せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

今年もお世話になりました。大掃除、小掃除

2018年12月31日 | 季節感のある暮らし


皆様におかれましては、
大掃除も終えられて、ゆったりと年越しを待つ頃でしょうか。

あるいは、年末年始もお仕事という方もおられるでしょう。
海外へ、故郷へ、旅に出られる方も、おられるでしょうね。

多様な生き方ができるようになった現代。
セオリー通りではなく、さまざまな年末年始の過ごし方があると思います。

私自身は、横浜に越してきてから、中華街で「春節」というものを知り
旧暦のお正月の良さを知りました。

西暦の暦の感覚と、「新春」のズレ。
旧暦カレンダーに沿ってみると、しっくりくる季節感。

そこで、やや言い訳めいておりますが、
昨今は、年賀状を旧暦で出すようになりました。

仕事納め、大掃除、おせち作り、親戚のおつきないなどなど
年末年始の世間の慌ただしさから、

独立、結婚、子育てで、本当にめいいっぱいだったところ
賀状をずらすことにより、心の余裕が生まれました。

また、熊本地震を体験後は、
賀状を下さった方に、返信するのが精一杯となってしまいました。

お世話になった方々、新しく出会ってくださった方々には
大変恐縮ですが、来年も、賀状は西暦で出しません。

ゆっくり、じっくり自分なりの、挨拶の方法を
とらせて頂くことをお許しください。

年末最後のブログは、大掃除について綴ります。

昨年は、腰にコルセットを巻いた状態で
掃除もままならなかった年末。

腰の痛みはいまだにあるのですが、
今年は、ちゃんとやろうと、頑張りました。

それがもう大変でした。
汚れのこべりつきにヘトヘトです。

もともと、小掃除スタイル。以前ブログにも書きましたが
時間をかける場所は、寒くない季節の良い春に、大掃除します。

毎日使うところは、毎日掃除するが鉄則で、
まとめてやるのは、かえって汚れが落ちない。

そんなことは百も承知なのですが、

熊本との行き来の生活で、留守が長く
掃除をしない家族がいるとどうなるか、、、、
汚れ具合は、ご想像にお任せします。

横浜を空けて後の帰宅の次の日は、
トイレ、洗面所、台所の固まった汚れたちと格闘します。

そして、小掃除の大切さを改めて、実感するのです。

仕事も人間関係そうですが、後回しにすることほど、
問題は大きくなりますよね。修復も難しい。

やっぱり、何事もその都度、対処。
そして、気持ちよく過ごす。

これが鉄則よねぇ。と、腰痛を押しながらの掃除での学びです。

綺麗にしたら、水周りや、家の中のポイントも
しめ縄を飾ります。神様きてね〜、笑。

しめ縄も、お米とワラ、紙だけでできているのが気に入っています。
(プラスチックものはどうも、苦手)



玄関先も大事ですが、
この室内のしめ縄ちゃん、家の中も綺麗に整えておこう!
と意識が働いて、とっても良いのです。



そして、紅白が、おめでたいですしね。



「お掃除、プロにお任せしても良いんじゃない?
家事代行サービスも、昨今はビジネスでちゃんと成り立っているわよ。」

という方も、おられるでしょうね。
もちろん、否定はしません。利用させていただいたこともあります。

ただ、体を動かすことがもともと好きなので、
掃除はあまり苦にならないのですよ。

むしろ、エクササイズ感覚。
そして、その場所に感謝できるというのが、何より。

人間たちのために、こき使われ、汚されていく場所。

「汚れちゃって」は、あやまり、
「汚しちゃって」なんですよね、本当は。

西暦の年末に、少しでも、場所に、空間に
感謝できたことが良かったなぁと
自分自身も労って。

それに、汗を流した掃除の後は、お酒も美味しいのですよ、笑。

来年も、コツコツ小掃除、面倒臭がらないでやっていこう!
と、自分に言い聞かせるつもりで、書いてみました。

今年も、大変お世話になりました。

皆様、どうぞ素敵な新年をお迎えくださいね!

