辻村深月著『島はぼくらと』、読了。
辻村深月の作品はデビュー作である『冷たい校舎の時は止まる』からずっと追いかけてきました。
彼女の最高傑作はやっぱり『スロウハイツの神様』だと思います。
あの作品の最終章で明かされた真相には心底驚かされました。
何かが違うなと思ったのはどの作品からだったろう、、、決定的に受け入れ難かったのは『水底フェスタ』で、あれは100ページも行かずに読むのを止めました。
直木賞受賞作である『鍵のない夢を見る』も似たようなもので、読んだのは第一章だけ、その先は読もうという気になれませんでした。
以後、辻村作品を買うのは止めようと思いました。
今回『島はぼくらと』を読むに至ったのは図書館から借りることが出来たからです。書店の新刊コーナーに置いてあるのを見ても買う気にはなれませんでした。
実際読んでの感想は、うん、悪くないといったところかな。『水底フェスタ』なんかに比べたらずっと読み易いし、面白かったです。
ただ、自分が彼女の最高傑作だと思う『スロウハイツの神様』に比べると全然物足りないですね。
冴島という瀬戸内海の離島を舞台にした、四人の高校生の物語です。
特別劇的なことは起こらないのだけれど、彼らの日常が丁寧に描かれていて好感が持てます。読後感も悪くない。
そう、悪くはないんですよ、悪くは。でも突き抜けて良いという感じもしない。
前述の『スロウハイツの神様』だと読み終わった直後にもう一度読み返したいという衝動に駆られたのに、本作はそういう感じにはならなかったですね。
ちょっと引っ掛かったところを書きます。
第一章に似非脚本家が出てくるんですよね。彼は冴島にあるといわれる「幻の脚本」を我が物にしようとします。このキャラクターにまったく説得力がない。
誰もその存在を知らない脚本を自分が書いたものとして世に発表するというのなら、わからないではないですよ。でも彼が盗作しようとした「幻の脚本」はある程度島民に知られたものなんですよね。そんなものを盗作したって後々面倒なことになるのは目に見えてるだろうに…。
キャラクターに説得力がないので彼に関するエピソードは全部嘘くさいです。
また、最終章で四人のうち一人が飛び抜けて学校の成績が良いことがわかり、三人がそのことに驚くというシーンがあります。
それは、ちょっとありえないよな、と思いました。
隠れた才能があったとか、秘密にしていた趣味があったぐらいならわからないでもないですが、島内の同じ小学校、中学校に通って、それで成績が良いことを知らないってことがありえますかね?高校に入って急に成績が伸びた?だとしても、行きと帰りのフェリーの中でテストの成績を話題にすることはあるでしょうに、このシーンはとても不自然に感じられました。
それから、、、これは言っても詮無いことなのかもしれませんが、物語が偶然性に頼りすぎているような気がしました。
たまたま劇場で声を掛けてきたのが知り合いの知り合いで、、、というのはちょっとね。
現実にはままあることですが、現実にあるんだから物語の中でやっても構わないでしょと開き直られると鼻白みます。
というか、そういったことが鼻につかないように書くのが書き手の腕の見せ所だと思うのですが…。
何やかやと重箱の隅を突きましたが、全体的には悪くなかったです。
ただ、残念ながら本作を読んでも、また辻村深月作品を買うぞ!!という気にはなれなかったですけどね。次回作もまた図書館で借りようと思います。
辻村深月の作品はデビュー作である『冷たい校舎の時は止まる』からずっと追いかけてきました。
彼女の最高傑作はやっぱり『スロウハイツの神様』だと思います。
あの作品の最終章で明かされた真相には心底驚かされました。
何かが違うなと思ったのはどの作品からだったろう、、、決定的に受け入れ難かったのは『水底フェスタ』で、あれは100ページも行かずに読むのを止めました。
直木賞受賞作である『鍵のない夢を見る』も似たようなもので、読んだのは第一章だけ、その先は読もうという気になれませんでした。
以後、辻村作品を買うのは止めようと思いました。
今回『島はぼくらと』を読むに至ったのは図書館から借りることが出来たからです。書店の新刊コーナーに置いてあるのを見ても買う気にはなれませんでした。
実際読んでの感想は、うん、悪くないといったところかな。『水底フェスタ』なんかに比べたらずっと読み易いし、面白かったです。
ただ、自分が彼女の最高傑作だと思う『スロウハイツの神様』に比べると全然物足りないですね。
冴島という瀬戸内海の離島を舞台にした、四人の高校生の物語です。
特別劇的なことは起こらないのだけれど、彼らの日常が丁寧に描かれていて好感が持てます。読後感も悪くない。
そう、悪くはないんですよ、悪くは。でも突き抜けて良いという感じもしない。
前述の『スロウハイツの神様』だと読み終わった直後にもう一度読み返したいという衝動に駆られたのに、本作はそういう感じにはならなかったですね。
ちょっと引っ掛かったところを書きます。
第一章に似非脚本家が出てくるんですよね。彼は冴島にあるといわれる「幻の脚本」を我が物にしようとします。このキャラクターにまったく説得力がない。
誰もその存在を知らない脚本を自分が書いたものとして世に発表するというのなら、わからないではないですよ。でも彼が盗作しようとした「幻の脚本」はある程度島民に知られたものなんですよね。そんなものを盗作したって後々面倒なことになるのは目に見えてるだろうに…。
キャラクターに説得力がないので彼に関するエピソードは全部嘘くさいです。
また、最終章で四人のうち一人が飛び抜けて学校の成績が良いことがわかり、三人がそのことに驚くというシーンがあります。
それは、ちょっとありえないよな、と思いました。
隠れた才能があったとか、秘密にしていた趣味があったぐらいならわからないでもないですが、島内の同じ小学校、中学校に通って、それで成績が良いことを知らないってことがありえますかね?高校に入って急に成績が伸びた?だとしても、行きと帰りのフェリーの中でテストの成績を話題にすることはあるでしょうに、このシーンはとても不自然に感じられました。
それから、、、これは言っても詮無いことなのかもしれませんが、物語が偶然性に頼りすぎているような気がしました。
たまたま劇場で声を掛けてきたのが知り合いの知り合いで、、、というのはちょっとね。
現実にはままあることですが、現実にあるんだから物語の中でやっても構わないでしょと開き直られると鼻白みます。
というか、そういったことが鼻につかないように書くのが書き手の腕の見せ所だと思うのですが…。
何やかやと重箱の隅を突きましたが、全体的には悪くなかったです。
ただ、残念ながら本作を読んでも、また辻村深月作品を買うぞ!!という気にはなれなかったですけどね。次回作もまた図書館で借りようと思います。