せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

新設の空港にて、建築の動線と目線と仕上げを考える。

2023年07月19日 | 熊本便り


本日のテーマは、綴るかどうか、しばらく躊躇したネタです。
なぜなら、人の設計を批判するようにも取られられないからです。

どんなプロジェクトにも、予算の都合、クライアントの要望、
法的な制約、時間コントロールなど、課題を抱えています。

ですから、当事者以外で、指摘したり、注意を促すことは
失礼に当たるかもと、同業ならではの遠慮ですね。

しかし、今回、利用した身内の加担なき意見と、
実際使っている人の意見もリサーチできたので
書くことにしました。

故郷は阿蘇の熊本空港が、
今年の3月に建て替わったのですが、
前の方が良かった!と、感じています。

耐震に問題があった、とか
国際線を充実させたいとか、

色々と建て替えの理由は述べられて来ましたが、

熊本地震後も十分運営されていましたし、
まだ、仮説の時の方が、動線が明快でした。

どうしてこんな風になってしまったのだろうか。。。

空港をあまり利用したことのない、若い世代が担当した?
大手企業に、それはないと思いたい。

大きく3点、残念なところが。

1)まず、仕上げです。

3月に新装オープンしてから、
毎月利用していますが、7月になっても、
仕上げからの有害物質の匂いがきつい。

機内から到着ロビーまでの、通路が、
安普請で、狭くて、さらに臭います。

窓が開かずの空間なので、
換気していても、揮発剤の匂いの排出が
追いついていないのでしょう。
シックハウスや、シックスクールならぬ、
シックエアポートになりそう。

症候群をお持ちの方や、
赤ちゃん連れには気をつけて欲しい所です。
マスクをしていても臭います。

それから、

カーペットにスーツケースのタイヤが引っかかりやすい。
とても、重くなりました。

手荷物検査の手前の通路のところです。
音対策で、カーペットなのでしょうか。。。。
汚れ落としかも?!

さまざまな床仕上げを、移動の度にガンガン引いてきた
我が相棒のACEプロテカのスーツケース
(かなり頑丈、商品のHPはこちらhttps://www.proteca.jp/)
がそうなのですから、他の皆さんはいかに!?

木造トラス部分の構造も少しチープな印象。
倉庫でみたことあるコストがかからない工法として知ってはいましたが、
まさか空港に採用されるとは思いませんでした。

スーツケースのタイヤがスムースに行かないカーペット仕上げの床

2)周辺環境との調和

機内からの眺めで、雄大な阿蘇の緑や、
熊本の有明海へ流れる河川のキラキラとした景色を
眺めながら、滑走路に近づきます。



熊本に着いた~という歓喜も湧き上がる瞬間です。
そして、建物から外に出て、周囲の緑が目に入る瞬間。

到着したなぁ~と感慨深くなっていました。

それが、リムジンバスのバス停の目の前が
立体駐車場となり、

美しい景色や、時に霧がかかって幻想的な風景が、
見えません。あ~残念。



都心から来た人は、ビルのない、広い空を感じる瞬間が
熊本らしさを感じる最初の瞬間なのに!

残念です。

こういった、目線の先にあるものや、
周囲の風景との調和というものは、
効率優先。コスト削減の名の下、
バッサリと切り捨てられてしまう恐ろしさ。

人を見て、感じて、その瞬間の心の動きまで
配慮されていない。。。寂しい限りです。
(そこが建築のものづくりの肝だと思うのだけれど)

3)動線の使い勝手の悪さ

一番、使用していて辛いのは、動線です。
搭乗手続きをしなくては、お土産売り場に入れない!?

何?、何?

最初利用した際には、え?まだ仮設だっけ?
と、戸惑うほどでした。

熊本の皆さんは、家族揃って、見送りに来て、
一緒にお土産を買って、スーツケースに詰めて、
それから、チェックイン。

最後の最後まで、見送る習慣があります。

ところが、新空港では、一緒にお土産を買うことも、
食事をすることも、許されないのです。

1Fロビーに、お土産コーナーと、レストランがありますが
1箇所のみ。今回の連休は、激混みでした。

フードコートは、空いていてもです。

フライトを利用しない方も、フードコートが利用できるようにしないと
店舗の売上は、大丈夫かしら?と心配になってしまうほどです。

この点は、身内も大不満でした。

今回、空港スタッフのラウンジの受付の人にも尋ねてみたら、

お土産売り場が搭乗手続き後というのは、
他のお客様からも、不満の声が上がっているとかで、
謝られてしまいました。

工事中の場所に店舗が入る予定?で
「改善されるとは思います」と
おっしゃっていましたが。。。

各店舗だった食堂も、全体のフードコートとなり
大きな声での会話は憚られます。
レストランや喫茶コーナーは
打ち合わせなどにも使っていたのになぁ。。。
せち荒くなります。

