![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/02/c0c2f44a5ae9596130bbd6c3a4cd7b99.jpg)
大きな地震があった場合に、
剛性の強い土壁や、外壁をまず崩落させ、
建物の骨格である軸組は粘り強さで、
倒壊を防ぎ、人命を守る。
それが、伝統構法の建物のメカニズムである。
まさに、そのことを
今回の地震で目の当たりにした。
震度7を観測した震源地から、9kmしか離れていない現場。
本震を受けた時は、
工務店、依頼主共に、「崩れているかもしれない」
と、思われたそうだ。
設計者自身は、
耐震補強の検討を重ね、ある程度施工も進んでいたので
自分も夜中の震度6弱に耐えながら、
自分を信じようと、念じていた。
しかし、なにせ施工途中、大丈夫という確信はなく
被害は出るだろうと、覚悟はしていた。
結果は、倒壊を免れており
その後の当方の被害状況確認では、
耐震補強してきたこところが、効いていたことが分かり
また、基礎とのつながりをもたせていないので
地震力がそれ以上、建物に入力されていない跡、
基礎と柱のズレが見られた。
今回の未改修部分や、古い瓦に被害はあったものの
倒壊させないという目的が達成しており
設計内容が間違っていなかったことに
本当に安堵したものだ。
もちろん、私だけの力ではない。
確かな施工があってのこと。
構造のアドバイスを大学の研究者にいただいたり
付き合いのある構造設計者の助言あってのこと。
手間暇をかけてもらった補強とやり直し。
未施工だった部分では、外壁崩落の被害もあったので
もう少し、工事が進んだタイミングだったら、、
と、思わずにもいられなかったが
それでも、これは奇跡かもしれないと
思うのだった。
川に近く地盤も決して良くない。
そこで、今ある基礎、築130年倒れなかった建物の
石積みの基礎をそのまま使ったのである。
そこなら、圧密沈下も十分に起きていると考えられ
地盤も安定しているとの判断。
ご先祖が残してくれた基礎に、構造の軸組に感謝である。
本当に、ありがとう!
倒れないでいてくれて!!
-----------------------------------------------------
詳しいレポートを、HPにアップしました。
興味のある方は、どうぞご覧ください。
http://www.mk-ds.jp/newworks/2016/04/post-37.html
-----------------------------------------------------
追伸:工務店の監督さんは、全震直後の現場に確認に行かれて。
到着したら、震度6強の揺れ。
投光器を当てて確認した揺れの様子は、
なんと左右50cmは上下階で差があったそう。
地震時に建物は、上階と下階で逆方向に揺れるのだが、
まさにその状態をご覧になったそうだ。
もうダメかと思ったけど、朝になったら戻っていた。
よく戻ったものだと感心したそうだ。
これも、ただ固めるだけの耐震ではない施工、
古民家の粘り強さを証明したとも言えるのかもしれない。
もちろん、もうこれ以上強い地震は来ないでね。
2回で十分です。