手がける仲間と
チームを組んだ時に、参考にした名前です。

この樹を知った時は、にわかに信じられませんでした。
今は科学的に、樹齢が分かりますものね。

仲間と話し合って決め名「チーム メトセラ」は、
この太古の木のように、
伝統的な家屋が、日本に残っていって
欲しいとの願いも込めています。

ちなみに、メトセラという名前は聖書に出てくる
超長生きの人物の名前から取られたようです。

著作権もありますから、写真での掲載ができないので
ちょっとだけ。

4.心配な地球環境

写真家の著者も、最初は、地球環境問題として
取材をしていたわけではないそう。

しかし、様々な樹との出会いから、
結果的に人間の起こした気候変動における
樹との関わりを見つめざるを得なかったと、
あどがきにあります。

著作がまとまる2016年には、CO2濃度が400ppmを超えること
4000万本以上・1日あたりの伐採を嘆くことが綴られています。

昨今は、それに、大規模な山火事が加わるのではないでしょうか。
毎年、どの国かで起きています。洪水もしかりです。

温暖化の影響は、樹木にとっても死活問題です。

5.切っても切れない樹と人間の関係。

私の生業も「木」と切っても切れない関係ですが
人の営みそのものが、「樹」なしでは、成り立ちません。

(柿本は立っている「き」を樹、
建築材としての伐られた「き」を木と使い分けています。)

どれだけの樹々に、人間が生かされているか
この本もしくは、当方のブログで
意識を向けていただく、きっかけになれば嬉しいです。

とても有名な樹の本になりますので、
全国の図書館にも入っていると思います。

よかったら、手にしてみてください。

私自身も、違法伐採の木を採用せず、
樹の命を無駄にしないよう
ありのままで、その木を活かす
設計活動に邁進していこうと

この平和を願う日と共に、
気持ちを強くした次第です。

2021年の酷暑にて、木陰のありがたさを実感しつつ
今年後半の展開に向けて、新たな取り組みも始めようと
新月祈りでも誓いました。

皆さんも、どうぞお元気で、
樹と平和に関わっていただけたら幸いです。


都市木造の魅力03 〜まち・ひとへのメリット〜

2021年05月31日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト

月食前日に撮影した満月。感動の美しさでした。

先週は、スーパームーンの月食、
今週は日本各地域で宇宙ステーション「きぼう」が
夜空に見えるなど、天空の話題に事欠かきません。

日頃、重力と向き合う仕事だけに、
無重力空間の宇宙には憧れます。

夜空を眺めながらも、
地上の話にお付き合いください。

今月は、都市木造の魅力をテーマに
綴ってきました。

5月最終日、都市木造の締めを綴ります。

予告では、目次_3)「街でのメリット」でしたね。
主に、まち、ひとへの効能、効果について、綴ります。

その前に、
皆さんから、寄せられる疑問の声に応える形で

木造の特性について
まず、おさらいしておきましょう。

1)耐震性は大丈夫?

木造で、一番心配されるのが
「耐震性はあるのですか?」の声。

これは、地震で崩れるイメージがマスコミ等によって
広く報道されてしまったから心配されるのですね。

熊本地震の倒壊した例も、木造が弱いのではなく、
シロアリによる木の腐れが原因のものや
金物が適正に使われていなかったものなどの倒壊が、
多くありました。

専門家には、そういう情報も入ってきますが
一般には伝わらないので、ここでお伝えしますね。

昨今の耐震性がきちんと確保されていた木造は
倒壊していませんでした。

そこで、くまもと型復興住宅は
性能の最高値「耐震等級3相当」
求められることになった経緯があります。

木は適正に使えば、山で生きた分の長さ、
伐採後も生きると言われます。
(日本最後の棟梁と言われる西岡常一談)

ヒノキ無垢材などは、育ってから
100年くらいが強度がピークに達するとも言われています。
(科学的に)

つまり、伐採後もまるで生きているみたいに、
進化するのが木です。

進化は、乾燥と呼吸です。木は水を含んでいるため、
乾燥したほうが、強度が増すためです。

その後緩やかにカーブを描いて
強度が下がっていくと予想されています。

話が逸れましたが、木の凄さを理解しつつも、
その使い方次第で、弱くもなり、強くもなるのが、
木造と思っていただければ、幸いです。

2)火災には強いの?

