せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

日本民家再生協会のオンライン講座 「災害大国日本を生き抜く、民家再生の技術と心得」を開催して

2023年07月03日 | 災害に備える2021_23


梅雨時期は、災害の多発時期。

7月になると、熊本の球磨地方の豪雨災害を思い出し、
いまだに、心苦しくなります。明日4日で丸3年。
熊本地震の後、追い討ちをかけるかのように起きた水害。

橋が流された現地での被災状況の様子。
泥だしの作業に関わったことなどが、
昨日のことのように思い出されるのです。

今日また、今度は山都町で、橋が流されるほどの大雨。
本当に辛いですね。

元々九州は、台風や水害は、多い地域ですが
数年おきに、大きな災害が起きるとは!

温暖化の影響は、干魃と洪水の繰り返すとは
言いますが、これからも九州は頻繁に
洪水に悩まされるのでしょうか。。。

いえ、九州だけではありません。
全国でも同じようなことが起きています。

先週末から、全国的な大雨と、
土砂災害雨などの被害が多発。

この時期、なんとか、
命を落とす方が出ないよう、祈るばかりです。

地震や水害の被災地支援の経験から、
乗り越えるレジリエンス力と、その修復の知恵など
何とかして、共有できないものかと、想わない日はありません。

そこで、今年は、現地でのボランティア活動に加えて、
日本民家再生協会の仲間と、オンライン講座を開催しました。

先週の日曜日のことです。

講師は、建物修復支援ネットワークの長谷川順一さん。
地震の際も、水害の際も、熊本に支援に来てくださった方です。

被災地支援に関わった熊本の建築士であれば、
知らない人はいないでしょう。
県が講演を依頼するような方ですから。

熊本でも、何度かご一緒に活動しました。
先日は、奥能登地震の支援活動にも、参加させてもらいました。

講座は、長谷川さんの19年間の活動記録ともいえ、
広く、深くて、それは本当に素晴らしい内容でした。

実際に、まだ復旧中の方の試聴や、
被災したばかりの地域からの視聴もあり、

また、感動して、涙が出そうというコメントもありました。

被災建物を通じて、人と人とのつながりや助け合い、
そして、苦悩の先の明るさのようなもの。。。

どの事例にもそういった物語がありました。
技術的な、お話は、あり過ぎて、キーワード紹介に終始しました。

最後に、講座に、参加いただいた皆さま
ありがとうございました。

アンケートでの感想を読むと、非常にわかりやすく、
そして学びの多かった講座だったことが分かります。

現場での経験と、豊富な事例写真に
皆が納得の理解を示してくれました。

災害は、遭う前と、遭った後では認識が変わります。
支援の体験をすれば、もっとです。

これまで、NPOの日本民家再生協会では、
個人的に活動されている方がほとんどで、
組織だって活動ができていませんでした。

あくまで、民家についての勉強会や体験会、見学会が主でした。

私が、しつこく、災害支援も活動に取り入れて欲しい。
と、言ってきたおかげで、実現した講座でした。

基金も設立されました。



百聞は一見にしかず。

私自身がそうであったように。
災害を知る前と知った後では、全然違います。

参加者の全体はわかりませんが、回答くださった方には、
ボランティア活動経験者も半数近くおられ、
やはり関心が高いことが分かります。

座学で学んだことは、ぜひ、実践にも活かしていきたいですね。
きっと、誰もがそう思ったことでしょう。

次回の講座や、シリーズ化を望む声も多く、
皆さんの心に響いたことがわかります。

災害大国日本を生き抜く、一人として。
そしてまた、一つでも多くの民家を救う技術者として。

そして、被災者に寄り添える一人として。

微力ながら、携わっていこうと思います。
講座に参加してくださった皆さまと
志を同じくする事ができたことを嬉しく思います。

ありがとうございました!
そして、実践して参りましょう!


