せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

Go Toボランティアの夏 〜支援は、動中の工夫と、静中の工夫で〜

2020年08月18日 | 熊本便り

球磨川沿いの人吉、青井阿蘇神社の近辺 2020年8月15日現在

この夏は、Go Toトラベルではなく、
Go Toボランティアの夏季休業期間でした。

昨日まで、お休みをいただきました。
そこでブログは火曜日アップです。

球磨川の氾濫で被害を受けた故郷熊本の
木のものづくりの設計仲間のいる人吉は、

仲間の案内で、天井まで冠水した場所や、
被災状況、復旧作業現場、
名だたるボランティア団体の活躍なども
拝見させてもらいました。

↓建物が浮いて、道路にはみ出す住宅の基礎


浸水ラインは、くっきりと残っております。




これから、私たち建築士にできる
専門家ボランティアの活動内容を

他県からも支援に来られている
水害復旧ボランティアの方にも、
アドバイスいただきながら、
今後の対策を手探りしました。

例えば、伝統的な竹小舞は残したいが、
泥のついたままでは、汚染の心配もあり
洗浄して残すところと、撤去するところの選別など


別の日には、
やっと道路が復旧した
他よりも支援が遅れていると言われる
八代の坂本町に伺いました。

川にかかる鉄橋上まで、水が上がった氾濫があったことを示す爪痕。


まだ、まだ、泥がそのままのお宅で、
泥出しやゴミの分別のボランティアです。

私は、女性の多いグループで
女性でも出来る内容をさせてもらいました。

被災された方は、このような作業が
毎日続いているのかと思うと、
居た堪れなくなりました。

こちらへは、ボランティアバスで伺ったのですが
それまで車中でおしゃべりしていた面々も

現地に入ると、言葉を失うほど、
被災の状況は、大変に厳しいものでした。

流された橋


私たちは、小さな川沿いのお宅を担当しましたが、
日頃は、小さな沢が、豪雨では大きな被害をもたらすこと
2012年の九州北部豪雨でも見てきたのに、

また南部でも、同じことが起きていることに
ほぞを噛む思いです。

(ここでは、被災した方の家屋の写真は撮影しておりません)

これは気候変動だけではなく
山の手入れも確実に影響していると
私は考えています。

現地への支援という早急な対応と
長期的な森づくりのビジョンが欠かせません。

今年の夏は、これまで災害支援には
短期と長期のビジョンが必要と考えてきました。

この夏は、また、新しい視点を得ました。

熊本地震でも、設計活動という「静の活動」と
瓦礫撤去や実測調査という「動の活動」の
両方に携わりましたが

この休みの夜の読書で
お茶の祖「珠光」に関する本を読んでおり
そこに出てくる、禅の思想。

その中に、
「動中の工夫は、静中の工夫に勝る」
というものがあります。

禅の修行では、「静中」は坐禅、
「動中」は作務だそうです。

解釈としては、
動中」は作業しながら、
課題を考える。
それが、工夫というもの。

そうか!

