せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

古民家再生は熊本の木見本市!?

2016年03月29日 | A04監理_熊本県X邸古民家再生


「こんなに木材が必要なのですか?」

ご近所の方が再生現場をご覧になっての
依頼主への驚きの声だそうです。

そう、必要なのです! 

今回は伝統構法を生かしつつ、耐震補強をするため
バランスよく壁を配置しています。

柱の引き抜きが起きやすいところは、最低限の金物も使用しています。

そうやって補強の木材だけではなく、
下地材、仕上げ材もほとんど熊本県産木材。

国産の木材で現場が進められることの幸せよ〜。

↓2階床はそのまま天井表しになるスギ板


ハッピーになるのは、木に恋した設計者だけではないですよ。
熊本の山の環境にも、林業や製材所さんへの貢献にもなり、嬉しいのです!

今日は現場に集まってきた熊本の木たちをご紹介。

1)構造の梁は、マツ・・スギやヒノキより強度があり梁に適します。
(人吉・球磨地方から)
↓写真の古材に混じって、白い梁はそれです。主要構造部の他の梁もマツを採用


2)窓枠の化粧板・・小国スギ 熊本のスギのトップブランド。
(阿蘇地方から)
↓写真は、まだ現場には置かれた状態の板

寒い地域で目が詰まって育つのでその木目の美しさには定評があり。
今回は化粧部分に使います。

3) 家具面材や建具枠・・五木村の葉枯らし材。
↓板目の感じはこちら

なんという贅沢でしょう。直接良材を仕入れてくださる
工務店さんに感謝!

2箇所だけ熊本の木ではないところが。

1) 床材のヒノキ
2) 建具の面材

その理由は、ヒノキの良材は他県の方が美しいからなのです。

生産も、流通も整っているから、
搬送代を含めても価格が安いのです。
↓それで、この木肌です。熊本産はかないません。吉野ヒノキです。


建具の面材の方は、広幅を要するので、
細幅板のスギやヒノキでは追いつかないのです。

板戸でもできるのですが、手間がかかりコストがアップ。
見せ場のところは、国産木材で作りますが、
なにせ広い面積のお宅。引き戸の数も多いので、コストに見合いません。

ですから、一部はコストダウンで合板を採用します。
もったいないことではありますが、限られた予算内でベターな配分と
依頼主、施工者との協議の結果です。

3方良しを考えてのこと。
出来上がりはきっとバランス良くなると信じて!

構造や断熱など専門的な性能のことは、
MKデザインスタジオ一級建築士事務所のHPにアップしました。

写真も少し違います。古民家再生にご興味のある方は
こちらも合わせてお読みください。
http://www.mk-ds.jp/newworks/2016/03/post-36.html


願えば叶う!?感謝の日々を過ごして

2016年03月27日 | ワーク・ライフ・バランス


先日、仕事の打合せに向かう車中で、懐かしいお店を見かけました。
こどもの時に憧れていたケーキ屋さんです。

あぁ、すっかり老舗になっている。

子ども時代は特別のケーキでした。ですから、
久しぶりこのお店の商品を味わってみたいなぁと
心で思いながらも、立ち寄る暇はなく、過ぎ去りました。

そうしたら、なんと、
昨日サプライズで頂いたお菓子が、そこのお店のものでした。

まぁ、なんという偶然。一度もその話をしたことがないのに。

たくさんあるお店の中、今住む場所から、遠方のその場所のお菓子を
わざわざ、私にプレゼントして下さるなんて!

ねぎらいとして、PTAのお仲間から頂いたという出来事だけでも
嬉しいのに、さらにおまけが付いてきたというプレゼント。

願っていると、何だか通じるのね。というお話しです。

なぜ、そんなことが起きたのかというと、流れがあるのでしょうね。

熊本に来て、4年目の春です。
横浜から引っ越すときに抱いた不安は母の病だけでした。

自分の仕事、自分の家庭のことは、どうにかなる!
という妙な自信の中で、本当になんとかなってきました。

横浜を離れるときに、関わっていた建築士会、地域、学校、学童の役を
代わりに引き受けてもらい、こちらに来ました。

事情を察し、快く引き受けて下さる方があってこその引越しでした。

ですから、熊本でも役は快く引き受けようと誓い、
地域とはいろいろな関わりをしてきました。
今年度は、単身赴任になってしまったという方の役割を手伝いしました。

思った以上に役が多くて、出番がいくつか重なると
仕事にしわ寄せも出ることもあり、
正直しんどいなぁと思ったこともあります。

仕事も、ボランティアも同列にある私としては
楽しみつつも、エネルギーを同じように使い、

一銭にもならないことを真面目にやるのってどうなの?

と時々自分に問いかけながら、
それでも、

地域への貢献、
こども環境の改善、
人との交流、

という宝物のような出会いに、心の豊かさは増したのでした。

そして、このサプライズのプレゼント。という訳です。

ご褒美のために頑張ってきたわけではないけれど、
理解してもらえたという嬉しさはありますよね。

新年度は、役も減ります。
これからは、この頂いたご縁を、自分から積極的な役割、

建築や住まいのものづくり
まちづくり
森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト

にどんどん活かしていこう!