トルコ、シリア地震のこと

2023年02月15日 | 災害に備える2021_23
バレンタインデーだった昨日、2月6日未明と7日に起きた
トルコ、シリアで起きた大地震から一週間が過ぎました。
浮かれる気分にはなれませんね。

日本からの医師団の救助隊も
やっと現地入りしたことでしょうか。

連日の救出作業の報道には、胸が痛みます。

日に日に、死者の数が増えて、
14日現在では3.5万人との報道も。

まだ、救出されていない方がおられるので、
この数もいずれ膨らむと思われます。

阪神大震災の際も、刻々と増える死者の数に
慄いていた自分を思い出します。

<救出時間>

72時間が、生存の可能性ぎりぎりという時間を超えて
150時間で救出された子どももいると聞くと、本当に
よく頑張ったと感動もしながら、しかし、一方で多くの
命が尽きていくこと思うと、辛いですね。

寒さは、氷点下にもなるとのこと。
避難されている方々のご苦労は想像を超えると思います。

先週末の関東の雪で、寒いと震えながらも
室内で過ごせることが、どんなに幸運なことかと
噛み締めざるを得ませんでした。

今回の大地震の教訓、そして
さまざまな報道の中で、気になったところなど
記録として綴ります。

<初めて聞いた言葉「双子地震」>

トルコとシリアをまたぐ南北と、
東西方向に、2つの断層で9時間の間に起きた地震。
V字に広がるその被災地

熊本地震で経験した前震、本震
を思い出します。

大きな地震が重なると、本当に被害は甚大になります。

そして、この言葉も初めて耳にしました。
建築の専門用語です。

「パンケーキクラッシュ」

トルコのアンタキヤの中層の集合住宅が、
階が折り重なるように崩れた様をご覧になった方も
多いと思います。

まるで、パンケーキが重なったように
崩れる様だそうです。

日本では、中層のコンクリートの壁式構造の団地形式の建物は
昨今の日本の大地震で最も被害を受けにくかったと、
言われています。安定した形と、無理のない高さで
耐震性が良いのです。もちろん、日本の基準の場合ですね。