冬至、満月、暮れのお礼。

2018年12月24日 | 季節感のある暮らし

先週末は、冬至でした。

皆さま ゆずのお風呂には入られたでしょうか。
風邪をひかないと言いますね。

私は、丸ごと入れるのは、もったいなくて、(笑)
お鍋のポン酢として食べてから、
輪切り部分で、ひじやかかとのお肌カサカサを
ツルツルにするのに使っています。

毎年、熊本の実家でも、横浜の自宅でも、
たわわになってくれるゆずの実。

この黄色が、私は大好きです。
冬の寒さの中、明るい気分にしてくれます。

そして、地球のフリーエネルギーを感じます。
樹々はそこに在るだけで、実を作る。

その不思議さに、地球愛を感じながら
ひとときの幸せに浸れます。

今日は、年末に向けて、皆様への
お礼のブログとしたいと存じます。

まずはじめに、

ブログやメール、HP等でもご紹介しました
「再築大賞」一次審査、部門1位で通過いたしました。

みなさまの投票のおかげで
正式に二次審査に進むことが決まりました!!
ありがとうございます。

そして、お歳暮など、様々な方からいただきました。
お気遣いを誠にありがとうございます。

お酒、果物、乾麺にお菓子、、、etc,
一つとして同じものが重ならないところが、本当にありがたいです。
美味しく頂いています。

熊本では、直接、お米やお野菜、時にはお魚を頂くこともあります。
新鮮で、大変美味しく、本当に嬉しく思います。

その中でも、今年の「ユニーク賞」は「リンゴ」です。

思わずクスリと笑みがもれました。
なぜかって!?

それは、木の話で盛り上がって、

『私の守護樹は、リンゴの木(ケルト文化の誕生日占い)なのです。』と
お話をした方から、なんと、リンゴが届きました。

新年を守られて、過ごせますね!

笑みは、覚えていて下さった!?
の喜びの笑みでした。

次に、感動賞がこちら。

ある建築相談に載った方から。
商品券とお菓子が「お礼」として届きました。

以前、相談料はちゃんと頂いております。

これはもしかして、「好転した?」との直感は、当たり。

お礼のお電話を差し上げると、
「先生のおかげで裁判がうまくいってます。」とのことでした。

泣き寝入りしなくてよかった!

話をかいつまむと、ある木造の建物を
耐震が心配で、耐震補強を業者さんに依頼したのです。

構造の設計の方も入られ、図面もありました。

しかし、請け負った会社が、
その図面通りに施工されておられないし、
木造なのに、鉄骨を加えられたりして、
混構造になってしまっています。

先方は、ちゃんと工事契約を取り交わしたからと
工事金額の請求ばかりが、来る。

しかし、揺れがひどく、改善されていないとのお話でした。

なんとか、修繕したいと、
いろいろと所に相談されても拉致があかず
私のところにアポイントを取られてきたのでした。

現地を拝見すると、手の打ちようがない状態でした。

せっかく、耐震補強を検討してくれた設計の方がおられたのに
その方は、遠方に引っ越されたとかで、連絡がつかないそうです。

状況を判断してお話すると、「先生が今までで一番厳しいです。」
と、半分涙ぐまれました。

本当に申し訳なかったですが、
ズルズルと工事を続けても、改善しないと判断したからです。

まずは、これまでの経緯とお気持ちの整理をするのに
精一杯という感じでした。

しかしながら、こういった「何とか建物を改善したい」という
クライアントの気持ちに、
漬け込んでしまう業者さんがおられることが
私自身もショックでした。

弁護士さんを通じて、これ以上工事代金を支払わないこと、
気持ちを強く持って、この工事は耐震補強とは言えないと
きちんと主張することをお勧めしました。

私自身は、お気持ちを強く持って、行動を起こす、
という後押ししかできませんでした。

それでも、こうして、ご本人は前に進まれて、
良かったな〜と思いました。

ここでの教訓は、工事会社だからといって、
適正な耐震補強ができるとは限らない。

トラブルが起きたら、辛くても、気持ちをきちんと強く持つ。
勇気を持って、善処するしかない。ということです。

そして、私たち設計者は、
少しでも被害にあう方が増えないよう
情報発信をしていく、
技術力をアップしていくしかないと思いました。

頑張ってこられたYさん。
エネルギーを相当に使われたと思います。
来年は、きっと明るい年になりますように。。。

そして、今年も私に関わってくださった皆さまにも
西暦、年内最後の昨夜の満月に感謝いたしました。

最後まで、お読みいただいた方に
表参道のクリスマスイルミネーションの写真をご覧いただきますね。



平成天皇誕生日、キリストの誕生日と、暦ではお祝いが続きます。
少し、ゆったりとした気持ちで、
聖夜をお過ごしいただけたら幸いです。

明るさと眩しさに感動した漆喰の壁

2018年12月17日 | くまもと型復興住宅02


いよいよ、内装も仕上がってまいりました。
監理者の完了検査で、居間に脚を踏み入れると、、、

建主さんが頑張って塗られた漆喰の壁が現れて。。。。

眩しいくらいに、美しく、明るく、
しばらく感動して眺めておりました。
(感動しスギて、全体写真を撮り忘れてます。)