私の定番の「太平燕タイピーエン」(野菜たっぷりのソウルフード)も
メニューから無くなっており、
食べるものが、無くなってしまった。。。とほほ。

そして、極め付けに問題ありと思っているのがこの動線。

機内への案内を待つ待合から、チェックインする動線です。
一直線ではなく、90度折れなくてはならない。

さらに、フードコートで食事をしている人のテーブルの横に並ぶのです。
どちらの立場も落ち着かない。

フロアの間取りは、こちらのページの
「3F」のタグをクリックしてみてください。

全ての窓口ではありませんが、さすがに団体だったりすると
並べない。

文章では分かりにくいので、どういうことか
図にしたのがこちら。

例えば、Aは羽田空港の例。椅子が90度違う配置の場合もありますが、
チェックインするところとは、同じ並びにあり、動線は1本。




B熊本空港の一部では、ぐるっと回り込まないと
チェックインできない2段階の動線。

修学旅行生など、どうしているのか、今度遭遇したら
お困りではないか、先生方にも聞いてみたいところです。

ということで、熊本空港を利用される方々。
これが嫌で、熊本に来るのが面倒になられませんように。。。。

願うばかりです。



こどもたちにとってバーチャルよりリアル体験の大切さ  ~金峰山自然の家再建に想う〜

2022年04月11日 | 熊本便り


熊本の金峰山は、お正月には初日を拝む登山客で賑わうパワースポット。
写真は山頂ではなく、私の知る穴場からの朝日です。

先週、ちょうど一週間前の4月4日(月曜日)に
[熊本市立金峰山少年自然の家
整備運営事業 実施方針(案)等]について、
修正版が公表されました。
熊本市のHPはこちら

やっとここまできました!
いよいよ、次は事業者の募集となります。

昨年の9月から、学識経験者としての審議委員を務めています。
報道資料参照。

定期的な審議委員会の開催、
資料への質疑応答、意見交換、修正案チェックなど
各委員のみなさまが、大変精力的に参加なさいました。

様々な立場での、様々なご意見、
私自身も大変学びの多い場であったとともに、

「熊本の教育委員会は大変熱心」と、
こども環境学会などで、
他県の方からお声がけいただくことが多いのですが
まさに、そのことを実感した場ともなりました。

みなさま、「熱か〜想い」で、取り組まれました。

(「あつか〜」の部分は坂本冬美の
「火の国の女」を思い出していただければ、笑)

そしてなんといっても、実に、地域の市民の熱い想いが
この整備事業には入っています。

建築は、H28年の熊本地震後に、耐震診断で
一部の不具合が発見され、

再建費用が見込めないと、
一旦は取り壊されそうになったものの

地域の強い要望で、再建が決まった
小学生を対象とした集団宿泊施設です。

*道路看板はそのままに。現在は運営停止。


自然体験や屋外での活動をメインの運営内容とした
熊本市の公共施設です。

今回、市民意見も取り入れて、
一般の利用も可能にしていく方針です。

これまでの建築コンペ方式での選定ではなく
運営事業者そのものを選定する方式となっています。

このことは、要求水準に詳しく書かれてあるので
応募される方には、
ぜひ、じっくりと読んでいただきたいと存じます。

熊本地震から間も無く、6年。
方針の決定までに時間もかかりました。

建替え案の検討と、工事を加えると、まだ数年かかります。
それでも、施設が残る方向でよかった!

