せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

スギの本棚を組み立てる、良い香りに楽しみも倍に!

2024年02月05日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト


日本各地(北海道を除く)に植林されている杉。
スギの学術名は、クリプトメリアヤポニカ=日本の宝

その杉ですが、地域地域で特徴を持っています。
大きく木の種類で言えば、スギなのですが、、、

育つ環境によって、木目も違い、
手入れの仕方によって、節のあり方も変わってきます。

その杉の全国での違いを、知り尽くす(使い尽くす)のが
私の夢でもあります!

今年は、杉の本棚を手に入れようと、
年明けから調べておりました。

1月のWoodコレクションで、
出会いがあれば良いな~と思っていました。

残念ながら、出展を見つけ切らず、
回り切らず。。。

結局、ネットで調べた商品を、
販売店に、いくつか質問のやり取りを行って
注文しました。

もちろん、ただの本棚ではございません!
自分で組み立てるものになります。

そんなに難しくはなかったですよ~。DIY。



ただし、杉が、柔らかく、傷つきやすい
という特徴は、理解していないと、上手くはいきません。

強く、作れば、割れてきます。

そう、握力40kgの女が力を込めすぎると、、、
多少、割れました。

(握力40kgとは、公益財団法人長寿科学振興財団によれば、
16歳男子の平均らしい。)



商品名は、その名も「組手什」
読みは、「くでじゅう」です。

伝統的な木の組み方を用いた什器(日用品の家具のことですね)
という意味です。

この商品が、良い点は大きく3つ。

1)ケミカルフリー(接着剤や塗料なし)
2)自由度、フレキシブル性
3)国産木材活用にて、森林環境保全に繋がる

完全無垢材で、(接着剤など不使用)
組み立て式で、パーツに分解すれば、再利用でき、



細長いパーツを順にはめ込んでいきます。
今回は、奥行きが欲しかったので、一般サイズよりも
1枚パーツを追加しています。

SDGs的にも、パーツが軽いのと、小さいので配達がエコ。
良いとこだらけ。

大きな本棚が、配達されたものは、これだけ。
隣のメジャーとペンで、サイズ感を確認ください。


開けると中身は、パーツの板がきっちりと並んでいます。


デザイン的にはどうか?
これが一番、気にかかるところ。

欠き込み部分が、うるさいのではないか。
という懸念は、ないこともない。
気にならないと言えば、気にならない。

完成した姿

グリーンなどは、確実に映えますね~。
理屈的なことを書きました。

体感でどうかというところが最も大事なのかなと
感想を綴ります。

1)組み立てている間、木目の違いや、色の違いを眺めるのが楽しかった。
2)木の香りがして、労働も苦にならなかった。
3)完成後も、杉の甘~い香りが部屋中に広がって、癒されております。

子どもみたいですね、笑。
何だかよくわからないけど、童心を揺さぶりますね~。

デジタルの世界とは違う、アナログの良さ。

買い物だけではない、達成感!?、心地良さ!?

ということで、大満足でした。

最後に、気になる点といえば、地震対策。
どうやって壁に固定するかという方法が
必要で、それは各自に任されている点かな。

販売、製作者にも質問もしました。
最上段を紐等でクロスに結び、壁に固定ということでした。

今回は、板を追加し見えないところで、天板に
固定し、それを壁と固定しました。

転倒防止。これだけは、この日本国で、必須なので、
もう少し、詳しく、解説があるとなお良いですね!

最後に、杉の産地を伺ったところ、三重県だそうです。
お~、三重県といえば、森林政策の先進県ではないですか。

まだ、使ったことがなかったので、嬉しいです。

初、三重のスギ!ブラボー!!

産地はお任せだったので、これはこれで良かった。
見てください。個性的な木目と色合いです。



三重といえば、
林業を描いた映画、WOOD JOB!(ウッジョブ)の撮影地でもあり
美林の場所です。

余談ですが、映画は、

主演の染谷将太の演技力を引き出し、
伊藤英明が、海猿ならぬ、山猿にもなれることを証明し、
長澤まさみの、美しくて強い女子力を満喫できる
映画となっております。

まだ見てない方は、ぜひ、ご覧くださいませ。

これからも、いろいろな国産木材を試して参ります!


