この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

アフター・ウェディング。

2008-03-17 22:40:02 | 新作映画
 スサンネ・ピア監督、『アフター・ウェディング』、3/16、シアターCIEMAにて鑑賞。2008年13本目。

 こういった映画はレビューが書きにくいですね。
 何を書いてもネタバレになっちゃうんじゃないかって思っちゃって。
 出来れば予備知識なしに観るのが最善だと思うのですが、公式サイトを覗いたら、
「日常に潜む運命に絡めとられていく男と女の究極の愛のカタチ」はともかくとして「命の終わるのを知ったとき、大切な人に残したいものがある。」とか「愛は死なない。」とか平気で書いてありますよ。笑。
 一番目の宣伝コピーも出来がよくないなぁと思いますが(作品を端的に表しているとはとてもいえない)、二番目、三番目のやつを見るとこっちがどうネタバレなしにレビューを書こうか、頭を悩ませているのが馬鹿馬鹿しくなります。
 《ストーリー》インドで孤児院を運営するヤコブ。だが彼の孤児院は資金難により閉鎖の危機にあった。そこへデンマーク人の実業家ヨルゲンから巨額の寄付の申し出がある。しかし寄付には一つだけ条件があり、それはヤコブがデンマークへと赴き、ヨルゲンと直接会って話をすることだった。仕方なく生まれ故郷であるデンマークへと帰郷するヤコブ。話を早く終わらせようとするヤコブをヨルゲンは娘のアナの結婚式に招待する。嫌嫌ながら結婚式に出席した彼はそこで思ってもみなかった人物と再会するのだった・・・。
 (以下ネタバレ)
 さて、ここまで読んで、本作を未鑑賞の方に質問です。本作の主人公は誰だと思いましたか?
 え?ヤコブでしょ?違うの?と怪訝に思われるかもしれません。
 違うんですよ。本作の主人公はヤコブではないんです。ヨルゲンなんです。
 なぜヨルゲンがヤコブに巨額の寄付を申し出たのか?彼は慈善事業などにはこれっぽっちも興味がないのに。
 その答えが二つ目の宣伝コピーにあります。だからこのコピーは罪作りなんですよね。このことを一切知らなければ本作はより深く感動できるはずですから。
 いわば本作は『潜水服は蝶の夢を見る』と同じテーマなんですよ。
 つまり、自分の死後、大切な人のために何を残せるのか、ということ。
 『潜水服~』のジャン・ドーは二十万回瞬きをすることによって自伝的小説を残し、本作のヨルゲンは自分の代わりに家族を支えてくれるであろう人を見つけ出すのです。
 今だから告白しますけど、『潜水服~』はあまり感心しませんでした。確かにジャン・ドーが為しえたことはすごいのだけれど、それは例えば円周率を一千万桁暗記した、というのと同じで、ふ~ん、すごいね、でも、だから何?って感じだったんです。
 しかし本作のヨルゲンが為したことは命の限りを知った人間が出来ることとしては最善ではないのかと思え、素直に感動できました。彼の選択は尊いと思います。

 (以上ネタバレ終わり)
 まぁ涙腺や鼻水腺が決壊することはありませんでしたが。笑。
 感動作として非常によく出来ていると思います。
 個人的お気に入り度は★★★☆、客観的お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。 
 
 次回鑑賞は3/22公開、『死神の精度』の予定。でもこの映画、原作者が好きってだけで、ほとんど期待できないんですけどね。。。
コメント
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