木の天敵は、シロアリ(腐朽菌なども)、水、火です。

火に関しては、木は燃えても炭化するという特性があり、
内部での火災時は、プラスチック製品や、カーテン等、
インテリアが燃える煙で人体がやられてしまうのが先だ、
と消防の方から教わりました。

外部からの火災からは、燃え代設計や防火構造、耐火構造など
骨組みが木造でも、守る方法があります。

火災に関しても、杉板で1mm/1分=1センチ/10分
という火災の進行が実験で確かめられています。

防火構造は30分ですから、3センチあれば、
内部まで火災は進行しないということになります(理論上)
(隙間など実際には、別要因も働く)

無垢の木だけなら厚みを確保。
実際には、ボードとの組み合わせなどで、認定されています。

3)腐ったりしないの?

水に当たっても、木はすぐには腐りません。
そこに腐朽菌がいなければ。

昔の時代劇など、
川べりに木材が水につけられたまま
置いてあるシーンをご覧になった方もおられるのでは?

山から切り出された木材は、
川の水ででまちに運びましたし、水中で養生していました。

もともと山に立っているときは、
雨水にさらされてきたわけですから
水には強いのです。
(木の皮に撥水効果あり、
杉皮などは屋根防水に重宝されました)

しかしながら、皮を剥かれた後の丸太は外側が白太と、
根からの水の通り道なので、その部分は、そのままですと、
シロアリが大好きな部分です。
(水があるとヤマトシロアリは土中から登ってこれる)

ですから、水に当たっても、
乾くようなディテールが必要になってきます。

外壁に杉板を貼っても大丈夫なのは、そんな理由からです。


外壁が杉板張りの事例

4)適正に使えば、木は丈夫で長持ち

以上のことから
本来、木は適正に使えば、長持ちします。

世界に誇る日本の伝統的な木造が長寿命なのは、
先代の知恵と技の結晶だからです。

もちろん、木材も良いものが使われています。

それに対して、都市木造

実は、これまでと少し話が変わってきます。
なぜなら、木をそのままで使うには、
限界があるからです。

多くの社寺仏閣が、天然の大木を利用した
大断面の木造です。

しかし、大木は日本には、そう多くは残っていません。

まして建材となると、流通材でせいぜい360mm~410mmの梁成。
これでは、大きな建物が建ちません。
(製材の組み合わせでトラスなどは構築可能)

そこで、集成材利用や、ボード状のもの、
CLT(クロスラミナーティンバー)などが、用いられます。

5)今は、耐火木造もできる時代

耐火木造となると、主に
  • 被覆型(木を退化被覆材で覆う)
  • 鋼材内蔵型(鉄骨などを木で覆う)
  • 燃え止まり型(燃え止まり層で覆う)