と誓う春です。

熊本の木の加工場レポート

2016年03月25日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト



森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクトの
fbにアップした内容をさらに詳しく記載しています。

昨日木曜日は、「もくぴーすの日!」に、
熊本の板材加工場にお邪魔しました。

曲がる杉マットを扱ってくださっている方の
ご紹介で、加工場を拝見。

↓この機械で、木を削ります。


Webでは、木の香りをお伝えできないのが残念なくらい、
木の香りに包まれていました。

「森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクトでは、日本の木しか扱いません!」
と話すと、「そうれがいい!」と一同うなずいてくださった有難さ。

「以前は外材ばっかりだったけど、最近は国産の木が出る」
と嬉しそうに話して下さる2代目。

若き3代目は、熊本の木で
オリジナル商品を製作なさっています。


その名も「ゆらぎ面」
木目の美しさに癒される商品です。

↓具体的商品はこちら
http://www.sangyo.or.jp/company16.html

これから、インテリア、内装、家具、
様々なものづくりに活用したいですね。

それから、入ったばかりという
新しい加工機械を見せてもらいました。


CADで設計したものが、加工されるそうです。
お〜、建築の内装の可能性が広がりますね!

これまで実現していなかった内装のもくぴーすも可能に!?
良いタイミングでご縁をいただきました。

今日のところは、工場のお話です。

今後、森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクトとして、
コラボ商品ができましたら、順にご案内していきます。

熊本の木とのつながりが益々増えて嬉しい限りです。
ご紹介くださった方に大感謝ですね!

百年桜に森づくりの願いを込めて

2016年03月21日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト


春分の振り替え休日の今日。

熊本では、県知事選挙前一週間の最後の休日と、
街頭演説で賑わう日でもあります。

「森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト」を進めて行く際に
行政、政治的な指針がとても重要と実感しています。

はっきりとした森づくりのビジョンがまだない我が国で
ぜひ、熊本から、本質を見極めた、

森と街と人と生き物の関わり方を踏まえた
森づくりがなされることを願って、
ある方に想いを託して来ました。

お忙しい中、当方からの「植えない森」の絵本を
受け取ってくださった候補者の方、誠にありがとうございます。

その握手の手のぬくもりから、きっと叶えて下さると信じています。
お願いしたことは、3点。
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1)くまもとに、森づくりビジョンを!
                                           
森の生き物の棲める場所と林業エリアと里山環境保護の
ゾーニング計画を立て、害獣被害、土砂災害を防ぐ
                                          
2)くまもとに、皆伐ではなく間伐を!
                                          
建築資材になる太さの木の育成をし、循環する林業へ
                                              
3)くまもとに、森林通貨、森林くじ引きを!
                                           
家を建てる人だけではなく、県民一人一人が
県産木材に触れるチャンスを!山にお金が落ちる仕組みを

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ご本人に渡すのを躊躇する私を、
直接本人へ渡されるがよいと
導いてくださったサポートの女性の方にも感謝です。

そして、このチャンスを教えてくださった
チラシ配布された地域の方にも感謝申し上げます。

校区内の百年生きる桜にも、そのお礼とともに、
これからの明るい未来を祈ってきました。



過疎化、地域の疲弊、廃校、
様々なネガティブな話題が絶えない熊本の地。

それでも、未来は明るいと信じたいし、
できることは行動していきたい。

ただそこにいて、物言わぬ桜も、じっと耐えて
毎年花開くための力を蓄えている。行動しているのです。

長老であるその桜を見上げながら、

じっくりと考える時期と、
行動すべき時期と
そして、さらに成長していくことを、前向きに捉えるように、、、。

そんなことを教わっているようにも思えます。

一歩一歩私も、持てる力を地域に生かしながら
成長して行きたいものです。


お彼岸にご縁の深さを思う。

2016年03月19日 | 季節感のある暮らし

↑最近の朝焼け。まさに「春は曙」を満喫。

春分を挟んだ前後三日間、合計7日間を彼岸と呼ぶそうだ。
(暮らし歳時記より)

暦では、3月17日お彼岸の日に、ご縁のある方が亡くなった。

その日は、ご先祖の地、生まれ故郷からの来客があり、

ご先祖への想いも抱きながら、過ごした1日であったのだが、

次の日、朝早くからの連絡で、そのことを知り、

ますます、縁というものを感慨深く思ったのである。

亡くなった方は、現在の私が特に親しくしていたわけではない。

それでも、建築の道に進むきっかけを作ってくださった方であり、

その行動力、
矍鑠としたお姿、
地域への貢献度など、尊敬している方でもあった。

その方が、この世に生を受けて、

建築に関わる仕事をされていなかったら、

この地域にいらっしゃらなかったら、

私はものづくりの現場には出ていなかったかもしれないのである。

『家は買うものではなく、つくるもの。』

中学生の時、そう、目の前で住まいの現場を見て感じ取ったこと、

将来の道を決める高校生の時に
建築学科への進学を決めたのは、その原風景があったからだ。

その方のお孫さんご家族と、今は親しくさせていただいている。

縁は巡ってくるのだなぁ。
と、しみじみ思う。

仏教では、欲や迷いがある現世を「此岸」
煩悩を脱した悟りの境地を「彼岸」というそうだ。

彼岸に行かれたのだなぁ。
この日が巡る度に、きっとその方を思い出すことになるだろう。

いろいろな縁が巡り、自分というものがつくられていること。
自分の中にある核は、誰かの影響を受けて出来上がっていること。

そういったことを、一つ一つ思い出しながら、
感謝の念とともに、お焼香をあげさせてもらう。

先週、今週と、自分でも驚くほど予期せぬ出来事が続き、

学校や地域の年度末の役員引継ぎや、
総会などの合間をぬぐいながら、対応しつつも、

仕事やプロジェクトも、押せ押せとなり、
この3連休は、最低限の外出で引きこもりで業務である、笑。

それでも、こうして、気持ちの整理ができてほっとする。

古き良きご縁と、新しいご縁とが交差する春を、
じっくりと味わうことができていることに感謝して。