審議委員の役目としては、
熊本市のそうした事業運営の考え方や
再建方針を審議しながら、意見を言うというものです。
(意見が全て反映されるわけではないのですが、
今回かなり盛り込んでもらえました)

そして、審議の内容は、私は公にはできません。
さらに、応募関係者は、審議委員との接触は不可となっています。

コロナ禍であって、なるべく皆様に会わないように
していたのに加えて、SNS等での発信を控えていたのは
この為でもありました。

建て替えをひっそりと待つ施設。

*委員は、施設の内部の様子も確認しましたが、
写真は公表できません。あくまで、公道からの様子です。


残念ながら、私自身は応募はできません。

審議委員の打診があった時に、
そのことに関しては、とても迷いました。

なぜなら、自分自身の建築テーマそのものだったからです。

学生時代の卒業設計では、子どもの外部の遊び場と、
親子で泊まれる宿泊施設の提案をしました。

テレビゲームが流行り始めた頃で
様々な子どもの生育への課題が、顕著に言われ始めた頃でした。

そこで、こどもの生育環境として
バーチャルより、リアル体験の場を、
建築で提案できないだろうか、と考えたのがきっかけです。

その時は、面白い提案だけど、必要なのか?
の声も、正直ありました。

まだまだ、自然の中でこどもは勝手に遊ぶもの、
というような決めつけが大人にはあったからです。

ゲーム機やスマホやインターネットが普及した今、どうでしょう?

こどもが外で遊ぶ、自然の中に身を置く体験というのは
地方、都市部、関係なく明らかに、減っていますね。

いま、様々にこういった施設が、
民間運営などで全国に出来つつあります。

やはり、必要な時代となり
多くの方が思い至った結果なのだと感じています。

迷った末に、審議員をやる選択をして、
間違いなかったなと、今は思います。

なぜなら、応募できるのは、運営事業者だからです。

もし、やっていなかったら、、、、

故郷の大切な施設であり、
子ども時代の思い出深い場所に関わることが
出来なかったかもしれないからです。

私の建築の師匠が、
「コンペの審査員の依頼ばかりで、私に設計をやらせてよ!」
と、ぼやいていたのを思い出し、
同じような心境で、苦笑いもしつつ、
私も、年を重ねたのだなと思います。

事業者選定など、まだまだ審議委員としての
役目は続きます。

また、その後は、
運営委員会などへの関わりもあるかもしれません。

精一杯、やらせていただきます。

より良き提案のある事業者さんとの
ご縁がありますように。。。。


人が集う場所の応急処置〜人吉球磨の集落の復旧を願って〜

2021年03月22日 | 熊本便り


先週末、人吉のアーキレスキュー
 (主に建築士のボランティアグループ)の活動に
参加して来ました。

駅前の駐車場の場所に、仮設の商店街も出来ました。



1)人の集う場所の立ち上げは必須!

地域の人々が集い話せる場所が、
復興復旧には、絶対必要と、
浸水した公民館の応急処置です。

情報交換や相談、そしておしゃべり、
人の温もりでどれだけ救われることか。

作業は、事前に床組み下地を設置してくれた
仲間の後を引き継ぎます。



ボランティア大工さんの手助けあってのこと。

私たちは、大工さんに切り出していただいた
針葉樹合板のビス留め、畳敷です。

畳は益城の解体された仮設住宅からの貸し出し。

応急処置の感性に、地域の方も、ほっとされた様子。

特産の美味しいおまんじゅうの差し入れに、
私達も、ほっこりしました。

最後はホワイトボードを入れて、
話し合いの場として、バッチリ。



これから皆さんの望まれる
復旧の方向性が導かれるように願うばかりです。

2)神社のある場所は避難の高さ

公民館の道路隔てた場所には、地域の神社が。
御鎮座1200年とあります。






天狗もいたのでしょうか。(ということは修験道?)

集落の歴史がそれだけあるということです。
今後、この地域は3Mほどのかさ上げ予定なのだそうです。

そうすると、ちょうどこの階段を登った
神社境内の高さになるのではないでしょうか。



氾濫した支流は、川幅がなく、川底も浅い様子。



実際には、洪水対策で1Fをピイロティーにしているお宅も。



右のお宅は浸かり、左のお宅は浸水を免れたとか、
その差50センチほど。

訪れてみて
裏山が禿山になっているのが気になりました。

崩れて来ないよう対策、森づくりも必須です!

3)伝統家屋は、修復すれば使える!