これは、名古屋市の防災センターの講演で
超高層ビルへの警鐘のセミナーで知ったことです。

<施工不良か?>

その安定した建物のはずが、このようにもろく崩れていく。。。
地震の規模もさることながら、
工事の不良施工も疑われています。

今回の、地震被害が大きくなったことは
やはり、耐震補強が進んでいなかったことが大きいそうです。

施工不良も原因と、施工者への法的措置もとるという報道に
世界最古の建築に関する法律、古代の
「ハンムラビ法典」のなかの一節を思い出します。

「設計した家が壊れて人が死んだ場合、死刑に処す」
という大変に厳しい法律です。

私たちは、学生時にも建築家はこれを肝に銘じるよう
学びます。

ハンムラビ法典といえば、バビロニア、
現在のイラクは、シリアのお隣。

この辺りは、古代も地震が多かったのでしょうか。
あるいは、手抜き工事が多かったのでしょうか。

今は、死罪にはなりませんが、本当に工事に不具合があったなら
歴史から見ても、厳しく処置されるのではないかと思います。

<発生時刻による被害の違い>

そして、気になったのは、やはり地震発生の時間です。

朝の4時といえば(正確には4時17分)ほとんどの方が
眠りについておられるでしょう。

阪神大震災の際に、朝方の朝食準備で火災発生が増えたように、

熊本地震時は、皆が寝静まる前で、
家屋の外に人が避難でき、死者が少なかったように、

時間帯によっても、逃げられるか、逃げられないかで
大きく変わってきます。

私たちの備えは、建築的には、耐震補強が一番ですが
すぐにできることは、やはり避難の準備だと考えます。

未明に寝ている際でも、咄嗟に防災バックを持ち出して
外に出られる準備をお願いしたいですね。

超高層にお住まいの方は、免震構造でも
相当な横揺れが発生しますから、家具の固定は必須です。

それから、シリアでは、500年ほど、大地震の記録がないそうです。
つまり、空白域。頻繁に地震が起きないところでは
防災訓練など、行わないかもしれません。

知恵も継承されにくい。
何度も大地震に遭っているトルコより
準備不足もあったのではないかと想像しています。

今回の大地震、実に長い距離で170KM以上だそうです。
避難場所の確保も、支援救助も広範囲に渡り
これからの復旧復興も、相当な時間が要されます。

幸いなのは、国際的な救助が少しづつ入り始めているということ。
当事国ではないところからの
手が差し伸べられる時代であるということは
一つの救いですね。

対岸の火事と物見で終わらせず、教訓を生かし
日本でも、耐震補強や備えが進むことを願います。

ご心配な方は、寝室だけ、シェルターなど
大掛かりではない、補強も考えられます。
ご検討ください。

最後に、今回の大地震でお亡くなりになられた方々の
ご冥福をお祈り致します。

先立って被災地入りし、救助活動にあたられている方々には
余震に注意して活動下さいますように。。。

大地震で、水不足、余震の多さで睡眠不足を経験した身としては
みなさまに、どうかご加護があるよう強く願います。

下記の報道ページも合わせてご覧ください。
参考までに。

読売オンラインニュース230214

NHKニュース230215

災害列島日本「水害被害に遭ってしまったら?」 〜災害に備える06〜

2021年03月08日 | 災害に備える2021_23

震災がつなぐ全国ネットワークのパンフレット表紙
本文にリンクがあります。


前回予告の、
「水害被害に遭ってしまったら?」を綴ります。

実際に、被災にあった知人友人の話や、
昨年7月の故郷の豪雨災害の支援で伺ったこと、

専門家向けのセミナーやシンポジウムから
具体的な建築の処理について、ご紹介します。

まず最初に、何と言っても、安全確認と避難です。

友人は、川の水位がどんどん上がるのを見て
急いで、車にパソコンを積んで仕事場から逃げたそうです。

本人が災害に逢うのは初めてですが、
過去に水害が起きた地域だったからです。
熊本の方です。

一方、避難しなかった方もおられます。

それは、水害が起きると思われていなかった都市部の地域です。
神奈川の方です。
河川の氾濫の前に、水路から内水が溢れたとのことでした。

「分かっていたら、車だけでも、避難させた」
と、おっしゃっていました。

この明暗を分けたのは、何かというと
洪水が起きるかどうかの正確な情報と、
近隣で危機を共有することだったようです。

後者の方は、一度水が引いて、大丈夫かなと思った
ということでした。何が起きているのか、
確かめることはしなかったことを
とても悔やまれていました。

まさか、自分のところが!?

ですよね。本当にそうだと思います。

災害にあうはずないという心構えで過ごすのか

次は、自分のところかも?と、意識して過ごすのか

この違いは、とっさに行動できるか
にかかっているように思います。

いつも心配して過ごすのではなく、
大雨や台風時に気にかける。
天気予報や自治体の出す情報を
まめにチェックする。

その時が近づいてきたら、用心するということです。

そして、このエピソードは、
私自身も、日頃どう行動するか
シュミレーションが必要だなと思いました。

家族に津波の話をしたら、
「ここには来ることないから〜」と、一笑に。
しかし、近くの川の氾濫は、ハザードマップにもあります。

近くで起きれば、当然、上下水道、ガス、
電気何かしらに影響が出てきます。

私は、この「ココでは起きない」も、
良いとは思えない考え方です。

近くで起きた場合の備えもいると思っています。

電車で帰れない。病院に行けないなど、
様々な不具合が生じるからです。

それでは、具体的な話に移ります。

水害にあった時の、その後の行動のことが
詳しくイラスト付きで書かれたパンフレットがあります。

こちらのボランティア団体に掲載されているので
ぜひ、ご参照ください。

震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)
ボランティアの方々のノウハウは素晴らしいです。

日本各地を回り、手助けしながら、災害日本列島の
蓄積された情報と知恵が詰まっています。

罹災証明や、被災状況の写真撮影、保険のこと、
まで、網羅されています。

建築士でも、被害にあったことがなければ
まず、どう対処したら良いのか、知識がなければ
慌てふためきます。

その具体的内容は、こちらを読んで頂くとして、

この中から、私が特に、住宅でお伝えしたいのは、

大きく2点。

1)壁、床下の浸水を見落とすな!
2)十分な乾燥を!

