月曜日からプレシーズンを開始したバレンシア。同じ日、バレンシアの会長マヌエル・ジョレンテはマドリーのとあるホテルにて、ビジャと会談を行いました。他に同席したのはハビエル・ゴメス副会長、ビジャの代理人タマルゴ、ビジャの父親。その後、マヌエルジョレンテはプレスに向けて、ビジャは移籍不可能選手であること、「スキャンダラスなオファー(5000万ユーロ、一部報道では6000万ユーロとも)」でなければ移籍交渉には応じないこと、を発表しています。
ホテルでの会談に臨んだビジャの様子や思惑については、こんな感じで報道されています。
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月曜日の会談は、ビジャがバレンシアに対して、チームを離れるように要請するための第一歩となった。マドリーのとあるホテルで行われた会見には、マヌエル・ジョレンテ会長とビジャの他に、ハビエル・ゴメス副会長、ビジャの代理人タマルゴ、ビジャの父親が出席した。
ビジャの希望は、バレンシアを出ること。時間をかけて検討したうえでビジャが出した答えがこれだ。しかしビジャのこの姿勢は、バレンシア側にとって好ましいものではない。ジョレンテ会長はビジャに対し、ビジャはクラブのプロジェクトで重要な位置を占める存在であり、レアル・マドリーに対して拒否したのと同様、バルセロナにも売り渡すつもりはないことを告げた。
今回の会談は、ビジャの要請で行われたもの。ビジャは、バレンシアを出るという方向で話を進めて欲しいと求めた。現在ビジャにその意思はないが、ビジャにしてみればプレスカンファレンスを開いて自身の意思を表明し、クラブに圧力をかけることもできる。
最新のオファーは、バルセロナから4000万ユーロ、というものだったが、バレンシア側は引き続きビジャの移籍を拒否。マヌエル・ジョレンテは「スキャンダラスな額のオファー」を希望、大きな移籍を実現するだけの額をバルセロナが準備できるだろうと見ている。
一方、バレンシアの首脳陣は、新しい筆頭株主であるDalport Investmentsなる組織のプレッシャーを強く感じている。先週、バレンシアの首脳陣は、Dalport Investmentsの介入を拒否したが、裁判沙汰になる可能性があるため(おそらく法的にはソリアーノ、Dalport側にいろいろな権限がある)、現在のクラブの責任者たちにはスポーツ面での重要な物事(チームで重要な選手たちの売却など)を決定することができない。
ジョレンテ会長は、代理人のみとの会談を拒否し、ビジャと話し合うことを強く希望。ビジャ自身もこの会談を望んだ。1年前、レアル・マドリーとの交渉の際のフラストレーションのことがある。タマルゴ代理人の手数料の問題で、合意に至らなかったという経緯がある。この際、ビジャは非常に立腹し、以降そのようなことが起こらないように移籍の問題を扱っている。
会談から戻ってきたジョレンテ会長は、会談の内容を評価することは拒否。「私たちは印象や意見の変化を感じている。ビジャはチームにとって重要な選手であり、彼に注意していく義務が我々にはある。」
しかしビジャはこの事態にナーバスになっている。望んだ移籍が成立しないまま時間切れになってしまう可能性があると見ているからだ。一旦は合意しながら流れてしまった、レアル・マドリーとのケースのように。
既にビジャはグアルディオラ監督と話をし、彼のプロジェクトを知らされている。またグアルディオラは、ここまでリベリ、ベンゼマ、フィリペ・ルイスと望んだ移籍が成立していないことで、クラブ首脳陣にプレッシャーをかけてもいる。バルセロナがトレーニングを開始する月曜日までに、ビジャの獲得を希望している。
バルセロナに、先ごろマドリーに起きたのと同じ自体が起こるなら、つまりバレンシアがビジャを移籍不可とするなら、バルサはプランBに写る。つまり、ディエゴ・フォルランの獲得に動くということだ。これはメスタージャのクラブを離れたがっているビジャにとって、一番恐れている事態となる。