その後は、スケルトンになっている伝統的家屋の実測。
修復の概算見積もりを出すのに、実測します。



4)心落ち着けて、再建の暮らしのイメージをしてもらう

次の日には、仮設入居者へのヒアリング。
事前に、事務方に相談に来られた女性の一人暮らし。

水害で、パニック。どうして良いか分からず
片付けも、手付かずという方でした。

公費解体は申し込んだものの
その後の暮らしのイメージも描けずにおられました。

こちらも事前にお仲間が、建物を確認してくれていて
修復で住み続けられるかもしれないとの報告を受け、

解体前に、泥出しと家財の整理をお勧めしました。
ボランティアさんが、今ならやってくださるので
(夏には私も参加しました)

申し込みをして、その後、綺麗になったご自宅を眺めながら
じっくり、ゆっくり、建て替えなのか
修復なのか、今後の暮らしをイメージしてくださるように
お話ししました。

最初は、仮設の困りごとや、訪れる大学の研究者や
市の職員の方の対応など、
いろいろと戸惑われている事を伺いました。

心がほぐれたところで、
今後のお住まいのお話をしました。

「買い物に行こうかと
自宅を出かけるところだったのを
出かけなくてよかった!」

とおっしゃいました。

話を聞いてもらえたこと
心が落ち着いたこと、
そして次の行動をどうすれば良いか
道筋がしめされたことで、

最後はとても明るくなられました。

第三者が入ることの意味を私自身が
実感しました。

本人もなんとかしなくてはいけないという思いは
当然あるのです。

しかし、新しい場所で、なんとか毎日の生活をしながら
どう整理をつけて良いのか、
心情的にはなかなか難しいのが現実です。

私が、被災地支援で心がけているのは
話題を暗くしないこと。

辛かったこと、苦しかったこと
いっぱいありますよね。
思い出せば当然、涙ぐまれます。

寄り添って伺いながらも
未来の明るい方向を見れるように
時には冗談も言いながら、

なるべく明るく、明るく、お話ししています。

帰り際には、小雨の中を
わざわざ見送りに来てくださいました。

相談できるところ、
話を聞いてもらえるところ

あるということが
こんなにも人を明るくするのか
と、こちらが驚くほどに。

どうぞ、心の中の苦しみを吐き出して
今後の暮らしをイメージできますように。。。

常駐している仲間の話では
まだまだ、こういった方が各地区におられるとのこと。

どうか、心落ち着けて、みなさまが
前を向けますように。。。

また、伺います。

氾濫の 爪痕残る 木々たちも 春来たならば 花開く





アーキレスキュー人吉球磨の活動に参加〜地域の暮らしを守るとは、住み手も、担い手も守ること〜

2020年10月05日 | 熊本便り


先週の熊本では、仕事の休みに人吉で、
建築士ボランティアに参加してきました。

写真は、水害被害を受けた国宝青井阿蘇神社。

前面道路には、昭和57年7月25日の
水害痕跡の看板があります。



暴れ川「球磨川」の水害被害に繰り返しあってきた
地域であることの証拠です。

それでも、地域の方は
「球磨川は、悪くなか」という声が
よく聞かれるそうです。(地域新聞、熊日の記事)

水害と共にたくましく生きてきた地域でもあります。

実際は、どんなに怖かったか。。。
被災した友人の話を、様子を聞いていると、
とっさに避難できて、
命あって本当に良かったと思うのです。

今回、彼は、その経験から、
建築士ボランティア団体を立ち上げました。

水害ボランティアで活躍されている
関東風組の方もいらして、ご一緒しました。

むしろ、水害ボランティアは、彼らの方が経験済み。

私たちの方が、学ぶことも多いのです。

阪神大震災以降、立ち上がったグループだそうで
東日本大震災も、熊本地震でも、各地の水害被害でも
ずっとボランティア活動をされています。

水害の被害を、どう対処し、
そして住み続けられる家にしていくのか、、、

こうしたノウハウの蓄積が、
実は日本人の暮らしを救っているのだなと
しみじみと考えさせられる体験でした。

『人吉球磨アーキレスキュー』は、
建築士のボランティア団体で
熊本地震でも、一緒に相談に乗っていた仲間が立ち上げ、

現在は、熊本県建築士会の歴代青年部長など
友人の関係者の皆さんが、
毎週末、支援に来てくれています。


建築士としての、職能でのボランティアが
表は無料の住宅相談と、(実際は建築士は日当が出ます)
どう違うのか、、、

一般の方には分からないかもしれません。

無料相談窓口は、
あくまで相談があってからのアドバイスです。
来るのを待つ感じ。

私たちは、住み手が、もしかしたら
壁はがしのボランティアさんや、大工さんなどで
誤った方法になっていないかなども含めて、
訪問して、アドバイスを行うものなのです。

究極のお節介なのかもしれません。

どうして、そこまでするのかって?