これが、実際被害にあった場合の対処法、2本柱です。

断熱材など、水を含んでいるものが
後から悪さをします。

十分に乾燥していないと
壁のボードを貼り直しても、後からカビが発生します。
   (理想は、1年間の乾燥)

これは、熊本で実際にあったことですが、
改修工事のコストダウンのためと、
大工ボランティアさんが
浸水ラインで、ボードをカットしていかれました。

内部の木下地などは水を吸ってしまっているので
実際は、浸水ラインよりも、
上でカットし、乾かさないといけません。

少なくとも、30センチ。

この話は、以前も綴っていますが、
やはり再度記載しておきます。

また、床下の浸水を見落とし、床を張り直しても
カビ臭さが取れず、おかしいと思って覗いたら、
排水できていなかった!なんてことも。

やはり泥が入っていないと思われるお宅でも
床下の確認は必須です。

そのための床下点検口や
基礎の人通孔は、建築時に備えておきたいですね。

そして、お泥水が入った場合には、消毒。

その薬剤が揮発するためにも、
十分に乾燥させて頂きたいですね。
温風機やや扇風機を使って。

薬剤が心配な方は、高圧洗浄などで、
こべりついた泥も落とせると良いですね。

水の反対は、「乾燥」と覚えると良いと思います。
お肌の乾燥は大敵で、水分の潤が必要ですが

水害の時は、逆で、乾燥に消毒と覚えておきましょう。

何を持ってしても、
被害に合わないに越したことはないのですが

昨今の気候変動では、いつどの地域で、洪水が起きるか
本当にわかりません。

特に、事前に、津波や洪水の
ハザードマップを確認されますように。

そして、意識も、ご準備ください。


災害列島日本「台風」と「大雨」による「洪水」対策 〜災害に備える05〜

2021年03月01日 | 災害に備える2021_23


3月です。風も、水も暖かくなってきました。
梅の花も満開のところも。

月が変わりましたが、2月に引き続き、
災害シリーズ、続けます。

まず、はじめに

2月21日から続いていた
栃木県足利市の両崖山(りょうがいさん)の火事が
ようやく延焼の恐れがなくなったとの
ニュースが入ってきました。

実に106haが焼けてしまったようです。
鎮火にはまだ4、5日を要するようですね。

乾燥と風、そして枯れ枝と
火災が広がる条件が整ってしまった、
恐ろしい出来事です。

火災というのは、一度広がると
本当に止めるのが難しいということが
思い出されます。

阪神淡路大震災の地震の際も
多くの人がなくなったのは、火災によるものでした。

しかし、今回は人の命は助かるという
不幸中の幸いもありました。

備えることと、避難すること。

これが、人命を守る2本柱だということが、
はっきり示された出来事です。

本日は、台風による被害と洪水について綴ります。

令和元年東日本台風(台風19号)の被害が、
皆さんの記憶に新しいかもしれません。

台風19号といえば、平成3年の九州を襲った
50年に一度と言われる大型台風を熊本で経験しました。

停電、断水、倒木で、車もおシャカになる
父は、職場のガラスが割れて怪我、手術。
ということを経験し、その恐ろしさを体感しています。

「20号前後の台風は大型である」という教訓を
故郷では聞かされてきましたが、関東でも然りでした。

理科年表で調べてみますと
昭和57年から昨今まで10つの大型台風のうち
18,19号は、4つです。10号もあれば26号もあり。

これで見ると一桁のうちは、まだ被害も少ないようですね。

<経験してみての、台風時の備え> 

1)戸締り、雨戸、強化ガラス、飛散防止フィルム貼りなど風を防ぐこと
2)土嚢や水嚢で、水の侵入を防ぐこと
3)断水や停電に備えて食料や水の確保
4)そして、庭やベランダなど飛び散りそうなもの室内への移動、飛び散り防止
5)他にも、雨樋の掃除、バルコニーの排水溝の掃除
(詰まりで逆流などしないように)
6)早めの避難(自宅待機が心配な場合)、台風が来てからでは遅い
7)各関係者への連絡(電話、ネットも電柱倒壊などによって
繋がらなくなる可能性大)
8)近隣の一人暮らし世帯などへの声かけ
といったところでしょうか。

先日、一番新しい台風19号によって、洪水被害を体験した
建築士による洪水対策の勉強会がありました。

その方は、川の氾濫ではなく、水路の氾濫によって
床上浸水と車の被害に遭われていました。

経験値もなく、情報提供が特に
自治体でなされていなかったということもあり
正確な情報が伝わらず、どう行動したら良いのか分からなかった。

また、被災後の復旧工事も職人不足など
非常に大変だったというご報告でした。

その方の追記をすると

 <最新の情報入手が必須>

1)ハザードマップで、自分の家の被害を想定しておく
2)当日の正確な情報を得る(車は移動すればよかったと後悔)
3)地域との連携、避難場所を確認しておく

です。どうでしょう?

