せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

認定なら大丈夫なのか?

2012年08月30日 | ものづくり

実は、ココにも問題があって、認定を受けた工法と違う内容でメーカーが販売していたという違反もあります。

認定仕様そのものに問題があると、材料や工法を選ぶ設計者は、どうしようもないですね。

アルミサッシ、不燃木材、木製サッシでもここ1,2年で違反が発覚しています。

対策は、
1)「認定書」を徹底して読み込むこと。
2)本当にこの材を採用して大丈夫なのか?いい意味で疑ってかかること。

今、私の中では、これしかありません。

認定書は、数ページにわたり、非常に分かりにくく、また様々な組み合わせがあり、読書としては大変面倒なものです。しかし、これを間違うと先のような問題が起きないとも限りません。

また、実際には施工者の意識も大事なので、現場では嫌われ覚悟で、しつこいくらいに、あれはどうなっているか?大丈夫か?と迫ること(笑)

3)施工のしつこいチェック

どんなに忙しい監督さんでも、施工写真の提出を義務付けます。ただし、感謝とお礼の気持ちを込めてチェックしますよ~。監理者も全ては現場を見れませんからね。

チェックしている姿勢を貫くことで、手抜きや間違いも防げます。

余談

監督さん(施工者)は、ほぼ男性なので、最初に女きょうだいが居るか聞きます。なぜなら、女性に怒られたり指示されたことがない男性は凹むからです。

女性に言われるだけで、男性のプライドはズタズタですからね。
(逆に言えば、言われて凹まない方は、精神的にかなりタフです)

ココに誤解のないように書いておきますね!

私の指示(しつこさ)は、男性を傷つけるためにあるのではなく、貴方がた(施工者の瑕疵の部分)を守るための愛のムチですからね!

それから、仕事中は、男女を意識しずぎないこと。これも大事な点ですね。

募集

もちろん、職人さんが施工しやすいように、段取りしたり、配慮したり、行き届いた監督さんも多くいらっしゃいます。こういう方とお付き合いしたいですね。出来上がりが綺麗です。

打合せの中で「それでは(職人さんの)手が入らないな。」とか「こっちから施工してやらないと、○○がやりにくくなります」など、職人さんの立場になった発言が出て来る監督さんは、その時点で、かなりクリア。

心の中で「良い人に当ったなぁ」と喜んでいます。

我こそはそんな監督という方、お仕事ご一緒したいです!!

私自身も完璧ではありません。施工のこと、知らないことがまだまだあります。

良い意味でのコラボレーションで、世の中の「違反建築はなし」にして行きましょう!


木造の違反建築について

2012年08月30日 | ものづくり

政治とニュースの話は、なるべく避けている当ブログですが、今日はちょっと書かせてもらいます。

大手住宅メーカーの相次ぐ準耐火木造の建築基準法違反・・・。

その件数の多さにも愕然とします。

該当なさったお住まいにお住みの方は、さぞかし驚かれたことでしょう。

また、住み続けられることに不安もあることでしょう。

これからの対策は、まだ報じられていませんが、安全、安心を守るはずの住まいがなぜこのようなことになってしまうのか、考えたいと思います。

専門サイトでの報道では
大臣認定を受けている工法に適合していないというのが原因です。

石膏ボードの下地の欠落、ネジやビス、留める間隔、間柱の間隔、それらが適合していない、つまり認定工法通りに施工されていなかったんですね。

完全に現場監理と管理の責任の欠落です。

なぜこのようなことが起きるのか・・・

1)認定工法採用による安心感が現場のチェックを甘くしていないか?
(品質管理の不足)
2)命を守る住まいであるという認識が不足していないか?
(建て主の顔が見えないのも遠く起因すると考える)
3)手抜きがある程、職人さんの人件費を下げていないか?
(競争社会の生き残りをかけて経費削減)

耐震にしても耐火にしても認定工法を採用する恐さは、、そのネジ一本、釘一本、間違うと命取りということです。

最初に私が現場で認定工法を採用したとき、くまなく見たものです。手抜きではなくとも、人の仕事なので、必ず間違いがあります。忘れていたり、飛ばしていたり、一列ずれている!ということもありました。

様々な材料があるなか、メーカーもビス位置などボードに印刷したり、ビスの色を長さや強度で変えていたり、間違わない改善をして来ています。

それでもこういったことが起きてしまう。材料メーカーもショックでしょうね。

工務店や監督さんなど施工者の意識が高いところとお付き合いしないと、明日は我が身という問題です。

それにしても、発覚が遅すぎますね。施工中におかしい?と思う方は居られなかったのか?メーカーの現場用チェックシートなどはないのか?

この事例を、反省材料として、私自身の施工の監理を、ますますしっかりと行っていかなければと自戒の念を込めて書きました。


樹齢200年の欅に恋して

2012年08月29日 | ものづくり

樹は本当に、私たちを癒してくれますね。

古民家のお庭にある欅の巨木は、樹齢200年くらいだろうというお話でした。
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ずっと外での飲食でしたが、木漏れ陽と、葉の蒸散で涼しく、また緑が目に入ることで、気温以上の効果がありました。

バックでは、結成50年(←継続のすごさに関心)という素敵なシルバー紳士によるハワイアンを演奏下さり、スタッフの方々が炭火で焼いて下さる地元の食材に舌鼓を打ち、とても心地良い暑気払いをさせてもらいました。

欅には抱きついて来ましたよ~。参加者の女子群で。

特別ですね。うふふ。
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↑幹周りの太さよ。ちなみに私が両手広げると約1.7M

欅は日本人が最も好む樹木だよね。というお話が参加者から出ました。

えぇ、えぇ、設計者も大好きです。

その樹形の美しさ、葉の柔らかな緑。

もう、恋こがれますね!