2024年モクコレに参加して、想うこと

2024年01月22日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト

青森ヒバの木地の色は白い!

モクコレ2024に行って参りました。
(ブログ報告が、少し遅くなりました)

正確には、ウッドコレクション(東京開催)2024なんですけどね。

全国の、主に国産木材の活用を頑張っている県からの出展が
東京で、一堂に介します。

もちろん、全てを網羅しているものではないし、
自治体や、森林組合さんのようなところから、
民間の企業さんまで出店は様ざまです。

本当に、色々なモノと人に出会えるので、
お勧めなのですが、遠方からの出店の方は、
誠に、ご苦労さんなイベントです。

惜しいのは、
設計事務所の参加が思ったより少ないこと、
昨年も、でしたが。

私の周りでも、知る人の方が少ない、涙。
そこで、今年は、新しい人をお誘いしました!

建築士の会報などにも、挟まれてはいますが、
その魅力が、チラシからは伝わらないのではないかと。

それに、設備機器や、エコ、省エネなど
建築の最先端事業の紹介ではないのも、設計者が
わざわざ、足を運ばなくても、と思っているのか、

いやはや、木造や木の活用に関わっている設計人口の少なさを
象徴しているのかもしれません。

これはもっと、魅力を伝えていかないと、
遠方からの参加者は疲弊してしまうと危惧しています。
実際、昨年の知り合いが、出していない今年。

とにかく、今からでも、良かったら、
下記のページで様子をご覧ください。

出展者の一覧は、役に立ちます。
モクコレ2024の出展一覧 オンライン展示会1月31日まで
以下は、柿本が時間の許す限り見て回ったところの
一部をご紹介します。

基本的には、国産木材であり、
有害ではない商品をチョイスしています。

<国産木材建具>

外部、「日本の窓」、防火まども出来ました!



内部、「さんもく工業」の木製建具、美しい。



今年は、インテリアや家具も出展。檜のソファ。



<北の木材>

東京ではなかなか触れられない、青森ヒバ
その魅力は、なんと言っても色白の木目に香りですね。



まな板も購入。
(青森の方が、この木目が良いって勧めてくれました)

そうなんです!雑貨も買えるので、
一般の方にもきて欲しいんですけど。

入場無料だし。
しかし、開催が平日なのがネックかもしれません。

<ノンケミカルの外構材>

これまで、外部には、ノンケミカルの
江間忠さんの「炭化木材」を活用してきましたが、

一つ、選択肢が増えることに!

長野のベンチャーの会社さんより
カラマツ、アカマツの圧縮木材の紹介がありました。



その色から、「モカウッド」だそうです。
とても、魅力的な木材です。外壁に採用したいなぁ。。。

とにかく、お土産や資料が多くて、
帰りにはど~んと荷物が増えているのですが、

木に関しては、経験上、自分から情報を取りに行かないと

メーカーと違い、大きく宣伝していないのと、
企業の営業の方が押しの強い人ではない。
木のように優しい!?からだと思っています。密かに。

ということで、そろそろ押しの強い私が
真剣に、宣伝しなくてはならないかも~
と、2年連続で参加して思いましたね。

本当に、全国の皆さん、頑張っていらっしゃるんですよ。
木材って、育てるのに何十年もかかっていますから、

今の効率、経済優先の社会と、真逆な側面がありますから。

YouTubeが、始められると良いんですけどね~。
これには、普段の業務との両立の作戦を練らねば。

書かないと、やらないと思うので、
ここに記しておきます。

出店の皆様、大変お疲れ様でした。


JT生命誌研究館を訪ねて~命のつながりを実感する悠久の旅へ~

2023年02月27日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト

こちらは、生命誌マンダラです。刺繍で出来ていました。

人は、いつでも行ける場所だと思うと、
案外と行かないものです。

実に、私にとってのそんな場所が、
『JT生命誌研究館』でした。

建築は、設計はイタリア人に頼まれたとか。
DNAの螺旋をイメージした寒暖が中央にあります。
リンク先のHPをご覧ください。

心の中には、いつでも行きたい、行きたいと
ず~っと温めてきて、
そのお出かけがやっと実現しました!