これは、もう、みなさん、やっていますよね?

まだの方、1)で、想像力を膨らませてくださいね。

昨今は、自治体も防災に力を入れています。
動画配信などもしています。
ぜひ、HPをチェックしてみてください。

そして、最新の情報を、区役所や市役所などで
手に入れられることをお勧めします。

こうして2拠点で暮らしてみて
感じることは、田舎の日頃の濃密な関係は
こういった災害の経験からも
大事にされて来たのだなと思います。

<近隣づきあいがセーフティーネット>

誰が一人暮らしで、誰が病気かなど、
噂話しが好きというのではなく

実はこの世間話が、
セーフティ−ネットになっていると
熊本地震時にも感じました。

お互いの状況を知るということ
情報を交換するということが、
非常に希薄な都市部では、
弱点にもなるので、この部分を補うよう
防災訓練への参加や広報のチェック、近隣との挨拶など
積極性が必要だと感じています。

水害には、台風だけではなく、
昨今のゲリラ豪雨や線状降水帯による集中豪雨
もありますね。

福岡の朝倉での被災者にお話を伺ったときは
やはり、高齢者を避難させるのが難儀だったそうです。

自治会長さんの頑張りや
近隣との日頃のコミュニケーションが
命を守れるかどうか
ということを伺いました。

信頼関係がないと、人は動きませんからね。(避難しない方も)

最後に、大袈裟かもしれませんが
命をつないで、生き延びていくには、
やはり、『経験値を共有し、シェアし、助け合うこと』
これしかないと思います。
まず、命ありき。
このブログもそのつもりで綴っています。

そして、適切な行動がとれるよう
日頃から、『有事を意識しておく』というのも大事です。

災害を恐れるのではなく、常に自然を畏れる。敬う気持ちで。

春のうららかな陽気に、いつまでも平和が続くと
錯覚しそうになりますが(それはそれで幸せ)

常に、自分自身にも言い聞かせて参りたいと存じます。

長くなりました。

次回は、水害被害に遭ってしまったら?

の具体的な建築の処理について、
昨年7月の故郷の豪雨災害の支援によって
学んだことを、綴ります。



災害列島日本「地震」の「振動周期」に注意して 〜災害に備える03〜

2021年02月15日 | 災害に備える2021_23


地震当日の朝の神社散歩では、可愛らしいリスさんが活発に。
秋にも見かけたから、同じリスさんかな〜。



先週、ブログで「地震の周期に注意して」
と綴ったら、次の日の晩、
実際に福島で震度6強が起きてしまいました。

驚きました。
関東も、そこそこに揺れました。
かなり長い期間。横浜で震度4でした。

被害に遭われた方には、
お見舞い申し上げます。

東日本大震災から、
ほぼ10年、3.11の約1月前。
その、余震であるとのことです。
本当に油断なりませんね。

前回のタイトルを、「地震」の「発生周期」
注意して、に修正しました。

本日は、「振動周期」について綴りたく
区分けしておおかないと、
分かりにくいと判断しました。

先週末の2月13日に福島県沖で発生した地震は、
6強にもかかわらず、全壊建物がないそうです。

防災科学技術研究所で
観測した地震動の応答スペクトルを分析して分かったのが
周期が0.5秒と短期だったからだそうです。
(日経クロステックのニュース)

震源が深かったことも、
影響しているのではと思います。(これは、私見)

周期が、短いため、細かい振動が関東地方にも伝わり、
かなり長く揺れたのだなぁと、納得。

地震の周期長さによって、揺れが変わってきます。
特に、高層階に住んでいる方にとっては。。。

長期周期だと、室内の被害が大きくなります。
免震のマンションでも、とうぜん揺れます。

建物が壊れなくても、
インテリアが、壊れる、飛び散るという惨事が起きます。

実際に、10年前の東日本大震災の被害調査の結果報告を
H23年に、東京都の消防庁がまとめているので、
詳しく知りたい方は、参考にしてください。


(東日本大震災後の東京消防のアンケートでは、
11階以上に被害が大きいことがわかりました)

公開されている
周期の違い比較のグラフを、貼り付けますね。

例えば、このような違いがあります。
(東大地震研究所発表)



