せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

新月祈りと新月会議 〜想いを実行に移す方法〜

2017年02月27日 | 季節感のある暮らし


日に日に蕾み開く梅の花を愛でながらの
早朝散歩で出会う朝日も暖かに感じられる今日この頃。

↓先週金曜日の様子


↓月曜日の様子


霜が降りる日もあり、寒さはまだありますが
春の訪れにワクワクする日も増えて参りました。

昨日の日曜日は、旧暦2月1日の新月でした。
新月には、新しくチャレンジすることを書き出し、
願うと叶えやすくなるという自然のリズムを生かし、
幾つかのお願いもいたしました。

建築の仕事、
森と樹と暮らしを繋ぐ活動のこと、
家族や友人知人との関係、地域連携、
そして、熊本復興。

さらに、本日月曜日は、新月会議と称した
自分の抱えている課題と向き合う一人会議の時間を作りました。

心落ち着けるために、新月の夜には、
自分と家族と周りの方々の幸せを祈る新月祈りを

社会人としては、新月会議をすることを自分のリズムにしています。

ひとり会議と出会ったのは、この本。
参考「ひとり会議の教科書」(山崎拓巳著)

自分の人生を経営的に生きるためには、
物事の時間をコントロールすることと
自分をコントロールする時間が必要です。

案外と、誰に相談することもできず、悶々とすることも多く、
そこに自分で答えを見つけられる方法なので、このブログでも
幾度か紹介してきました。

私自身は、さらにそのパワーを強めるために、新月に絡めて
「新月会議」と呼んでいます。

仕事の図面の仕上げや締め切り、勉強に加えて、
年度末の設計事務所の各更新手続き。

それだけで生きているわけではなく、
家庭人としては、
子育て、親のケア、そして志の活動、さらに熊本復興のボランティアに
対外の方との交流、加えて知人友人やママ友とのお付き合い。

公私ともに所属する団体は、10箇所以上!
どれも、優先したい!だけど体も頭脳も一つ。

それぞれのテーマを、急ぎ、やりたいこと、誰かに任せられること
振り分けて、手帳に書きます。
時に費用面がかさんでも、手を借りることもあります。

新月祈りで、自分の想いと向き合い
新月会議で、それを実行する手段を検討し、
実際の日付に落とし込んでいく。

このリズムが私には合っているようです。

見落としや抜け落ちがないか(信頼関係において大事な事です。)
うっかり、忘れていた約束を思い出すこともあります。

そして、キャパをオーバーしているなと思ったら、
あっさりあきらめるか、人に委ねるか、時期を見直す。

こうすることで、誰かのせいにしたり
時間がないことのせいにしないようになりました。

やりたいことが出来てないじゃない!?
ってことも減ってきました。

それから、無理もしないように、笑。
少しくらい休んじゃえって日もあります。
(ぶっ倒れたことがある人には、
健康管理が実は一番大事って分かりますよね)

今週は、いよいよ今年の西暦3月に入ります。
年度末の月でもあり、寒暖の激しさに加え、慌ただしい季節です。

皆さまには、人生を大いに楽しんでいただくためにも
志の向く方に、舵取りをしていただくためにも、

体調管理には十分気をつけて頂きながら
過ごしていただければと存じます。

伝統構法の住まい改修、安全祈願祭〜熊本地震を乗り越えて〜

2017年02月20日 | A06設計監理_熊本県M邸古民家再生


この春で、築125年目になる
古民家の改修工事がいよいよ始まります。

日曜日は、お天気も良く、
梅の花の蕾も膨らみ、春はそこまでという気候の中、
工事の安全祈願祭を行いました。



熊本地震で倒壊を免れた伝統的な住まいの改修工事です。
ここまで来るには、本当にいろいろありました。

伝統構法の専門家による綿密な調査のご協力を賜り、
工務店さんの良心的な見積りと誠意のある対応があり、
そして、工事費をやりくりなさったご家族、ご親戚。

罹災証明は、「大規模半壊」。
お会いした時には、ご家族は、公費解体を決めておられました。



もったいないから、ぜひ見るだけでも。。と案内されたその家屋は、
立派なケヤキの大黒柱に、黒光りする太い梁。

内部や外部の漆喰は落ち、なまこ壁も崩落して
確かに、地震の被害はあるものの、軸組のしっかりしていること!

