せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

法改正について

2008年01月23日 | 模型・実験・見学・講習・イベント

昨日は、「木造2階建住宅の確認申請等の解説」講習会に参加した。行政側からの見解と説明が聴けるとあって会場は盛況であった。昨年6月の法改正直後の混乱は回避出来ているような行政の話であったが、まだまだその解釈は行政と民間の審査機関でも食い違いも大きく、多くの書類提出を求められる、あるいは確認が降りない、出し直しというケースもあるようだ。
住宅といえども、その立地条件や、法的条件はケースバイケースで、その都度、行政側の法の解釈に当てはめなければ審査出来ないというのがこれまでの現状で、それらを完璧に網羅しないと確認の出し直しになると言うこと自体がそもそもおかしい。これまでのように事前相談、そして確認審査の中で、都度指導を仰いで来たというのが多くの設計者ではないだろうか。また経験的には行政(あるいは民間の審査機関)が絶対というのではなく、この法をこう解釈して今回は設計したという根拠がはっきりしていれば審査側も納得し、またお互いの見解が違っていたら歩み寄るという形で、その建物を建てる為の策をお互いが考じてきた。しかし、今回はその指針の解釈自体が、審査側に徹底しておらずその混乱を審査を受ける側がかぶっている状況になっている。これまで以上に事細かに図面へ情報を盛り込むことが義務づけられたが、それが偽装や手抜きを防ぐ方法とは到底思えない。
このことは例えて言うならば、「日本の大学は入りにくいが卒業しやすい」ということに似ているのではないだろうか。審査は厳しいがその後の建設は???
中間検査が義務づけられたりしてきたが、いまだ完了検査を受けないで済んでしまうケースも後を絶たないようだ。なぜか?
これは審査した側がフォローをしていないからだと私は考える。確認審査と完了検査はセットではない。年度が替われば担当者も変わっていたりする。完成の時期にそろそろ検査ではないかと建て主あるいは設計者または建設者に電話するなりその後の様子を把握することが実際は行われていない。建築は建て主の事業(プロジェクト)ではあるが、許可を降ろした審査側の事業でもあるというような認識を少しでも持てれば、変わってくると思うのだが。


大寒

2008年01月21日 | 季節感のある暮らし

二十四節気で今日は大寒。一年で最も寒い日。

天気予報では雪だったがまだ降ってはいない。それでも、この冬一番の寒さであることは間違いない。この「二十四節気」は知る程に季節感をぴったりと表していると感じる。昨年の8月の「処暑」では、残暑が厳しい折りにふっと涼風が吹いて急に秋の訪れを感じたり。そんな体験からカレンダーの日付よりこの「二十四節気」を基に季節の備えを実践している。
現在の太陽暦(グレゴリウス暦)では、すでに新年だが旧暦ではまだ今日は12月14日。年賀状で取り交わされる新春おめでとうの季節では実はまだないのだ。慣習だけは日付を変えず残っているが、太陽暦では季節感に少しずれが生じてしまう。旧暦では今年は2月7日が旧正月。その頃になれば春らしさを感じることだろう。
横浜へ越して来てから「春節」(旧正月のお祝い)を知り、それをきっかけに旧暦の知恵に興味が出て、開業当初は太陽暦ではなく旧暦に合わせ賀状を送っていた。しかし太陽暦のお正月に賀状が届かないと「元気にしていないのではないか?」という心配の声があがり結局、通常通りに送ってしまっていたが、また今回から旧正月に向けて寒中見舞いを兼ね新年の挨拶を出して行こうと思っている。


吊るし雛(つるし飾り)