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なかなか事態が進まないことに業を煮やしたカタラン系新聞の想像記事か、と思いきや、この記事はバレンシアの地元紙、las provinciasのもの。どこかよそで書かれたものをコピーした、というわけでもなさそう。少なくとも、ビジャが現時点でバレンシアを出て行く意思があること、出て行くとしたら行き先はバルセロナであること、バルセロナ側とビジャは既にコンタクトをとっているようであること、バレンシアは今のバルサのオファーではビジャを出す意思がないこと、この辺りは真であると見て良いのではないかと思います。
バレンシア側とビジャとの間には、少なからぬ考えの違いが出てきているように取れますね。ちょっと他人事な言い方をすれば、バレンシアはまたヘタ打ってしまったな、という印象。この先、バルサがバレンシアの希望通りの額(5000万ユーロ以上)を支払ってビジャを獲得するのでない限り、どうなっても、どこかにわだかまりができてしまうでしょうから。
ビジャは本当にバレンシアを出て行きたいのか。今となっては、YESだろうと思います。マドリーとの話が出ていた頃から、バレンシアに金が必要で選手が売られなければならないのなら、移籍もやむなしという考えはおそらくあったと思います。その時点では無理にでも出る、とは考えてなかっただろうと思いますが、一旦バレンシアを出た自分について考え、今シーズンバレンシアでは経験できないCLで戦うこと、スペインを代表するビッグクラブで戦うことについて考えたりしたら、そのイメージを簡単に捨てるのは難しいだろうと思います。しかも、実際にバルサからオファーが来ている。でも現時点で、それは実現が難しそうで……。
もしこの先、移籍不可のままバレンシア側、ジョレンテ会長側が折れず、バルサがビジャから手を引くことに決めたら。ビジャは、移籍するならスペイン国内のみとしていましたし、めでたく残留となるでしょう。一旦は、クラブから離れることを決めた選手を引き止めることになるわけですが。ビジャなら、だからといって意図的に問題行動を起こしたりなんてしないとと思いますが、希望がかなえられなかったことを、ビジャが割り切れるか。
バレンシア自体もビッグクラブと言えるし、残留すれば今期もビジャは最重要選手として扱われるでしょう。でも、バルサとなれば、ビジャにとっては更なるステップアップ。それをビジャが希望している。ビジャの意図、グアルディオラとの接触もあったことなどが明らかにされているのは、クラブ側は外に出したくなかっただろうけど、これはこの話を進めたいビジャ側(代理人か?)からのリークである可能性も考えられます。この乖離はうまく埋められるんだろうか。
ちなみに、と付け加えておきますが、こんなふうな意見の食い違いはありつつも、ビジャとマヌエル・ジョレンテ会長との関係は良好なのだそうです。スーペルによれば。
おまけ
3日ほど前にスーペルに出ていた、ビジャのこんな記事。読者から送られてきた山のような質問に、ビジャが答えていくという企画のようです。いつ頃のかなー。今のような移籍のシリアスな話題がでるより、もっと前の頃のものだと思うんですが。だいいち、画像ではビジャがセーター着てるし……。
何が言いたかったかというと、最後のほうにこんな質問&応答があるのです。
Q:一緒にプレイして、一番印象深かった選手は誰?
V:一番印象深かったのは、ビセンテだよ。僕がバレンシアにやってきたシーズンのトレーニングで、本当に印象的だった。。彼と同じような選手は見たことがないよ。GKではパロップ、彼の能力には多くの部分で驚かされた。そしてライネス、どの試合でも膝にプレートを入れたままプレイし、毎週僕たちを助けてくれた。彼は28歳で引退したんだ。驚くほどの能力だと思う。ディフェンス?ラウル・アルビオルの成長だね。あとフォワードは…モリエンテスだ。ピッチの中でも外でもね。
モリエンテス、って言いたかっただけです。そのモリエンテスは、どこへ行くのかもはやさっぱり……(ごく最近のニュースでは、チリ方面から興味をもたれているらしいです。本当にもう、さっぱり……)