本当は、この目で見てみたくて
うずうずしていたのだけれど
直接の建築の仕事には関わらないこと、
(大きな「命の視点」ではつながっているのですけれど)
に加えて、大阪の高槻という場所が、
空港や新幹線の駅ではないことから、
訪問を見送り続けてきました。

その間、実に10年です。(あっという間でしたが)

私が、目の当たりにした日本の荒れる山の環境と、
衰退する林業。今ほど、国産木材の活用が今ほど大事だと
叫ばれていなかった時に、

なんとか、その課題を解決したいと
細々と、「森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト」を
始めた時、『生命誌』(バイオヒストリー)
という考えに出会いました。

施設にうかがえなくても、
webである程度の情報は入手できましたし、
季刊誌も出ており、

提唱者である中村桂子さんのご著書は、
拝読してきました。

それでも、やっぱり、その場に立ちたいものです。

今回の出張に合わせて、大阪に立ち寄りました。

百聞は一見にしかず。

その、研究の成果発表や、
万人にわかりやすいように、カラフルな模型で
作られたゲノムや脳の模型。核の映像などは、
大変に素晴らしく。

Webで入る情報と、体験として感じる情報では
やはり、知識としての入り方が違うなぁと
改めて思ったのでした。

内部の写真は、JT生命誌研究館のものと断りがあれば
掲載可能とのことでしたが、詳しい展示内容は控えますね。

こちらは、私たちの祖先、肺魚。
ニックネームはマカロニくん。


しばらく、見つめ合いました。


祖先は、ヒレが手足に進化したそう。
口が開くと、鼻の穴があり、肺呼吸をしています。

人間の祖先は、シーラカンスか?肺魚か?
の論争を経て、現在は後者だそうです。

子どもの頃は、シーラカンスと習ったような。。
(だからシーラカンスだけは、覚えてる、笑)

紙で出来た生命に関するモビールも素敵。


ここは、実に今年で30周年だそうです。
素晴らしいですね!

生命体の進化のように、様々な研究成果を出され、
そして継続しながら、情報発信を続けておられる。

化学も科学も、私にとっては違う専門ジャンルでしたが
中村さんのおかげで、とても身近なものになりました。

もっと、早くから(若い時から)もの分野も知っていたら、
もっと、器の大きな大人になれたでしょうか。。。笑。

今、思考中の自然と人間の在り方に、
大いなるヒントを頂きました。

これからの「森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト」の
活動の信念も、大きく太くしていけそうと、感謝の気持ちです。

今年は、「子どもと環境」の視点で、さらに活動を
深めて、実践していきたいので、
そのための私の心の栄養になりました。

無料配布の資料も素敵。読みやすく、内容は深く。


メルマガも登録したので、
これまで、何となく深入りできていなかった
命の大元の部分にも、さらに深く根を伸ばしていきます!

余談:
いよいよ、私の子育ても今春、卒業予定。

これまで、家族のこと、子どものこと、
本当に自分でも予想以上な出来事が続きました。
災害に病気や引きこもりなど、思いがけない出来事に
翻弄されてきました。

これからは、手をつけてこれなかったこと、
後回しにしてきた自分のやりたかったことを
我慢ぜずに、進めていこうと思います。

根っこを伸ばせ!

高知県の御神木、大杉さまにご教授いただいてから10年。
十分に伸びたでしょうか。。。

大豊町の巨樹、
特別天然記念物の杉はこちら

このコロナ禍の数年は、
大きな交流ができない分、

家族のケアで時間も限られた中、
映画に展示会、美術館に足を伸ばしました。

私にとっては、自分に肥料をやるような
時間だったでしょうか。

今年は、やっと脱皮?冬眠からの目覚め?
そんな新年度になりそうです。

どんなふうに、枝が伸びますやら。。。


森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクトを始めたきっかけ~神木女子対談のご紹介~

2023年01月30日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト

昨秋の神木ツアーにて。

昨年の暮れに、ブログに少し綴りました
「神木女子」のお話。

お正月に綴るつもりが、、、旧暦の新年を過ぎても
掲載していませんでした。ごめんなさい。

そうこうしているうちに、この神木女子対談が掲載されている本の
増版が決まったそうです!おめでとうございます!
Amazonランキングでも上位です!


