「潜在自然植生」理論の生態学者「宮脇 昭氏」の言葉の中で私が感銘を受けたものに、「本物と繋がれ、本物を見極めよ」というものがある。また、「大事なのは、いかに本物であろうとするか、そして、いかに本当の師や仲間とつながっていくか」と説かれる。自分の仕事のスタイルに迷った時、判断に悩んだ時、この言葉に励まされる。先日、インテリアのコーディネート依頼のため、家具店を巡っていた時もこの言葉が浮かんできた。
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実は前々からとても気になっていた家具があった。国産のソファである。これまで家具選びを何度も経験して、ソファは外国産にかなわないという自身の考えが決まっていた。しかし、カタログで一目見た途端、このソファはもしかしたらこれまでの私の考えを覆してくれる物かもしれないと気になっていた。
和なテイストを残しつつ、洗練された現代的デザイン、そして本物の材料。
ところが、以前カタログで依頼主に提示して断られた苦い経験があった。カタログではすっきりしたデザインがかえってごつく見えてしまうのか、別の家具にしたいと言われ、仕方なくその方がご自身で家具店で見つけられた物を購入された。
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今回は実物を確かめ、座り心地を味わい、手触り、メンテ等の機能様々な要素を比較するうち、一押しの候補になった。予想以上の素晴らしさに私は前回もっと強く進めておけば良かったと深く後悔した。そして、今回は自信を持って依頼主に提案した。ところがである。またしても、別のソファがいいとおっしゃる。
依頼主がカタログ等の写真の印象でこちらが良いとおっしゃるソファは、私自身が実際に座った時、先のソファの座り心地との落差に愕然としたものであった。その時に先の「本物を見極めよ」という言葉を思い出していた。またしても断られて、私の視点や感性は間違っているのだろうかと落ち込んだ。しかし、自信があったので、ぜひ座り心地を比較するよう依頼主に懇願。
結果は、、
座り心地の良さにすぐに購入したい、他の物はもう見なかったとの連絡。
よかったなぁ。理解して頂けたことと、そして何より依頼主の手元に「本物」が届くこと。
これからも迷う時、本物であるかどうかで接していきたい。
(実際に家具が搬入されたら写真をアップ予定です)