やはり、現地で、被災した方と
同じ目線になることは必須。

体を汗まみれにしながらも
この災害という課題に向き合うことは
間違っていなかったと、
筋肉痛の自分を慰めたりしました、笑。

微力の身ですが
これからも、静動の両輪で活動していきます。

* * * * *

明日は、旧暦での7月1日、新月です。

旧暦でのライフワークの身としては、
今年も、いよいよ後半となります。

前半、様々に感じ、考えたことを
いよいよ実行に移すときでしょうか。

すぐにできることと、
じっくり取り組むことを
見極めながら、後半を過ごしたいと思います。

残暑厳しい折ですが、
みなさま、どうぞ、ご無理のありませんように。

焦らず、動と静の活動、
行動を、使い分けて参りましょう。

自費によるPCR検査にて、陰性結果でした。

2020年08月03日 | 熊本便り

飛行機からの風景

先週末、熊本入りしました。
今回は、1ヶ月と、長期滞在です。

高齢者の両親や、災害支援を鑑みて
PCR検査を自費で受けての、移動です。

29日に検査、30日に「陰性」結果が出て、
31日の朝のフライトで移動しました。

感染者の疑いがある方が、
検査をなかなか受けられないと
ニュースなどでも流れているので、
私が受けることが、診察の妨げにならないか
危惧もありました。

実際、横浜では、海外渡航者用の
陰性証明書を出す個人運営のクリニックが数件あり、
タイミングの合うところを選択できました。

一般でも受けられる体制が整ってきたなと感じで
検査を決めました。

もちろん、検査費用に、保険はききませんから、
それなりに費用はかかります。

医療現場の混乱を招かないためにも
むやみに受けるものではないと思います。

これから、必要に迫られ、
唾液による検査を受けられる方は
梅干し、持って行かれた方が良いかもしれません。

というのも、4時間飲食なしで、
急に唾液を10ccほどとると言われても
すぐには溜まりません。

梅干しを想像しながら、「酸っぱい〜」と脳に信号を送り
唾液を出すことを頑張りました。

もし、梅干しを持ってきていたら、
匂いをかいただけで
唾はいっぱいたまるのでは?
と、思ったからです。お試しあれ。

 * * * * *

熊本城も、ほぼ全貌が現れている復興現場
移動のバスより撮影


それにしても、人口に対する感染者の人数は、
実は神奈川県より熊本県の方が多い昨今。
移動後も、油断はなりません。

現場でもマスク、実家でも料理の際はマスク着用。
タオル類も別にしています。

まぁ、それでも、
今は無症状の方も増えているようなので
どこで感染するか、全く分からない状況ですね。

活動を止めてしまっても、
生活が成り立たなくなりますし。
しっかり免疫力をつけて、自粛しつつ、
出来る活動を進めて行きましょう!

移動後は、まずは、家の草刈りです。
汗だくで、蚊に刺されながらの、笑。
バッタも沢山、出てきました。

洗濯物干し竿に止まっているところをパチリ。



そして、5ヶ月ぶりに、
母の背中、肩のマッサージ。

昔から凝り性で、肩もみは日課でしが、
しばらくできていなかったので

なんだか、かわいそうなくらいに、
凝り固まっておりました。

肺も庇ってのことなので、
仕方がないのですが
腕が上がらなかったり、
痛み止めを飲んでいたりと

その中で、少しでも血流が良くなるならと、
もみほぐしました。

もちろん、素人では、根本的な治療には
なりません。
コロナを心配して病院も控えているので
家でできることを、
まずは、やってみるというところでしょうか。

それから、自家栽培の野菜で料理です。
インゲン入りの親子丼。きゅうりの酢の物など。
熊本晩柑もそえての昼食。


しっかり食べて、夏バテ防止!!

私も久しぶりに気持ちよい空気を吸えて
リフレッシュしました。

これから、熊本でしばらく
頑張ります。

もちろん、関東のお仕事もリモート対応です。
いつものことです。

お盆明けには、工事も始まるので、
その段取りと、最終見積もりチェックの最中です。

いよいよ、全国的に梅雨明けの季節。
皆様もどうぞ、ご自愛ください。


無事のフライトで現場監理へ 太陽と、満月と、雲と 〜山にビジョンを〜

2020年07月06日 | 熊本便り


先週は、熊本の現場監理に伺いました。
梅雨の雨のなか、出かける不安もありました。

なんだかんだと、天候がギリギリの事もあり
毎回ハラハラしながらも、
飛行機が飛ぶことを信じての移動です。

羽田を発つときは、曇りだったのが、
到着時には晴天の熊本。



ありがたいことに、現場では、
天候が良く、建物の周りも内部も
しっかりと確認できました。

監理内容は、改めて、綴りますね。

熊本を立つ際は、「球磨川が氾濫した!」次の日。

幸い、熊本市内は、曇り時々晴れで、
無事に出発しました。

雲の上は、晴れ。(topの写真)

その下で大雨が降っていると思うと、
大変な時に、故郷を離れてしまうことを、
心苦しく思いながらいたところ、、、

しばらくして、窓の外に現れたのは
なんと、満月!?(正確には、一日前の月)



今回、いつもの席
富士山と阿蘇山が見える側は、埋まっていたので、
反対側を取ったのですが、
これが逆にラッキーなことでした。

満月は、感謝祈りの日。

無事でいられることに感謝するとともに
これ以上の被害拡大がないように、、、
祈りました。

今回の令和2年熊本・鹿児島大雨災害は、甚大です。
やっと、熊本地震の復興が落ち着いてきた矢先。

今度は、南部の洪水に土砂災害。。。
本当に、いたたまれなくなります。

移動後は、親戚、友人、知人、そして仕事仲間
みなさんの安否確認でした。

中には、大きな被害を受けた方もおられます。
お見舞い申し上げます。

現在、固定電話、ネット回線が不通で、
携帯のみでのやりとりとのこと。

システムが稼働しないので、
キャッシュカードが使えず、買い物は現金のみ。

キャッスレスが、こういうときには裏目に出ますね。

私が一番悔しいのは、過去の洪水被害の教訓が
生かしきれていないことです。

例えば、福岡の朝倉で、今回と同じ
洪水や流木被害が出たこと。

早めの避難や、ダムの事前放水ができなかったものかと
悔やまれます。

一方で、自分も同じ立場だったら?
咄嗟の行動が、できる自信はありません。

突発的な時に
人は、フリーズしてしまったり、

自分は大丈夫という心理が
働いてしまうもののらしいので、要注意ですね。

日本には山があり、川があり、それが豊かな水田や畑を作り
食べ物が豊かである一方。こうした危険がつきまといます。

今回の、偶然の満月とのご縁のフライトで、
誓います。



これからの、まちづくりや地域おこしに
そして、森づくりビジョンなど、もっと、先手を打てるよう
活動していく所存です。

今、困っている人を助けること、
将来の困ることを生み出さないこと

後者は、結果がわからないので
生きている間に、賞賛されたり、
注目されたりということはないかもしれません。

しかし、それでも、
やはり、問題を考える、今、手を打つことが肝要かと思います。

球磨川は、、、治水に関して、
ず==っと先送りされてきた場所です。

甚大な被害をこれ以上出さないためにも
ダムに頼らない、そして、自然を甘く見ず、
きちんと保水力のある山に還していくこと、、、

2012年の九州北部豪雨の爪痕を体感した経験から
ずっと、問題を指摘していたこと、自分なりのビジョンも含め
今度こそ、熊本の山の具体的な整備に、提言していきます。