北側の床の傾きは、おそらく柱のシロアリ被害か腐れによるもの。
地震だけの被害ではなく、経年変化によるものも大きいと見受けられました。



何度か調査に伺い、小屋裏の様子、できるだけ床下も確認し
これは、まだまだ修復で十分住める!と判断。

奥様が気にされていた梁のヒビも、地震でというよりは乾燥割れ。



これまで、建物修復支援ネットワークのH氏、
熊本県立大学の先生に研究室の学生さん
そして、日本民家再生協会の仲間と
調査、確認、ヒアリングなどを行い、
限界耐力計算の構造専門家にも教えを請い、

修復しよう!という結論に至りました。

壊さなくて良いとわかった時の、ご主人の安堵したお顔を
私は一生忘れないでしょう。

ご近所の方も「この家を壊さないと分かって、自分の事のように嬉しい。」
と言ってくださっています。

壊すことは、簡単。
でも、造り直すことは容易ではない伝統構法の住まい。

先先代の建てられた家屋。
思い出の沢山詰まった家屋。
地域に、家族に愛された家屋。

私も、このお住まいに関わらせていただく喜びを噛み締め、
そして、工事の安全を祈りながら
生かされ続ける住まいをしっかりと設計監理し
今は亡き、先代の匠たちに恥じない仕事をしよう!
と誓ったのでした。

ご家族は、仮設住宅暮らしで当分は不便になります。
それでも、帰って来られた時には、美しさもアップし、
待った甲斐があったと思っていただけるように、
しっかりと改修、補修、補強工事に取り組んで参ります。

満月の晩に、感謝いっぱい。パーティーに参加して

2017年02月13日 | ワーク・ライフ・バランス

このブログをスタートしたきっかけは、

仕事と家庭生活の両立の実現と
自分の時間をどれだけHappyにしていけるか
手探りながら

Happyな時間をもたらしてくれる
周りの方々に、出来事に感謝を綴ろう!と始めたのでした。

先週末の満月の日には、まさにその集大成とも言える
ご褒美をいただいたような時間を過ごせました。

感謝の気持ちを込めて
自分へのノルマ!?月曜日のブログ、に綴ります。

このノルマ(リズム)も、客観的に自分を見る、
さまざまなことに、振り回されない自分になる
という点で、どんなに仕事が溜まっていても、
時間を作っていこうと決めたことです。

ワークライフバランスの実践者として
女性経営者としての大先輩でもあり
憧れの方でもある佐々木かをりさんの主宰する
イー・ウーマンのパーティー(イー・ウーマン・オブ・ザ・イヤーの授賞式)に
参加させていただきました!

この方の存在あってはじめての
私の今のHappyLifeといっても過言ではないお方と、
直接お話しできるなんて!嬉しすぎでした、笑。

受賞者やノミネートされた方々には、
記念品や盾、会食が用意されていました。

私も赤ワインとスタッフの方も絶品ですから
是非召し上がってくださいとおっしゃる美味しいビュッフェと共に、
それまで雲の上の存在のような方々とお話をさせていただくことができ、
本当にうれしかったです。

当然、私が吹きかける!?議論は水問題に、山問題。
さすが、有識者の方々、深いお話ができ、
こちらの生意気な意見や考えに対応くださり、感謝です!

さまざまなお話を伺って、共感したこと、感銘したこと、発見などありました。

佐々木かをりさんにこの素敵な専門家の皆様、
人脈の広さを伺うと
お付き合いのポイントは、志が高いこと、人柄が温かいことだそうです。

そうなのですね!
だからこそ、素敵な場になっているのですね。

私も皆さんに恥じないよう志をしっかりともって、
社会参画していきたいと改めて感じた1日でした。

ご準備くださったスタッフの方々、参加された皆様
本当にありがとうございました。

合氣道と伝統的建物(古民家)の構造特性

2017年02月06日 | 合気道に学ぶ


今年はじめから綴っている合氣道の話の、第3段です。
実は、合氣道の稽古をしながら、その真髄は

設計監理に携わっている伝統的建物の
構造的特性になんて似ているのだろう!