あるご縁から「神木女子」という新しいネーイングを頂戴しました。
女子と呼べる年齢かどうかは、分かりませんが、的は得てます。

「森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト」を始めたきっかけになった
高知県の大杉との出会い。

私のこの出会いが、神秘体験をした建築デザイナーとして、
巻頭文に出てきます。取材を受けたからです。

不思議な、目に見えない世界。だけれども確かにある世界。
それがご神木の持つパワーであり、啓示であり、交流です。

そんな世界を共通で認識していて、体験している女子3人が
集められ、対談を行いました。著者と出版社の方のご提案によって。

それが、まぁ、赤裸々に語っておりますので、
ぜひ、お手にとって、ご笑読下さい。
(笑って読むのは、私のところだけですよ)

他の方、皆さま素晴らしい方ばかりで。
登山家のコラムなどもあり、並列で扱っていただくことに
恐縮至極です。

この対談に関連して、神木ツアーも開催され、
そのレポートが、
出版社のブログ記事にも掲載されております。


昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも因む
伊豆山権現神社にて。
政子と頼朝が逢瀬した場所らしい。
こんな山奥で!

私の感想も含め、本田不二雄氏のレポートは、
こちら地球の歩き方のブログに掲載されています。

都心から日帰りで楽しむ究極の御神木めぐり 
Vol.1 湯河原編

Vol.2 熱海編

Vol.3 伊東編

私の願いは、皆様が、ご神木のパワーを通じて、

自分と出会い、潜在意識を目覚めさせ、
幸福感に満たされながら、
過ごせるようになること
なのです。

本当に、パワーをいただけますよ~。
作法も、ありますが、対談でその道のプロが、
ご教授くださっているので
ぜひ、本を手にとって、実際の場所を訪ねて欲しいものです。

時間の経過とともに、思いがけず、こんな形で
「森と樹と暮らしを繋ぐ」ことになるとは!

1家に1冊の図鑑といっても良いでしょう。
御神木を通じて、日本が見えてきます。

日の本の良さも、神秘性も。。。
そして、ぜひ、訪ねてみてください。

樹は生き物です。

枯れてしまったり、台風で倒れてしまったりする前に
皆さんのインスピレーションを高めに、
そして、巻頭にあるように
『魂が震える』出会いをしていただきたいですね。

まずは、書店で、手にとってほしいです。
立ち読みしたら、絶対欲しくなる本ですよ~
うふふ。


写真左は、同じ著者の神社本です。
ミステリー好きにはこちらもおすすめ

ご縁と御神木に感謝して!!



海と山と、これからの未来環境への探求は続く2。

2022年05月10日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト


オンラインの発達のおかげで
これまで参加できなかったようなシンポジウムや
フォーラムが、視聴できるようになり
本当にありがたいと思います。

特に、地方に居ると、
人からの情報、
広告からの情報、
そして、各種イベントに参加できず、
最先端の情報が得られずに
モヤモヤとしていた時期もありました。

建築の分野は、そんなにメジャーではなく、
一部のメディアを通じてしか、なかなか情報を得られず
書籍や、口コミに頼るということも、多々あり。

それが今では、どうでしょう。

在宅でも、カフェでも、出張先のホテルでも
Wi-fi環境が整っていれば、全く自由にオンラインで
様々な勉強会やイベントに参加できるのです。

当然、交流や名刺交換などはできませんが
情報に関しては、得ることができます。

小さな子どもが居ても、参加出来なくはない!