2008年01月20日 | 季節感のある暮らし

~作る楽しみ、飾る楽しみ~

天井高さを生かして季節感のあるモビールを吊るすのが習慣。今年はひな飾りに合わせて、吊るし雛を飾りたいと思い立ち正月休みに探し歩いてみた。
伝統的なちりめんで出来たものは購入すると小さい物で3万円程。イメージしている大きさだと6万円くらいか。ちりめんの制作キットもネットで調べると、希望の大きさのものは1ヶ月に1つの飾りを制作する、とある。う~ん、来年になってしまうなぁ。床や棚上に置いて飾る小ぶりのものは種類も多いのだが、天井から吊るして空間にそれなりに映えるとなると、長さやパーツの大きさが限られてくる。沢山吊るせば良いかって?それではまるで展示場になってしまうし。
ところがところが、イメージすれば引き寄せられるって本当?というような出来事が。立ち寄った手芸店に、和風柄の布小物の完成品に遭遇。長さ、小物の大きさ、優しい色合いもイメージにぴったり。正統派のちりめんではないが、明るい布地がかえって古くさくなくて良い。予算も3分の1くらいで出来る。
ところが製作キットは店にないという。全国に数個残っている可能性は有るが取り寄せできるかもしれないと言われ注文。
080120 そして、今日そのキットが我が家にやって来た。吊るし雛は昔、子の幸せを想い親が一つ一つ手作りしたのがはじまりだそう。
これから、少しづつ時間を見つけてちょこちょこっと縫ってみようと思う。(実は縫い物は趣味)


ハインツ・テーザー建築展

2008年01月19日 | インてリア

久しぶりに建築展に足を運ぶ。「建築の詩人」オーストリアの建築家ハインツ・テーザーの作品は日本で初めて紹介されるという。本人が来日し今日はその講演会。ウィーンは過去に訪れているが彼の作品をみたかどうか実は記憶にない。今日はスライドを見てウィーンの記憶をたどりながら、「Architecture of Layers(重層する建築)」(展示会のタイトル)作品群のレクチャーを聴く。そこにある写真は、白、淡いグレー、濃いグレー、やや黒といったモノトーンの世界である。唯一空の色が青いのでこれはカラー写真であるということが分かる。会場を暗くしスライドに集中しているといつの時代のものなのか分からなくなる程、グレートーンの世界。我が国の建築に比べたら、ストイックさを感じてしまう程。もちろん、建築家の意図してのことだろう。ウィーンがモノトーンの世界ということではない。ウィーンにはウィーンっ子が金のキャベツと呼ぶ装飾的な建築が有る(これは記憶に有るのだが、、絵画も然り)話のなかで何度か出て来たことが、古い建物のリノベーションで光をどう取り入れて行くかだった、、とあった。窓が小さいヨーロッパの建築は暗さがあり歴史があり、それを継承しつつ新しい手を加えるという手法。写真では光の感じ方は一瞬しか分からないが、晴れの日、曇りの日、朝陽、夕陽、、時間と共にその空間で光を感じたら、きっと「建築の詩」を感じることが出来るだろうと想像する。


小学校訪問

2008年01月18日 | 子ども・環境

昨日は小学校の改修に向けてバリアフリーアドバイザーとして出かける。「福祉のまちづくり」の視点で施設の実態を把握し、改善点を提案するというもの。最後は報告書を依頼者に提出することになっている。
自治体の施設課の担当の方と、建築士の派遣を行っているまちづくり協会の担当の方と北風の強い中、2時間程施設を見て廻った。参加された方は風邪を引かれてないといいのだが、、。学校自体の施設はかなり古く、耐震改修は済んでいるものの、クラックや平面計画の気になる点も目につくのだが、建て替える訳にはいかないので、現在の状況を生かしつつ出来るところを建築士仲間と探りながら、検討していく。
080117 (スロープは付けられているものの、車いすの車輪が入ってしまうグレーチングの溝幅。目の細かいものに取り替える必要がある)
そんな中、とても感心した事がある。トイレの中の壁や手洗いの周りがとてもカラフル。階ごとにデザインや絵も違って賑やか。古い建物であることを忘れてしまう程だ。なんでもPTAが描いたそう。校舎は古いが子ども達に気持ちよく使ってもらいたいという親心であろう。どれも力作。放課後の子ども達がいなくなった廊下も清潔に保たれており、その効果は大きいと読み取れる。改修で残して欲しい要望もあるそうだが、ぜひ私も残して置きたいと思う素晴らしい一面であった。080117_2
(壁に描かれた身長計、子ども同士が仲良く計る様子が目に浮かぶ)