先日のブログで少し書いた、私の好きな建築を設計し、既に亡くなっている女性建築家の本が届き、家族が寝静まった頃(私の読書タイム)夜中に起きだして読んだ。
ショックである。
彼女の亡くなった年齢が、今の私と同じであった。
著者は彼女の母親で、遺された夫、子ども達、同じ建築士として女性で働く仲間たちのメッセージ、彼女の手紙や生い立ち、取り組んだ仕事のことで構成されており、涙無しでは読めないものだった。
小さい頃から工作や手作りが好きで、勉強熱心で芸術家を目指し、デザイナーになったものの、流行にのって壊される早さに嫌気がさし、最終的には「人間の本質に迫った息の長い仕事をしたい」(←本人の言葉)と建築家を目指して大学院へ行き直したりしている。
こどもを3人生み育て、母親になってから建築士資格を取得し、学生、起業、とハードなスケジュールを送っていたらしい。
それでいて周りに気配りも絶えなかった人のようだ。
本当に惜しい方を亡くしたと思う。そして、彼女の敷いてくれた女性でも一流の仕事は出来るという道筋をたどりながら、続く私は、まだまだ未熟で努力も足りないが、その無念さを最大限にはらしていきたいと思う。
そして、この本に書かれている事は、今の社会を確実に変えている内容である事に気がつく。やはり、世の中を動かすのは、マンパワーの情熱から仲間へ波紋を広げて行く事だと思う。
一方で、まだまだ変わっていない、生かされていない部分も大きい。
忙しさを極めていた「ものづくり」の対価としての設計料は本当に微々たるものだったらしい←夫の回想。
保育園の設計に打ち込み、様々な研究会で勉強したり、意見を述べたりと彼女が情熱を傾けたように、私自身も自分の方向性を見据えて情熱を注ぎつつ、そして何より、無理のないように息長く続けて行こうと思う。
この時期に、この本に出会えて、本当に良かった。(出版は18年前)
悲しみの中、遺族として書き上げて下さった関係者の方々には感謝したい。
そして、建築家、佐々和子さん
私たちへ沢山のものを遺してくれて
ありがとう。