今、その検討メンバーに加えてもらえるよう
努力していることろです。この夏には、実現させます。

微力ではありますが、
問題意識と、理想を実現させたい想いを胸に
そして、未来の環境のあり方のために

これからも、尽力していく、、、
そう誓った、満月のフライトです。

来月には、道路状況も改善されるでしょうか。。。
支援に参りたいと存じます。

みなさま どうか、気落ちなさらず
少しでもお元気でお過ごしいただければと思います。

2020年4月_熊本営業日中止のお知らせ

2020年04月07日 | 熊本便り


昨日、当事務所のHPでお知らせしましたように、
今月予定していました、熊本出張を中止致しました。

打合せを予定してくださった皆様には、
直前のキャンセルにて、大変申し訳ありません。

首都圏からの他県への移動を、懸念する声が上がる中
また、移動しても2週間の待機を要望する自治体もあり

国の方より新型肺炎に関する「緊急事態宣言」が
出される方向で調整に入ったことを鑑みて、
今回の熊本行きは、中止とさせていただきました。

各方面の皆様には、
今後の対応の連絡を、順次させていただきます。

打合せ、現場監理に関しては、
メール、工事写真、電話、テレビ会議での対応で
乗り切りたいと存じます。

ご不便、ご面倒をお掛けいたしますが、
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

この度の飛行機は、新型コロナ対策の関係での
キャンセル扱いをしていただき、
飛行機会社には、手数料を無料対応して頂くことができました。
感謝いたします。

今は、できることをできるだけリスク回避で
対処したい所存です。

引き続き、感染防止へのご理解、ご協力を
よろしく、御願い致します。

みなさまも
どうぞ、ご無理のありませんように。


先達の知恵と労役に、今の無事な暮らしあり

2019年10月28日 | 熊本便り

↑高瀬船着場跡の石積みは今でも残っています。

先週金曜日に、熊本に戻りました。

羽田空港の天気は、荒れ模様。
フライトもかなり揺れましたが、
熊本空港に着く頃は晴れており、ホッとしました。

関東を離れ、移動したその後に入ってくるニュースでは
成田空港がまた孤立したとか、千葉の電車は運休など
大雨による被害がまた広がっている様子。

台風15,19号の被害に遭われた方は、
さらに追い討ちをかけられ、とても痛ましいです。

亡くなられた方には、ご冥福をお祈りするとともに
避難生活や片付けに追われている皆様には、
お見舞い申し上げます。

先のブログで、他人事ではない、と書きました。
熊本も過去には洪水県でした。

もちろん、今も川の氾濫ギリギリの時もあり
工事は、まだ一部で続いています。

川が多い=水が豊か=洪水も多い

その地形や、気候風土の歴史の中で、土木の神様と言われる
熊本城築城した加藤清正公のドキュメンタリー風ドラマが
ちょうど、昨日の日曜日に九州で、放映されました。

個人的には、治水の神様とでもお呼びしたい気持ちですね。
水を田に引くことと同時に、
洪水対策も行う知恵と実行力、
民の力の活かし方などが描かれておりました。

現代で言えば、城主は、県知事に相当します。
さて、現在の関東圏の知事の方はいかがでしょう。

どれだけ現代の工法で洪水対策を行っていても、
自然の猛威には逆らえません。

避難や防災の観点からも対策が求められます。
まだまだ備えが、万全とは、言えないのではないか。。。
そう映ります。

加藤清正の偉業は
自然利用の仕組み、堰や井手、
水田による地下水利用など
県下各地にその痕跡が残され、現役で活躍しています。

この土曜日に、
大河ドラマ韋駄天に関する施設や場所巡りをしたいと
東京から来た友人を案内する中、ここでも加藤清正の
堀替工事の跡に出会いました。



↑ドラマ「俵ころがし」の撮影場所は「高瀬船着場跡」

脈々と受け継がれてきた治水。

日頃は、遺跡の一つ程度にしか感じない自分を恥じつつ
有事の時には、本当に有難いことだと感じ入ります。

先達の知恵と労役に、今の無事な暮らしあり

と、感謝して日頃過ごしたいものです。



そして、微力ながら、
将来の山や川、海の美しさも損なわないよう
日本の木のものづくりに取り組んでいこうと、
改めて思うのでした。