子どもが小学校を卒業するまでは、
本当にいろいろなことを諦めていました。
まぁ、子育てが一番と割り切って。

でも、今はどうでしょう。

学び続けることが、情報を得続けることは
可能になりました。

仕事に復帰しても、浦島太郎状態にならずに済みます。(笑)

まぁ、子育てに専念する場合には、
(焦ったり、イライラしたりしないためにも)
あえて仕事の情報を遠ざけて集中するという
テクニック!?がむしろ必要なくらい
の世の中になってきました。

そして、コロナ禍では、今まで通りに、思い立ったら行動!
と言うわけには、なかなか出来ない分、
じっと学んだり、作戦を練ったり。。。
の時間が増えました。

昨日参加した、
日経主催のSDGsフォーラム特別シンポジウム
「森林・木材の利活用で実現する脱炭素社会」
も、その一つです。

登壇メンバーと、各発表テーマを拝見して
私の知らない情報がありそう、と判断してのことです。

基調講演の一人

結果は、知っている情報が半分、(日本の山の状況や課題
知らない情報が半分(各企業の取り組みなど)でした。

前置きが長くなりました。本題をまとめます。

1)最新技術の調査解析をどう活かすのか?

新しい情報としては、
ドローンや航空機を使っての
地形解析によるスマート林業支援。

存在は知っていましたが、
どのように解析しているのかということまでは知識になく、

その道のプロのお話は、非常にきめ細やか
頼もしくなりました。

一方で、
このデータをどう活用していくのか
まだ見えてきません

登壇者ご自身も
「ここまで調査できるのを、凄いね。で終わらせず
活用して欲しい」と、おっしゃっていました。

いまだ、現場では、
昭和の機械も使われている伐採現場。

いずれ、遠隔操作で、危険な地域などではアバターで操作し、
ロボットで伐採するという日も来るかもしれません。

介護ロボットは、人に直結して見えるので
開発が進んでいますが、

最も危険な産業と言われる林業も
きっと、山猿ロボット(!?)が現れるだろうなと、予感します。

これは、私の考えですが、
急傾斜には、もう、植林しないで、
根を張る自然林にし
土砂災害被害を防ぐというのが、一番
なのですけどね。

2)水脈調査に見る森林の実態

また別の飲料メーカーからは、水脈分析の発表がありました。
天然林の育成と、水資源の活用と、循環型社会の実現

素晴らしい響きで、聞こえとても良いですね。

水脈は、彼らにとっては鉱脈と同じで、金脈です。

山の資源をタダでもらっているのです。
森づくりは当たり前でしょう!
と、密かなツッコミも入れつつ。

ここまで来たか!と驚きのデータでした。
こちらの企業の森づくりイベントには参加したことがあり
取り組みは正しいと思っています。

一方でもちろん疑問もあります。地域住民への配慮は?
この企業が進出した地域は、井戸が枯れる。との評判です。
水脈が変わるからです。そのうちに戻ってくるらしいのですが、、、、
その量は、確実に減っています。

