この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

年末年始に読んだ本。

2019-01-08 22:13:14 | 読書
 森見登美彦氏の『熱帯』をギリギリ2018年のうちに読み終えました。
 ぶっちゃけ面白くなかったです。
 森見登美彦氏のこれまでの著作の中で一番面白くなかったような気がします。
 章ごとに語り手が変わるのですが、ただ読み手を混乱させるためだけに語り手が変わっていっているように思えました。
 500ページを超える長編なのだけれど、結局最後の1ページになってもお話がまるで進んでいない、そんな印象を受けました。
 作者としてはそういう作品を狙ったのかもしれないけれど、それが上手くいっているとはお世辞にも言えないと思うなぁ。作中の伏線(っぽいもの)がほとんど投げっぱなしだったし。
 これ一作で見限ろうとは思わないけど、森見登美彦氏には更なる精進を期待したいです。

 2019年になってから一冊本を読みました。
 去年の12月、『このミステリーがすごい!2019年版』を買って、そこで紹介されていた『探偵AIのリアル・ディープラーニング』というミステリーを買いました。
 この作品を購入したのは殊更興味を引いたからというわけでなく、『このミス』の国内編にランキングしている作品の中で唯一文庫だったからというのが理由なんですけどね(3位の『錆びた滑車』はシリーズものだったので買わなかった)。

 で、読み終わったのがこれかというとそういうわけでなく、一緒に買った『田島春にはなりたくない』だったりします。
 こちらの方は「鬱陶しい正論モンスター」がヒロインということで「へぇ」と思って手に取りました。
 自分も正論を吐いて人から嫌われることが多々あるので。笑。
 想像していた以上に面白かったです。
 確かにヒロインの田島春は鬱陶しいんだけど、でも魅力的で可愛いんですよ。
 
 この作品も章ごとに語り手が変わり、それぞれがそれぞれの立場から田島春について語るのですが、この作品では語り手が変わることにきちんと意味があり、特に第二章は「え?この人が語り手になるの?」と驚かされました。

 第三章が一番完成度が高かったかな。この章の意外なオチには感心しました。
 ただ第四章になると「あれ?」って感じで、最終の第五章となると明らかに出来が悪くて、、、どうしたのかと思ったら、どうやら執筆順で話が進んでいるわけではないらしく、第五章が一番最初に執筆されて、そこで生まれたキャラクターをヒロインに据えて話が書かれたみたいです。

 そのことを知って逆に「ほぅ」と思いました。
 この短編集はそれほど長い時間をかけて書いたものとは思えません。
 つまりそれほど長くない時間に、これほど上手く話を書けるようになったのであれば、この作家には期待していいのではないか、そう思ったんですよね。
 
 ともかく、『田島春にはなりたくない』は2019年の年頭に読むのには相応しい作品だと思いました。
 作者の白河三兎はもう少し追いかけてみるつもりです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする