この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

映画らしい映画だった『アメリカン・スナイパー』。

2015-02-24 22:22:05 | 新作映画
 クリント・イーストウッド監督、ブラッドリー・クーパー主演、『アメリカン・スナイパー』、2/21、ユナイテッドシネマキャナルシティ13にて鑑賞。2015年6本目。


 2015年は今作が劇場鑑賞6本目だったのですが、1本目の『バルフィ!人生に唄えば』を除いて、非常にビミョーな作品が続いていたので、もしかしたら2015年は映画の不作の年なのかな?って危惧していました。
 が、この『アメリカン・スナイパー』はすごくよかったです。
 実に映画らしい映画でした。

 映画らしい映画とはどういうことかというと、
1.主人公に共感できる。
2.ストーリーにメリハリがついていて、なおかつわかりやすい。
3.心臓をギュッと握られるようなドキドキするシーンがある。
4.結末が予想外。
5.鑑賞後、誰かと今観た映画のことについて語りたくなる。
 まぁこんなところでしょうか。
 クリント・イーストウッドはそれがよくわかっているなぁって思いましたよ。まぁイーストウッドも上から目線でそんなことを言われたくはないでしょうけれど。笑。

 映画『アメリカン・スナイパー』は、実在した伝説の狙撃手クリス・カイルの手記を原作としています。
 そう言われると、手記をそのまま映画化したのだな、と思われる方もいるかもしれませんが、そうではないのです。本作のかなりの部分は創作なのです。

 例えば実際のクリス・カイルには虚言癖があり、そのせいで幾度となくトラブルを起こしていたそうです。
 映画では彼のそういった面は(精神的に不安定だったところは描かれても)触れられていません。
 もちろんそれで正解だと思います。
 誰も虚言癖を持つ男の手記を元にした映画には興味がないでしょうから。

 また、映画の中のイスラム側の狙撃手ムスタファですが、彼は原作には名のみ一行登場するだけなのだそうです。ムスタファに関するエピソードはすべて、クライマックスの超長距離狙撃を含めて、イーストウッドの創作であると言ってよいでしょう。

 自分はそういったことを責めているのではありません。むしろ、映画を映画として面白くするためであれば、事実を脚色するのは当然だと思っています。
 事実を基にした映画は決して事実そのものではないのですからね。

 もちろん何事にも限度はあるので、あまりにも事実を捻じ曲げすると作品に説得力が無くなり、引いてはリアリティが失われてしまいます。
 イーストウッドはそこら辺のさじ加減が絶妙だったと言えると思います。

 イーストウッドに関して感心したのはそれだけでなく、やはり彼の年齢ですね。御年84才ですよ。
 世の84才の老人といえば、膝に猫を乗せ、日向ぼっこをしているのが常ではないでしょうか。
 そんな老人たちにこそ『アメリカン・スナイパー』は観て欲しいですね。
 やべぇ、日向ぼっこしている場合じゃねぇ!って気づくんじゃないかな。笑。

 イーストウッドにはこれからも傑作をモノにし続けて欲しいです。


 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★★は五つで満点、☆は★の半分)。
コメント
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