東京消防庁のまとめから抜粋しますと、

『高層ビルの固有周期は低い建物の周期に比べると長いため、
長周期の波と「共振」しやすく、共振すると高層ビルは
長時間にわたり大きく揺れます。』

これは、建築関係者は周知のことですが、
一般の方には、イメージしにくいかもしれません。

つまり、高い建物の方が、大きく揺れますよ。
そして、家具の移動や転倒の恐れが高まりますよ。
ということなのです。

周期が短いと、揺れ幅も小さいので、
インテリアも持ち堪えやすい。

実際に、今回、横浜で震度4というのは、
10年前と同じですが、今回の短期周期では
物は落ちてきませんでした。
前回は、水槽の水も飛び散ったほどです。

低地に住む私たちの被害はさほどなかったものの
10年前、同じ地域にいながら、

私の建築関係のお仲間で
マンションの高層にお住いで、
実際に、食器が割れてほとんどダメになってしまった。
と、地方に引っ越された方がおられます。

超高層におられた知人も、、、
低地に引っ越されました。

私の体験、実感に加えて、

もともと、高層での暮らしを
提案していない当方では、

マンション暮らしの方の備えについては
この知人の体験談も参考にして、お伝えしていきますね。

まず、備えの本題の前に、
みなさまには、

地震の震度の大きい小さいだけではなく
振動周期によっても、被害状況が変わる

ということを、
念頭に置いていただければ幸いです。

さぁ、どう備えましょう。。。

1)新築木造編
2)改修木造編
3)RCなどマンション編
4)共通事項
5)その他、補足

と、綴ってみます。長文となっていますので、
気になる箇所だけでも、読んでくださいませ。

1)新築木造編

まず、地盤調査に、地盤補強(瑕疵保険にとっても重要)
次に、耐震性の確保、そして、制振性免震性です。

耐震性は、建物が踏ん張るイメージです。
踏ん張りすぎると折れますよね。

折れないためには、制振性で、受けた力を逃がしてあげるです。
(柳のようなしなやかさを持つイメージ)

免震性は、地盤面からの振動を受けにくくする。
直接ではなく、ワンクッション置いて受けるイメージでしょうか。

下からの突き上げに対応できるので、
直下型地震に有効です。

しかし、いつどこで起きるかわからない地震に対して
どこまで、対応するのか、費用対効果は?
と気になりますますね。

関東や、南海トラフなど、危険性の高い所
また、ハザードマップで、真っ赤な地域は、
制振性まで確保したいところです。

大きな制振ダンパー装置も有効ですが、
筋交い部分に取り付ける金物を
制振性のものにするだけでも、違ってきます。

これは、現場の施工が楽なので、施工間違いが少ない。
今のところのオススメです。
(何事も施工の手順間違うと意味がないですからね!
監理も大事なわけ)

2)改修木造編

こちらは、壁の耐震補強は、もちろんですが、
実は新耐震基準前(S56年前)
だと、基礎が無筋のことが多く、
地盤改良していないケースなどは、
建物の補強をいくら頑張っても、効果が期待できません。

そこで、基礎の補強です。

文化財修復などにも利用される炭素繊維シート
住宅レベルに使えるまでになってきました。

地盤が良さそうと判断される地域では、
(データ確認や、周囲のボーリングデータなどを確認して)
この手が使えると思います。

そのほかにも、単身世帯などは
寝室だけでもシェルター化する
(阪神大震災後にかなり検証されました)

ガラス部分の飛散防止は、必須事項と考えます。

3)RCマンション編

正直、一番やっかいです。
なぜなら、建物は個人では手が加えられないからです。
(組合で、全体に耐震補強ができれば良いのですが)

そこで、避難を第一に考える

そこで、まず、避難することを前提に考えるしかありません。
EVは止まる前提です。(電気が切れなくても、震時には動きません)

もし、私が、高層階で子育てしていたら、、、
と仮に想像してみましょう。

避難用具は2箇所に分散

せめて、車は、電気がなくても(立体駐車場には入れない)
(あるいは発電機がある場所)動かせる状況に留めておき
そこに、避難用具を入れておくでしょうね。家と2箇所に分散。

インテリアは基本固定する
   
タンスなどは、皆さん、すでに対応済みかと思います。
食器棚なの耐震ラッチやロックなども、付けていますよね?
   