といった方法が確立されてきました。

研究者、施工者、など専門家による実験、検証の結果、
仕様規定など法律も揃った次第です。

それらは、伝統的な造りの建築とは、大きく違います。
その代わり、中層階が可能となってきました。

では、そこまでしてなぜ木造にこだわるのか。。。

山問題の解決、環境負荷への軽減という視点で
前回まで、述べてきました。

しかし、そこばかりでは、
私には関係ないわ。
と感じてしまう方が大半ではないでしょうか。

そこで、柿本がおすすめする
まち人へのメリットをお伝えします。

<都市木造のまちへのメリット>

1)工事中の騒音、車両通行止めが軽減される。

これは、実際の現場を見て、感じたことです。

もし、このビルがコンクリート造だったら?
と仮定してみましょう。

各階ごとに、コンクリートを打設しますから、
ゴー、ゴー、という騒音が響きます。

また、道路も通行止になる時間が長くでなるしょう。
ミキサー車も、順番を待たなくてはなりません。

今回の木造ビルの場合、木造の柱はレッカー車で運び込まれ
順番に、積まれていきました。



ちょうど隣のビルに知人がおり、まさに現場を覗き込むように
見せてもらいました。特に、不快な音はしなかった様子でした。

2)軽いため、地盤改良がRC造に比べて、少なくて済む可能性が高い

都市部で大きなビルを建てる時、
最初に地面の中に、鉄の棒状のものや
コンクリート製の棒状のものを
埋め込んでいくのを、
見たことがある方もおられるのではないでしょうか?

マンションや、団地などでもそうですね。
必ずと言っていいほど、地盤改良や補強がつきものです。

上に乗る建物の荷重によっても左右されるため
(重いと補強も大きくなる)
軽い構造は、事業主さんにとっては、
工期短縮や、金銭的なメリットがあります。

3)固定資産税が安い。減価償却が早い。

コンクリート建築や、鉄骨造に比べて、減価償却が早いため
事業主にもメリットが大。これは経済的なメリットですね。

次に、木造全般に言えることですが、
木が表しになっている部分があれば、

4)木の香り、匂いに癒される

木というものは、いつまでも芳香します。

もちろん、塗装で覆ってしまっては、
塗装の匂いになってしまいますが
呼吸する自然塗装系で仕上げた場合には、持続します。

5)木目には、揺らぎがあり癒される

本当に、人間って、木目が好きなんだなぁと思う瞬間は
偽物の木目調シートが張られた内装を見かける時です。

トイレブースの扉。テーブルの天板。フローリングシート。
など、どこかで必ず目にしたことがあるでしょう。
最近は、タイルの模様にまで、ヒノキが出てきました、笑。

実際、科学的には、木目というのは、不規則性があり
その「ゆらぎ」が、人の視界を疲れさせないのだそうです。


内装木質化の事例、階段を登る際に目に入る腰板の木目。
癒し効果が大。

これは、体感している方は、良く分かりますよね。
お客様などは「落ち着く」
「気持ちが良い」などの感想をおっしゃいます。

6)土に還る。

木は、天敵と思われる、腐朽菌やシロアリのおかげで
土に還ることができます。ゴミにはならないのです。

ただし、接着剤や塗料など有害物質を除きます。

私がこれまで都市木造に疑問があったのは、
実はこの部分です。

接着剤は、燃えた時に有害物質を出さないのか、
シックハウスになる材料で固められていないか、、、
などなどは、都度メーカーに問い合わせています。

今後、目にかなう材料があれば、
積極的に採用していく所存です。

長くなりました。
本日のところは、以上になります。

まだ、私自身は都市木造へのチャレンジは
これからなので、実体験として、
メリットが増えていった場合には、
またお知らせしていきます。

木のことになると、筆が止まらない!?ので、
随分と、長くなりました。

適正に使えば、木は最高の材料ではないか?!

と思っていただけたら、嬉しいです。

それから、最新情報です。

スギがコロナウィルスを死滅させる!?
というような研究も行われていると
木のものづくりの仲間から、聞きました。

これは自分自身で研究論文を入手し、
検証結果を知ったのちに
きちんとお伝えしていければと存じます。

本日は、最後までおつきあい頂き、
ありがとうございました。

茅の復活は、究極の循環型社会につながる!