毎日、1時間でもと、ご家族みなさんで
とコツコツ塗ってこられた12月。

雨で寒かった昨日の日曜日も、
頑張られました。

壁に感動しているのも、つかの間、
監理者検査として、ぐるりと中と外を確認。

修復して欲しいところの細かな指示を出しました。
駄目出しではないのですよ。

取り合いが美しくできていないところ、
棚板の出が、図面より小さくなってしまったところなど、



細かなところですが、

自分が住むつもりで、少しでも
美しく、便利で、心地よくあって欲しいと、

もうちょっとの頑張りを、お願いしてきました。

そして、外構工事の土間コンクリートも施工されました。



玄関ポーチの階段との取り合いや
車を入れる傾斜など、なかなかにうまく擦り合わせてくださり
左官屋さんには、本当に感謝です!



本日は、災害復興融資の審査申請書と完了検査申請書も提出し、
今週中には、検査を受けます。

年末ギリギリではありますが、来週には引き渡し
引越しを予定されています。

寒い中の、職人さんの頑張りと
建主さんの頑張りで、とっても温かな住まいになってきました。

ありがとうございます!

もうあと少し、ですね。

HPにも外観写真を掲載してます。
http://www.mk-ds.jp/newworks/2018/12/201812.html

阿蘇神社、修復の現場を見る

2018年12月10日 | 模型・実験・見学・講習・イベント


先週末の熊本は冷え込みました。
阿蘇中岳の山頂は、うっすらと雪景色。

建築士会のヘリテージマネージャーの研修で
阿蘇神社の修復状況を見学しました。

12月1日に無事に改修工事が終わった
斎館の実測も行いました。

全体の説明と
ご案下さった禰宜の方はさすが、薄着です。



阿蘇神社の災害復旧工事は、
重要文化財に指定されていた6棟の建物は
国、県、市の補助事業で、概算9億3千万円の総工事費

未指定だった、拝殿や斎館は、指定寄付金事業として
総工事費が8億6千百万円の総事業費との
チラシをいただきました。

全体が完了するのは、平成34年までの見込みとのこと。
伝統建築の修復、復興の息の長さを感じます。

地震で拝殿が、ぐしゃっと潰れた痛々しい様子は、
建築士の別のお仲間と、以前見に来ていました。

報道でも幾度も流れた様子は
皆さんの目にも焼きついていることと思います。

その場所が、どんな復興を遂げている最中だろうかと
今回、見学できることに感謝して、参りました。

楼門も、今は撤去され、基礎の部分の石を残すのみ。



石の番付の墨も残されていたとのこと。
う〜む、私には読めない!?

今回の地震で、解体するうち、新たな発見もあったそう。
部材の各所に、関わった大工さん方のお名前が書かれていたそうです。

「藩全域から腕利きの職人さんが集められた
大掛かりな工事だったのではないか。」とのことでした。

きっと、職人さも、誇りをもって仕事されたのでしょう。

『施工者の名前を残す。』

今の建築にも、しっかりと刻みたいものです。

「石のたたいた後は、平らにするのに相当時間がかかった証拠。
この時代は、この方法しかなかったはず。」

と、受講生仲間から教えてもらいました。
石工のことまでは、私も詳しくなく、ふむふむと拝見。

次の説明は、新築予定の拝殿。
確認許可がなかなか降りないとのこと。

設計側も、審査側も普段とは違う建築で
手順がうまく進まないようと、
禰宜さんも苦笑いされておられました。

普段は入れない、拝殿があった跡地に立ち、
一の神殿から三の神殿までを、仮囲いの外から見学。
彫り物に特徴があるとの説明。



阿蘇の澄んだ空気を心地よく吸いながら、
恐れ多くも、神様に近づいたような神々しい気分になりました。

最後は、修復を終えた斎館の見学。





研修の目的でもある実測調査と図面起こしは、
夕方になると、手も寒さでかじかみました。

銅葺きに吹き替えられた屋根が、
これまた煌めいておりました。



阿蘇神社関係の修復に関しては、熊本大学の伊東研究室が
地震前に調査していた図面が、かなり役に立ったそうです。

記録しておくことの大切さも痛感いたします。

設計して、工事して、調査して、壊れてまた調査して、
設計し直して、工事し直して、、、、

文化財の一つ一つのパーツの調査も、
時間が相当にかかります。
専門家の方が入っているとはいえ、気が遠くなるような作業。

これからも、私たち建築士が、粘り強く
日本の建築を後世に伝えることをやっていきたいですね。

最後は、これからの修復工事の安全を祈願して
阿蘇神社を後にしました。

お忙しい中、説明や解説、そして資料を用意くださった
関係者の皆様には、感謝いたします。