実はダイニングテーブルが滑ってきて、
壁とテーブルの間に挟まれた!なんてことが起きます。

テーブルの脚にもロックがついているのがありますので、
それが良いと思います。
身を安全にできる移動時間が稼げるからです。
(机の下に潜ったら脚を押さえてくださいね!)

ガラスは、必ず、飛散防止フィルムを貼って下さいね。

ガラスが割れて怪我をしても、大地震の際は
病院にも行けない状態になりますからね。

4)共通事項

ハードとソフトの側面で、書きます。
全部ができるとは、限りません。私も同じです。

可能性としてできるものがあれば、参考にしてみてください。

オススメー01) 2拠点生活、空き家活用

私は、おかげさまで、原発のメルトダウンの恐れありの時に
故郷熊本に新幹線に飛び乗り、避難が出来ました。
子どもが小さかったからです。

その後、関東にいなかったことが、子どもの
甲状腺癌のリスクを、かなり減らせたことがわかりました。

熊本地震の時は、子どもだけ一時期横浜に戻りました。
恵まれました。

しかし、故郷や実家がすでにない、という方も多いと思います。

そんな中、沢山ある空き家活用で、地方に拠点を作る。
畑も、水もあるところに。。。
というのが現実的ではないでしょうか。

リモートワークも進んできて、
ふるさと納税もある意味、税収上の2拠点生活ですよね。
(政治の立場ではなく、あくまで住み手の立場で書いてます)

建築やが言うのもなんですが、
今ある住まいで耐震補強を頑張るのではなく、
移動や避難を前提として考える、方法もありです。

ただし、移動手段の確保ができないとならないので
移動できない前提の、地域での避難生活も準備し、
シュミレーションしておく大事です。

オススメー02) キャンプ用品などの活用

水タンク、寝袋、保温シート、ランプ、炭、ガスコンロなど、
都心部は圧倒的に、避難所が不足することが予想されます。

私自身、横浜の避難訓練で、小学校の体育館だけでは
とても間に合わない、とうことを体験しました。

関東にいた場合、「公助」は頼れず
「自助」で乗り切るしかないと思っています。
   
オススメー03)インフラが止まった前提で考える

食料は、1週間分と言われますが、日常の3日分で良いそうですね。
水、カン詰めや乾物やらでしのげる準備はOK。

問題は、インフラが止まった場合の
冷暖房に、冷蔵庫、携帯電話の充電問題ですね。

(太陽電池を屋根に乗せていれば、冷蔵庫1台分は、概ねまかなえます)

手巻き式ラジオ、簡易トイレ、懐中電灯、発電機、などの準備

この寒さで、今、注目しているのが、ガスカセットの暖房機です。

私は、どちらも高齢者がいるので、
やはり、暑さ寒さが辛いと思われます。
暑さは、うちわなどで、まだ手動も可能。

寒さは着込めば良い。との考え方おありますが
身動きが出来ないですよね。1台あっても良いかなぁと
場所と保管と、現在検討中です。

5)その他に用意しておくと良いもの、注意点など、個人的見解

・水がなくてもできるシャンプーや歯磨き
・避難所に持っていく大切なもの+α
(保険証、通帳などの控えコピー、印鑑)
 +詩集や絵本など心落ち着ける1冊
 お子さんのいる家庭は、おもちゃや折り紙、
 トランプなどカードゲーム
・防犯、地震後の空き巣や詐欺に注意。
・火の元用心、ブレーカーはすぐに上げない。
・移動時に被災の可能性もあるので、(電車に閉じ込められることも)
 水分、メガネ(コンタクトレンズ)、歯ブラシ、飴やチョコなどの
 ミニ非常食を持ち歩く習慣を。
・家族と離れている場合もあるので、探せるように子どもの写真
   (今はスマホに入っているかも、電源ない場合に)

などなど、思いつくところで、書きました。

もちろん、ご近所や地域との
日頃のコミュニケーションが大事と言われるように、
共助も合わせて、乗り切りたいですね!

もう一度、都市部での備えの復習を兼ねて、
東京都の「地震時10のポイント改訂版パンフ」を
貼り付けておきます。


備えの項目も含めて


詳しくは、こちらを参照下さい。東京消防庁

備えあれば憂いなりますように。。。