2021年05月25日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト

横浜のマイパワースポットの一つ
茅葺き屋根の西方寺。いつ見ても美しいです。

今月は、都市木造の魅力をテーマに
綴ってきました。

本来なら、03「街にとってのメリット」のご紹介の予定でした。
しかし、本日は、森のネタが書きたくなり、
ちょっと山の話にそれます。

昨日の感動が冷めやらぬうちに。。。

ブログ月曜日更新が、1日遅れとなってしまいました。
実は、昨日は、月1回の日本民家再生協会のズームミーティング。

3時間にも及ぶ長丁場となり、
ブログを綴る時間切れ〜となってしまいました。

事前の日曜日に、書いておけば良いのでは?
そうですよね〜。自分でもそう思います。

がしかし、今回は、なんと実家より梅が届くという
嬉しいハプニングが。

6月初めの予定ではなかったっけ!?
知らせを受けたのは「もう送った」あと。

梅雨が早まり、晴れ間を見て、急ぎ父が採ったのだとか。
小梅は数も多く、それなりの苦労があったはず。
せっかくの好意を無下にはできません。



予定もあった週末+梅干し作りに精を出しておりました。

ヘタ取り。量は少なくても、数は多いので、
普通サイズの梅の方が、やりやすいのだと実感。

こどものお弁当用に、小梅がいいなぁー
と、言ってしまったばっかりに、笑。

お家時間も、充実しすぎでしょ!(=家事のやりすぎでしょ)
ってな感じで過ごしております。

(コロナ禍のおかげで、梅干しは、初挑戦)

それに、ミーティングが長引いたのも、
議題が古民家などの災害支援のことであったことと、

今、私が、最もエコで環境に貢献するとして注目している材料
「茅」(ヨシやアシのこと)を研究しているという東大の方の
どんな研究を進めているかの話があったからです。

私の中では、密かに『風の谷のナウシカ計画』と呼んでいる
草原の黄金の風景。(阿蘇に近いものが、実際に風景としてあります)

密かにと言いながら、書いちゃいますが、
土砂災害防止に、スギの代わりに、
草原の山を復活してはどうか!
という想いがあります。

以前から、「植えない森」=植林だけではない森
を提唱していますが、

やはり、自然に帰すだけでは、里山復活論にはなりません。

建材として、肥料として、
使われるものがある山であれば

循環する人の営みの一つの手段として、
検討の余地があると思うのです。

それにスギは、活かすのに何十年もかかりますが
茅類は、、、1年更新ですものね。早い!

ただ、茅葺き屋根も、この世から消えさりそうな勢い。

屋根だけではない、古来からの活かし方や、
新しい使い道がないと、、、と、思っていたところ

昨日の方の研究では、それも模索中とのこと。

ネタバレはいけませんが、
民家再生協会の講義の中で、
電波に乗った情報を少しだけ、

なかなかに良い菌がいるらしいとのこと。

ウィルス対策とまでは、行かないにしても
ウィルスとの共存の世界突入の時代には、
非常に有用なものではないかと、期待大です。

これからが、楽しみですね〜。

SDGsと旗振りだけが上手な大人たち(戦略家?)
と違って、地に足がついた若手がいることに
まずは、感激しました。

何が本質か気がついている人がいて、
手探りの中、行動している人がいて、
私にも励みになりました。

今は、家族の安心安全を守る(熊本も横浜も両方の家族)
クライアントさんの利益を守ることに、
精一杯ですが、介護も子育ても、いずれ終わります。

その時は〜、弾けたいですね。

今は、その時のための学びの時と、
想いもじっくりと熟成中です。

「そうはいっても、行動すればいいじゃない!」
との声も聞こえてきそうです。

そう、今回のこの気持ちを忘れないためにも、
ブログに綴りました。

一般社団法人日本茅葺き文化協会のHPはこちら

日本民家再生協会でお世話になっている
安藤邦廣先生が理事を務めておられます。

そこで、思い出したのです。

今春、熊本で行われた茅葺きフォーラムの
記事を書いてなかったですね。



個人fbにアップして、安心し、
すっかり、お披露目するのを
怠っておりました。

茅葺きの写真はその時のものです。

熊本は山都町の八朔祭の山車は、自然素材のみで作られたもの。
造形的にも素晴らしい出来で、大迫力。



木造は、製材に制約があり、
コンクリートのように形の自由設計は難しいです。

しかし、茅葺きなら、曲線が描ける!
ということに、とても魅力を感じています。

メンテナンスの課題はありますが、
雨仕舞いに問題はありません。

それに、世界ではいろいろな建築が作られている様子。
刺激を受けました。

使ってみたいです!