と思っています。

日本の文化の原点なのか、、、、
日本人独特なものなのか、、、、

などなど、想い巡ることがたくさんあり、

今回は、その発見した共通点!
をブログ読者の皆様と共有したいと綴ります。

1) 合氣道の一人技、立ち姿の統一は、
伝統的建物の、重い瓦屋根を乗せて太い梁と
均等に配置した柱で安定させた構造に類似。

伝統的建物は、基礎に柱を緊結していません。
いわゆる石場立て。


↓熊本地震で倒壊を免れた蔵の大黒柱。
石の上でずれて止まっている形跡あり。


合気道の立ち姿勢の基本は、
全身の重みを地面に伝えてるイメージで立ちます。

重心を臍下の一点に起き、そこから足の指先まで
氣が出ていることを意識したものです。

この姿勢だと、前から押されても、後ろから押されても
倒れないのです。
意識していないと、わずかな力で途端にグラッときます。

伝統的建物の重みが下に行き、
その基礎と柱の間の摩擦抵抗で、倒れない
という点と、似ています。

これを、瓦屋根から金属屋根に変えたら、
受ける水平力(地震力)は減るけれど、この重みが下に行く
力がなくなり、倒れやすくなると思うのです。

だから、現代的な木造の工法では、基礎と柱をつなぐのですけれどね。

2) リラックスした時が、一番強いという人間の特性を生かし、
   合氣道では、力をいかに抜くかというのが稽古のポイント。

力を入れすぎると、俄然、技が効かなくなります。

すっと相手の手を持った自分の手にも力を入れません。
氣の流れで人を導く(実際は倒すのですけれど)のです。

伝統的建物も、仕口には遊びの部分があります。
いわゆる「ゆるい接合」です。

柱、梁が木組みで組まれており、
地震力が働くときは、その間に埋められた込み栓が閉まって
動くけれども、外れないという作用が働きます。

ガチガチに金物で固定していないので、
伝統的建物は、常にリラックスしている状態といえるかもしれません。

そして、土壁の漆喰部分を落として、地震力を逃す構造特性も
一つのリラックス状態。

横揺れや回転などの力、時には下からの突き上げにも
耐えてきた熊本地震の伝統的建物の立ち姿を見ると

リラックスしておいて良かったねぇ、
と声をかけたいほどです。

↓床の間横の飾り棚が崩落し、漆喰も剥がれた様子。
相当に揺れたことがわかります。それでも、神棚と仏壇は無事。


実際に、現代的工法、金物で固める方法では根元から
ボキッと折れてしまうことがあります。

壊れやすい木造は、つまりこのどちらも中途半端な場合です。

屋根を軽くして、基礎と緊結して構造壁をしっかり配置した木造では
震度7弱では、倒壊しません。(現代の法的な基準に則り構造計算したもの)

伝統的な建物で、木材の劣化や腐れがなく(強度の低下がない)
無理に固めていない、増築などで現代工法に置き換わっていない部分では
大きな揺れが起きても、揺れて、締まって、戻って、元の立ち位置になります。
(土壁部分や瓦の一部は崩落します。)

↓土壁は一部崩落、柱は戻って立っている。


これを伝統的建物、木組みの家の『復元力特性』と呼びます。
このチカラが、合氣道の『氣』に通じるものではないかと思うのです。

読者の皆様には、分かるような分からないような話でしょうか。。。

言葉で表現するのは、難しいですね。
身体で体験してみると面白いのですけれどね。

復元力と氣の関係性、、、

そんなことを、うふふふ、、と想像しながら、
稽古も、伝統的建物の修復にも取り組んでいる昨今です。

マイナーな建築の話にお付き合いいただき、
ありがとうございました。