この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

鵜呑みにするのもどうかと思われ・・・。

2008-08-18 23:59:11 | 戯言
 先日観た『闇の子供たち』はタイを舞台にした、幼児売春と臓器売買が題材の映画です。
 この映画を観ていて気になったのは幼児売春はともかく、本当に臓器売買も行なわれていることなのだろうかってことで、、、だってどこからか子供をさらってきて、心臓を取り出して移植するっていうんですから、それって殺人行為以外の何ものでもないじゃないですか。いくらタイでもそんなことはありえないんじゃないかと思って、帰って調べたら案外あっさり事実がわかりました。
 タイでは日本人への心臓移植自体行なわれたことがないそうです。
 このことは映画に取材協力をした医師自らが語っていることなので間違いないでしょう(詳しくはこちら。)
 つまり、タイで違法な臓器売買が行なわれているというエピソードは、単にお話を盛り上げるために作られた絵空事ってことですね。

 勘違いして欲しくないのは、何も映画の中で絵空事があってはいけない、っていいたいわけではないんです。そんなこといってたら映画なんて作れないですしね。
 でも昨日ざっと『闇の子供たち』のレビューが書いてあるブログを見回ったら、「タイでこんな残虐なことが行なわれていたなんて!生きたまま心臓を取り出される子供がかわいそう!!」みたいなことを書いてあるブログも結構見かけました。
 これはちょっと問題なのでは、と思いました。
 同じことがホラー映画でされていても問題はないんですよね。スロバキアのホステルでは会員制の殺人クラブがあって、そこでは夜な夜な旅行者が無惨に殺されているとか、そういうのは誰もまともには信じないから。
 でも『闇の子供たち』は如何にもこれは現実です、みたいな描かれ方をして、その演出がまた上手いものだから、鵜呑みにしちゃう人も出てくるわけです。

 結局これって作り手の良心の問題なのかも、って思いました。例え興が醒めることになったとしても、エンドロールの最後にでも「本作はいくつかの事実を基にして作られたフィクションです」とでもテロップが流されるべきなのではないでしょうか(一応館内が明るくなるまで席を立たなかったけれど、そういったテロップはなかったと思います。)。

 まぁ似たようなことは『崖の上のポニョ』を観た時も思いましたけどね。
 あの映画を観た子供が、飼っている魚に餌としてハムを与えちゃったら・・・。そしてそれが元で魚が死んじゃったとしたら・・・。(実際魚にハムを与えたらどうなるかは知りません。)
 そうなったときそのことを聞いた宮崎駿はどう思うだろうって意地悪なことを考えてしまうのです。
コメント (11)
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