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建築家 故吉田五十八による近代数寄屋と
言われる大磯の旧吉田茂邸。迎賓館としても使われた私邸。
有名な建築であるにもかかわらず、
神奈川に越してきてから拝見せずじまい。
そのうちに、なんと火災に遭い、
再建後、平成29年に一般公開されました。
(すでに、来訪者は、昨年、10万人を突破したそうです。)
この度、神奈川県建築士会の中支部の皆さんが
見学会を、ガイド付きで企画してくださり
やっと、重い腰を上げて、伺うことができました。
昨日は、小雨も降り、肌寒い1日でしたが、
建築士の皆さんの、建築に対する情熱は熱く、
見学会は大幅に時間オーバー、笑。
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ベテランのガイドさんは、建築の造詣が深く
建築士相手ということもあり、建築素材の材質からお値段、
ディテールまで、解説が及び、学びの多かった1日です。
一般公開で建物以外は無料とあり、
ここの庭園の素晴らしさは、
多くの方がブログにアップされているので、省きます。
ここでは、マニアックな話を綴ります。
全体像も写真、撮ってません、笑。
まず、目を引くのが兜門。トップの写真
消失を逃れたとだけあって、趣もそのまま。
お値段は一般住宅が10棟建つ程だそう。
その檜皮葺(ひわだぶき、ひはだぶき)が美しくて。
木材フェチには堪りません!
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中のカーブに切り取られた形は、
大きな傘をかけて、要人を迎えるためであるとか、
杉の一枚板戸であるなど、
ガイドさんの解説が、建築心をくすぐります。
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ロータリーの樹種や花の意味まで
詳しく解説してくださいました。
木部も、細かく面取りされていて、
感嘆の声が漏れます。
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建築マニアでなくとも、建築美や、こだわりの部分などは
少なからず、心打たれると思います。
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ガイドさんが付いていてくださったのが良かったのは
復元前もご存知だったこと。
なんとなく、アプローチに違和感を覚えていたら
実は玄関はもう一つあったが、復元されなかったそう。
それを聞いて、合点がいきました。
それから、日本建築の究極である兜門の目線の先にある
洋風のヤシの木。不思議な感じがしていたのですが
これにも理由がありました。
ここに配置するかは、庭師も最初は躊躇したようです。
しかし、この木が、吉田茂が、
外交官時代に海外から贈られたものであり、
大切な樹木であることから、堂々と植えたのだそうです。
彼の生き様を、表す庭園なのですね。
鯉が泳いでいない池も、華美になるのを控えたのだとか。
まぁ、ガイドさんのネタは、尽きないので
この辺にしておきます。
大きな収穫は、建主の哲学、思想、生き様は
建築や庭の造りに現れるということ。
建主の器の大きさが、そのまま建築の器の大きさになるのだなぁ。。。
実現に向けて、建築家は苦労するというよりも、
ちゃんと翻訳できるかどうか。。。
庭にこだわった建主の建築から見える景色も建築の一部
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ダイニングからは、人工の滝も見える
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吉田五十八の前にも多くの建築家が関わり
吉田茂のわがままには、
うまく行かなかったエピソードも残されているようです。
やはり、ちゃんと要望、志向を把握して
ちゃんとディテールを考えて、
ちゃんと建主の満足の行くものを創らなくてはねぇ、と肝に銘じます。
ステンレス製の細い御簾
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真珠の粉を混ぜた襖紙。文様が薄く浮かび上がって。
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いつも、依頼主の大事な費用を使う先の建築であり、
内装であり、外構であるのですから、
そのことは心がけて来たつもりです。
それでも、もっと、もっと、
その方の奥深くにある希望や未来
そういったものも、引き出せたら良いなぁ。。。。
と、大御所建築家の、大物政治家の建築に触れて
改まった気持ちです。
自分自身は、足元を見据えたい気持ちが強く
浮ついたつくりは出来ないけれど
広く、長く、万人に愛される建築づくり、が目標です。
この旧吉田邸が再建できたのも、
市民に広く愛されてきたからこそだなぁと、
再建の経緯を伺ったりことと、
ガイドさんの熱の入り方にも感じます。
(ガイド仲間での建築解説談義も大いにされるそうです)
歴史的な建物を見学すると、残る建築、残らない建築、
生かされる建築、生かされない建築の差を
いつも考えてしまいます。
お城にしても、個人の邸宅にしても。
その建築の社会性、公共性みたいなものが、、、
備わっているかどうか
その辺りも、もしかしたらポイントではないのか?
と、先日の個人の邸宅を文化財まで引き上げる修復工事と
今回の再建を拝見して、考えました。
見学会の後は、残った有志で、
海水浴場発祥の地と言われる大磯の歴史や
切り通しの道路を隔て、旧吉田邸と反対の敷地にある
三井家の別荘地であった、今は解体されて立っていない建物の
木組みを、資料館で拝見したりして、
大磯の建築のことが、少しは分かったような気になりました。
久米式耐震木造のモデル。
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駅近の洋館は、レストランとして、活かされています。
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こちらも次回ぜひ、中に入りたいものです。
また、季節を変えて訪れたいですね。