この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

これは実話です。

2015-08-04 20:50:36 | 戯言
 これは、私の友人がライフセーバーの男性から聞いた実話です。

 という書き出しで、ある日のミクシィニュースに怪談噺が載っていました。
 その怪談噺はそれなりにゾッとするものではあったんですが、自分は書き出しの一行でげんなりしちゃいました。
 このお話にはまず語り手である“私”がいます。
 “私”が誰からこのお話を聞いたかというと“私の友人”からです。
 その“私の友人”はこのお話を“ライフセーバーの男性”から聞き、さらにその“ライフセーバーの男性”も当事者というわけではなく、“別の誰か(もしかしたら当事者)”から聞いているのです。
 つまり、このお話が実話であるためには、最低でも“私”、“私の友人”、“ライフセーバーの男性”、“別の誰か”の4人(もしくはもっと多くの人間)が正直者である必要があるのです。
 こんなことを言うと実も蓋もないですが、世の中ってそんなに正直者ばかりですかね?4人いれば一人ぐらいは嘘つきが混じっていそうなものですが。

 まぁ仮に4人が正直者だったとしても、人から聞いた話を一言一句間違いなく別の人に伝えられるかというと、専門的な訓練でも受けてない限りそれは無理な話です。
 伝言ゲームみたいなもので、人伝で伝わっていくうちに少しずつ変わっていくのが当たり前です。
 だから、最初に“別の誰か”が話した話と、“私”が話す話とではかなりの部分が違っているはずなんです。
 にもかかわらず“私”が話す話は本当に実話といってよいのか?
 「実話」と紹介してよいのは当事者の実体験のみだと思います(それでも本当に実話なのかどうかはわからないのだけれど)。
 人から聞いた話を「実話」として紹介するのは、これから話す話は作り話ですよ、といってるようなものではないでしょうか。

 というようなお話を亡くなった祖父の友人の山田さんの隣りに住んでいた竹下さんの同級生の江口さんの幼馴染みの安藤さんの勤め先の社長だった水元さんの仲人をした新城さんの釣り仲間だった末広さんの妹婿だった三好さんの恋敵だった田端さんとは縁もゆかりもない松本さんから聞きました。

 これは実話です。
コメント (2)
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