やはり、地域の暮らしを守りたいからです。

修復工事を一度で済ませるためには
徹底した泥カビ除去と、消毒、乾燥が必要。

急いで壁をふさぐと、また梅雨時期に発生し、
結局工事が二度手間になるのです。

被災された上に、追い打ちをかけて
修復に、お金も時間もかかってしまうからです。

そして、その間、また快適な暮らしから
遠ざかってしまうからです。

実際に、そうとは知らずに、
すでに壁工事に入られていたお宅があり
計測すると、まだカビの発生しやすい湿気あり。



そして、断熱材が濡れているので、放っておくと
天井まで到達してしまうため、

今度工事に来た大工さんには
濡れている断熱材を除去してから、壁を施工するように
十分お願いするように、伝えました。

↓外壁の隙間から下地のカビの様子を確認中
発生していなくて、ほっ。



数件訪問していて、最後のお宅は、ちょうど
この程度の壁除去では、
天井までカビが生えるかもしれないと
不安になられていたお宅でした。

話を伺うと、ボードの幅に合わせて、
ボランティアの大工さんが、カットしたそうです。

もちろん、道具を持たない素人ではできないことなので
とても、ありがたいことなのですが

浸水ラインを越えてのカットでなければ、
下地は水を含んでいますし、
そのままでは、カビは上がっていきます。

やはり、ぎりぎり、効率の良いカットではなく、
ここは思い切って、浸水ラインよりも30センチ以上
裏まで、水分が上がった箇所より、50センチくらいは上を
カットしたいですね。

どうしても、施工のプロに言われると
住み手も、言われるままに、お願いしてしまいがちです。

被災地支援をしていて、
日本民家再生協会の先輩からは

地域の大工さんがクレーム対象にならないように
建築士が支援する意味合いもあると伺いました。

急いで工事をして欲しいと頼まれ、
良かれと思って工事をして
またカビが派生し、クレームになってしまうのだと。

熊本地震でも、建築士会の会長から
地域工務店が建てる家が残らないと
メーカーばかりになれば、地域の工務店がいなくなり
メンテナンスを頼む相手もいなくなると、

つまり、私たち建築士は、住み手の支援とともに
地域の作り手の支援も、
遠回しにしているのだということを
教わりました。

直接に関わらなくても
そうやって、互いに、真の意味での
助け合いがあるのだと、私は災害で学んでいます。

自助、共助、公助、、、

よく聞かれる言葉です。

それに加えて、職助、、

という言葉を付け加えたいですね。

建築士と施工者の関係だけではありません。

同業者が、同業者を助けることも
他県から、その産業への支援があることも、
これまで、見聞きして来ました。

公務員さんもそうですね。
すぐに他県から派遣されてきます。
(こちらは、仕事ですが)

そうやって災害列島日本を
これまで、乗り越えてきたのだと、

諸先輩方の知恵とネットワークと、行動力
感謝の気持ちが、益々強くなる今日この頃です。


令和2年、夏の終わりに支援に感謝して、処暑を過ぎれば秋

2020年08月31日 | 熊本便り


今年の夏も終わります。
処暑を過ぎれば、秋です。

日中の暑さには、まだ秋は遠くにあるように感じます。
それでも、山の季節の変化は、しっかりとあります。

今年の処暑(8/23)の二日前から、夕方の雨で
夜間が随分と涼しくなりました。

そして、処暑を過ぎると、
朝晩は、クーラーいらずとなってまいりました。

靄が立ち込めたり。
露が降りたり。



気温の変化がわかります。

そして、朝散歩の山道の下草の変化で
それがはっきりと分かります。

春には、クローバーがびっしりだった小道も
夏には、野いちごになり、
コメヒシバと思われる秋の下草が生え始めました。



あぁ、、秋は、足元から!