本来ならば、湧き水となっていたものを飲料にしてきた
古来の日本。

それを、水道という形で、整備し
そのおかげで、このコロナ禍でも、
手洗いうがいがが日常的に出来、
消毒も、清掃もできる清潔大国日本

全ては、水のおかげです。

その生活以上に、嗜好品として、便利品として
生まれたペットボトルの水。
災害時など、非常時へのストックには便利ですが、
日常で使うのは、どうなのでしょうか。。。

水資源は人間だけのものではなく、
動植物への影響がとても大きいのです。

実際に工場がある地域の、里での
山の植生の貧相さを感じている身としては

そのあたりの解析や分析も今後は
してくれたら良いのにと強く感じました。

3)木材の蓄積炭素量を、売買に使う発想。

さすが、商社は違う。(Jクレジットという商社のアイデァを聴いて)
 全て、お金換算するのだなぁと、感心。

脱炭素、カーボンゼロの言葉には、カラクリがあり
CO2を排出した分を、他の地域から購入すれば、
チャラにできるということがります。

工場などで、どんどん排気ガスを出したら、
山の山林を買ってね。クレジット(借り入れ)として。
という仕組みを作ろうということでした。

手入れの行き届いていない、放置林や売りたい山林を
木材の資源地として、買い取り、使うのではなく、あくまで
CO2固定として購入するということですね。

その後は、どうなっていくのか、、、
買った後は、伐採して、新しく植林して
炭素固定量を増やすというところまで、行ければ良いのですが

そこまでの資金力がなければ、持ち主の名義が変わっただけで、
買うだけと、なってしまわないか、、、、
会場に居れば質問したいところでした。

最先端を行く各社の、どの発表にも、なるほどと思う箇所と
はて、どうしていくのか?という部分と両側面あり。

それだけ、この森林の課題は、難しいのでしょう。

SDG sという言葉を多用した、
ええかっこしい〜のスタイルだけというのには、
 声を上げるだけで、実質がともなわないという
気持ち悪い側面もあります。

それでも、企業は、絶対に避けて通れなくなりましかたら、
知恵が集まってきたのは、良い傾向だなと思います。

4)現実は、まだまだ改善途中。

行政や研究者のデータからは、相変わらず、
植林の木材1本の価格の安さの指摘がありました。

数年前、行政の森林贈与税の活用に審議委員の会議で
スギの価格が横ばいというデータが出てきました。

そのことはすでに知っていたので、
物価上昇を考えたら、相対的には、もっと低くなるはず
そのデータはないのか?という問いに、
コンサルからは提示されませんでした。

それが今回、林野庁の資料で、
物価上昇と比較した資料が提示されました。

林野庁長官の資料より


こちらの発表資料に
物価との差額(黒矢印)を書き入れてみました。

戦後から15年後の1960年代、バブルな1990年代も
差額は、全体の物価とほぼ同じです。

ところが2000年代は、どんどん広がっていき、
以前の3倍以上の差が広がっています。(黒矢印の長さ)





つまり、横ばいではなく、
どんどん下降しているという証拠が出たわけです。
その開きのあまりの大きさに、私は絶句します。

数十年という長い間、育ててきた樹が
(実際には、ほっておかれた場所もありますが)
時間が経てば経つほど、価値が上がる予定だったのが、、、、

下がっていく現象。

確実に変な現象ですよね。
経営が成り立つはずもありません。

木材の価値を上げる工夫を、
これまでも一部の生産者や製材所、販売者はしてきたわけです。
付加価値をつけたり。。それでも、この結果です。

ここで、大きな気づきがありました。
実際の林業に関わっておられる方は、よく分かると思います。

つまり、現実社会のスピードに追いつかないのが、木材の生産

様々なことが、効率化、合理化が進み
食(温室栽培や肥料により)も、衣料(機械科により)も、
プラスチック製品も、簡単に製作できるようになりました。

しかし、樹だけは、命が宿るもの。
自然の気候任せそのものです。
(植林だって、最初は肥料をやりますが)

海外の暖かな地域で早く育つ木や、
天然林を伐採したおかげで、
あたかも、効率良く製作できていた
日本の住まい建築の現状。

ウッドショックで分かったように、
これからは、そうはいかなくなります。

成長の早いスギの開発(エリート種)を植える方向もあるそうです。
過去に、ドイツで、上手くいっていなかったエリート種。
仮に、育成期間が短くなったとしても、
数十年も早まるわけではありません。

私は、この植林と、子育ては同じだと思っています。

人間の寿命は長くなったけれど、
子どもの身体的成長が早まったわけではありません。

しっかりと手入れ(下草刈り)、
しっかりと教育
しないとまっすぐ育たない(笑)

個性的に育つ=曲がった木も、もちろんありです。

現状は、英語やプログラミング、投資、、、など
今、こどもの教育現場で取り入れられている授業が
早く大人になるのを促しているようにしか見えない
(国も、試行錯誤なのもわかりますが)
根本的な教育の質の向上になっているのか、疑問も残る中、
植林と、同じような試行錯誤に見えてしまうのです。

自然に介入した効率化、合理化、、、

本来は、自然こそ、循環しているのだけれど、
その中での淘汰の結果なのだけれど、、、、
このテーマは、長くなるので、自分の中への落とし込みに、
今回は留めます。

今回のシンポジウムで、やはり不足しているのは、
仕組みづくりだなと改めて考えさせられました。

様々な、場の提供(プラットフォーム)や開発研究
もちろん、各分野の専門家に、引き続き継続していただき、

抜けているなと感じる部分を、
建築士×こども環境アドバイザー×木育インストラクターの立場で、
検証していこうと思います。

温めてきたアイデァを実行に移すときでしょうか。。。
(かなり長期戦の予感)