外構の設計で選定はするものの。お手入れやお値段になかなか実現出来ない。特に大きなものは。

でも、この欅の木蔭の涼しさを、一人でも多くの日本人に味わってもらいたい想いは、強く・・・。

あぁ、欅に恋して。
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余談
写真しつこくて失礼!ファッションもカジュアルです。この日は、建築4対母6くらいでしたから。

我が家のカメラマン(子ども)が熱心に撮ってくれたのでおまけにもう一枚。欅と一体になっているイメージ。私も、こどもも、ぐんぐん伸びるぞ~、あ、私の身長はもう伸びなくていいですけどね。人生がね。伸びますように、、、。


古民家で涼む

2012年08月29日 | ものづくり

夏休み最後の日曜日は、普段非公開の古民家見学&サマーパーティーに親子で参加しました。
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目的は3つ。

1)まず、古民家再生の事例をこの目で見ること。
2)本物を子どもに感じてもらうこと。
3)古民家再生の仲間達との交流。

案内にあった築150年の代表的な古民家だけではなく、ご近所の茅葺き屋根は再生しなかったが、中の構造材は再利用+αで残した事例と、実際に茅葺き屋根のお住まいに住み続けられている事例の3点を見せて頂きました。

↓現役の茅葺き屋根の家
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その他にも敷地内の蔵の改装例が2カ所。
1カ所はダイニング。
もうひとつの蔵はスタジオになっていました。
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企画の張本人であるご主人のお話では、両親の住んでいた築150年を壊さずに、自身が建てた築26年の自宅の方を壊した。ということです。

この選択のエピソードは、建物が残ったストーリーを端的に表していました。

全てを原型通り留めている訳ではありませんが、一枚板の部屋のスパン全体の神棚や木製建具、造り付けの仏間や収納、建具の再利用など、どれも素晴らしいものでした。
↓障子のある神棚
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外の陽射しの照り返しは容赦なく肌を射る暑さですが、建物の中や木蔭の下のひんやりと涼しいこと。

電車のホームなどではすぐに「暑い~」とぐずる子どもも、さすがに文句言うことなく、民家の面白さにキョロキョロかくれんぼ状態。いつの間にか、気に入ったものは、写真に納める程。

大人の会に子どもは一人でしたが、臆せず連れて来て良かったと思いました。

古民家に学んだことは沢山ありますが、それは実務に活かすとして、ゆっくりとじっくりと空間を愛で、しばし夏の日に酔いました。
実際、生ビールを美味しく頂きました。禁酒解禁!?(笑)

建ててくれた当時の方々
残すという情熱とエネルギーを掛けて下さった方々に

感謝しながら、残してくれてありがとう。
再び私たちを快く迎えてくれてありがとう。

の気持ち一杯に名残惜しく、お別れしました。


ムンバイ展に痺れる

2012年08月24日 | ものづくり

モーニングの後は、東京方面に出た寄り道で、行きたかった展示会に行けました!

ギャラリー間で9/22日まで開催の「スタジオ・ムンバイ展」です。
http://www.toto.co.jp/gallerma/ex120712/index.htm

私のやりたい建築がここに集約されていると言っても過言でないくらい、大好きな建築です。

自然、木が好きな方でなくとも、その良さには痺れると思います。

<良いと感じている点>

1)その地域の材料を使いながら、風土に合った建築を美しく創る。
2)職人さんの技を活かす。
3)人、地域、風土をよく見てデザインしている。

シンプルながらディテールの検討は実物サイズ。
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一番うらやましいのが、ココ。

施工部隊を持たない設計事務所では、なかなか出来ない点。予算や工期があれば施工時にじっくりと検討も出来ますが、間に合わないのが経済事情。
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ラボ、欲しいなぁ。

展示は撮影OK、触ってOKな店も、GOOD!

余談その1)スケッチは思考

建築家ビジョイ・ジェインのスケッチが展示されていました。
A5サイズスクエア入りノートに描くのは私と同じ!と嬉しくなりました。

しかし、その中身の違いは歴然。

↓MKdsの方
思考も、メモも、計算も、打合せ記録もすべて入っているノート(プロジェクトカルテと呼んでます)
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↓建築家ビジョイ・ジェイン
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美しく検討して、美しい建築が出来るのね。きっと頭で検討した後、手が動くときはもうイメージが出来ているのでしょうね。

しゃべりながら、描きながら考えるタイプの私は、もっとじっくり検討(頭を悩ます)が必要かしら・・・。やってみよう。

余談その2)ディテールは職人さんと決める

現場にこちらの真意が伝わりにくい時、設計施工が出来たら良いのにと思うこともしばしば。

でも、日本のビルダーってどちらかというと○○円で引き受けて、その中に設計を合わせる流れになっていますよね。だから施工会社を私はしない。監理がなぁなぁもいや。という考えでいました。

スタジオ・ムンバイは、職人さんと一緒につくる。一緒にデザインを考える。という点で流れが逆。形の検討が先なのです。

こちらも私が理想とするスタイル。

このデザインが良いのだから、これでやって!と押し付けるのではなく、こういう風にしたいけど、施工出来るかしら?あるいは施工しやすい方法は?と検討するのが大好き。

職人さんにそれなら出来るよ、とかこう言う手もあるよ、とコラボ出来るときが最高に楽しい。

なので、きっとスタジオ・ムンバイは皆、信頼関係のもと、手仕事の大変さも楽しみに変えながら施工されていると想像出来ます。

良いスタイルだなぁ。

私もコラボどんどんやろう。