せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

伝統構法の古民家再生において、耐震をどう考えるか?

2015年07月30日 | A04監理_熊本県X邸古民家再生


伝統構法の古民家再生において、耐震をどう考えるか?

という指針は実は特にないのが現状です。

設計者にとっては大変に難しく、
チャレンジが面白い分野でもあります。

一般的な木造の在来工法には、一定の計算方法「壁量計算」があり、
それで法的な部分をカバーしていくことができるのですが。。。。

計算方法としては、

1) 許容応力度計算・・・建物荷重の20%程度の力が加わっても構造体にひび割れが生じない範囲の強度を保つ。自由度の高い木造設計が可能。

2) 保有水平耐力計算・・・建物荷重の40%程度の力が加わっても構造体にひび割れが生じない範囲の強度を保つ。一般的な鉄骨造や鉄筋コンクリート造。

3) 限界耐力計算・・・超高層の時刻歴計算の優れた点を簡略化し、簡単な計算を行えるようにしたもの。

1) は建物の剛性(硬さ、強さ)をみるもので、3)は、仕口の部分も配慮できるため、剛構造と柔構造を合わせ持ち、さらには免震要素もある伝統構法の構造計算にはふさわしいと言われています。[民家再生の技術]より

一方で、3)でカバーするのは、あくまで人命を守る程度の倒壊を防ぐものであり、設計者の不確定要素を減らすためのものでもあるとも言えます。

実際に計算の作業性は1)→3)の順に増えるため、3)を行うことは費用面でも稀です。

今回、土壁、現在の壁バランス、一部金物補強で、1)を行ったところ、一応倒壊しない倒壊の数値がでて、ほっとしているところ。

ただし、屋根と床の剛性が不足しているので、そこをどう補うかは、3)の計算をやってみないとわからない、というところまで来ました。


さぁ、3)に挑戦!?

それとも、かなり改善されるので、現状で概ね良しとしていくのか

この先は費用面を依頼主とも相談しながら、進めたいと思います。



企画立案はひとづくりから

2015年07月22日 | 東京D企画イベント

HMJをみなさんご存知でしょうか?

HandMade in Japan Fes が今年も開催されます。
日本全国のクリエーターたちが集まって、日頃の作品や新作を展示し、
多くの人に知ってもらおうという場です。

フードコーナーやライブなどもあり、お祭りのような賑わい。
今年は、友人のChiakiさんがイベント出店されます。

日時:2015年7月25,26日、場所:東京ビックサイト西1,2ホールです。
DAIAクローゼット、ブース番号は「B-84,85」ぜひ見にいらしてください!
https://hmj-fes.jp/ichiran/2695

古着といってもビンテージ物の生地を使い、バックや小物にリメイクする
日本でも数少ない、リメイクデザイナーです。

彼女の作品は、私の経営理念「今あるものの価値を最大限に引き出す」というところと共鳴します。

物があふれる時代。
眠っている布たちにもう一度命を吹き込む彼女の仕事に感銘を受けます。

写真は、さらにその端切れでつくられたストラップ。
私の手持ちのバックに合わせたところです。

私自身の「地をつくる」建築のものづくりとは違い、
柄×色の華やかな世界です。

一見、真逆の世界のようにも見えます。

ところが、
私の建築のものづくりの場合「その空間で過ごす人が主役として輝く」、
彼女の場合「それを使う人がときめいて輝く」

という根元にあるコンセプトは共通しているのです。

出来上がったものこそ、華やかですが、地道にコツコツとミシンでの格闘は、私の図面作図との作業にも似ています。

将来的には、子ども向けや一般向けの
手ほどきリメイク本を作りたいという彼女。

そこで、今回、針に乗った可愛らしいChiaki魔女のキャラクターを提案。
ブースのイメージ作りのお手伝いをさせていただきました。
背景を黒にする案です。

ただ、実際の展示場は横長で、しかもレンタル品を用いなくてはならないという制限があり、背後の板はなく、イメージ案は見送られることとなりました。

今回は、簡単なレイアウト案の検討に止まりましたが、
今後の展示企画に活かせればと思います。

案は当事務所のブログに掲載しました。
http://www.mk-ds.jp/newworks/2015/07/post-33.html

MK design studioでは、立体を考えるだけではなく、
個人企画のプロデュースやイメージ作り、スケジューリングや予算組みなどの計画立案も行っています。

いろいろと展示案を練る中で、
彼女のやりたいこと、ものづくりの今後の方向性や迷いが
吹っ切れたと言っていただきました。

クリエーターさんは常に作品づくりで葛藤です。まずは、そこがスタート。
展示企画づくりを通じての、私たちの仕事のはじめの一歩は、人づくりですね。

25日初日は、私も展示準備のお手伝いに伺います。
多くのものづくりに本気の方達との出会いを楽しみにしています。

素敵なご縁が広がりますように!!