そして、わずかに紅葉も始まってます。



この暑さにも、寒さにも耐える樹々たちは、
人間は、暑い暑いと騒ぎ過ぎと、笑っているでしょうか。

数度の違いに絶えられない人の体のなんと弱いことか。

弱き故の人類の進化(いわゆる機械化など、
肉体ではない)ではなかろうか。。
と思えてきます。

* * * * *

今日は夏の終わりに、仕事の合間に
身体を使っての活動で得た感謝を綴ります。

8月の最後の日曜日は、
暴雨被災支援のボランティアバス最終日でした。

9月は今の所、募集がありません。
土日の運行のみとなるかもしれない
継続は県との協議と、バス会社さんはおっしゃっていました。

人吉にて、日中36度の中、民家の床下の泥出し作業。
訪ねたお宅の周辺の浸水ラインは2.2~2.5Mとボラセンの方の説明。
現在の川底をいるに、信じられない高さです。

私は、土嚢袋を一輪車で川べりに運んだので、
ほとんど日に当たっていましたから
帰ってきても、体がポッポとしておりました。

毎週末通ってきているという
リーダーになられた男性は、まさかの私の父と同い年!
お元気過ぎます。

最後とあってか、今回は、高校生の男女も多く参加。

女性の一人参加は、どうかな〜と思っていたと前にも綴りましたが
子育てひと段落組(私と同年輩かその前後)が他にも数名いらして
一緒に、ガマ出しました!(=熊本弁で、頑張るの意味)

その他にも屈強な男性、数回来ておられるとか。

もう、皆さんが素晴らしすぎて、私は本当に嬉しくなりました。

控えめで、黙々と働きながら、それでいて朗らか。。。
お知り合いになりたいなぁと思う方ばかりでした。

どこの被災地がどのような状況だったとか、
どこで活動したとか、情報交換も。

ご縁があれば、きっとまた、会えますね!?

そして、ボランティアセンターでは、
防塵マスク(熊本で手に入りにくかった)や
防水手袋など、他県からの支援(新潟の張り紙が)
濡れタオルのおしぼりは、
私の分は小田原市の建具屋さんのタオルでした。

例のごとく、写真はございませんが
全国からの支援にも感じ入りました。

専門家として被災地に向き合うと同時に、
まずは、状況を見る、被災者の方の目線になってみるという
行動は、間違っていなかったと思います。

感謝の念とともに、
いろいろなことを伺う、見るにつけ、
課題が浮き彫りになってきました。

修復すれば住み続けられる立派なオタクでも、
引き継ぎ手がいない。
このままでは、過疎化が前倒しで進んでしまう。

解体を待つからと、壁剥がしをしないため、
カビが広がってしまう。

簡単に住居を手放すわけにはいきません。
水害の再度の恐怖も感じながら、
家の納屋などで借り暮らしを続ける方など。

住まい、暮らし、山の環境問題
全部が、今回突きつけられています。

大学の先生方による専門家会議も立ち上がったようですが、
理想を言うのは簡単です。方向性を示すだけではなく
被災者の目線をしっかりと感じ、暮らしを見据えて欲しいですね。

引き続き、私のできることを、水面下で探ります。

* * * * *

そして、今年は、柿の葉茶作りにも
チャレンジしてみました。

よそ様の支援ばかりでは、いけません。(笑)

両親の剪定の手が回らず、軒先に、びっちりと葉っぱが。
台風が来る前に、枝葉を落とします。



そして、剪定後の葉っぱで、柿の葉茶を作ってみました。
がんに効くというので、笑。

ビタミンCがたっぷり含まれているという健康茶。
ほのかな甘みがあります。



こんなに頑張って、大丈夫なのかって?

今年の私のバイオリズムは、8月が身体のピークに当たります。
ですので、日中の暑さはあったものの、バテずに活動できています。

もし、そうでなかったら、
少し控えたと思います。年齢的に。。。(笑)
あ、でも、ちゃんと休息は取りますよ。

運気の流れも大事ですが、身体の調子の見極めも大事ですね!

皆さま、これからが夏の疲れが出てくる頃です。

特に、被災された皆様には、一時期の興奮状態から
脱力感に襲われる方も出てきます
(熊本地震の際、私もそうでした)

どうそ、ご無理のありませんように。。。

一刻も早い日常が取り戻せるよう、
私も個人でもグループでも活動してまいります。