ニセコから昆布に向かっていた。北海道旅最後の温泉に浸かってから札幌へ向かおうと思っていた。
ニセコから昆布は思いの外距離があり、寒さもあって、すっ飛ばしていた。
多分、昆布の標識に気を取られていたのだろう。
あっ、と想った時には遅かった。Y字の合流。優先道路はこちらではない。つまり、こちら側が一時停止。結構なスピード、止まれるわけもない。
一時停止は出来ないが、合流線を通り過ぎながら右側の安全を確認する。
車は来てない・・・良かった。でも・・・視界の隅に待機しているパトカーが映った。
ガーンm(。>(ェ<)。)m
バイクは惰性で進んで行く。今更止まれもしないのだ、そのままアクセルオン。ミラーを覗く。
・・・やっぱりね。・・・パトカー発信!
もう観念するしかない。
パトカーが追い付いて来る前にバイクを路肩に停め、エンジンを止め、ヘルメットとグローブを脱ぎ、バイクを降り、振り返り、パトカーに向かって歩いて行く。
人間、諦めが肝心である。なんにしても、言い訳のしようも文句の付けようもない。完璧過ぎる一時不停止である。
さぁ、覚悟は出来ている。さぁ、逮捕してくださいってなもんだ。
パトカーから降りて来たお巡りさん。色々と聞いて来る。例えば、一時停止の標識が見えなかったか?とか。
正直に答える。全然見えなかったと。でも、それは自分の落ち度だと。気づいた時には遅かったと。
免許証の提示を求められ、パトカーに乗るように促される。
いいのいいの、自分が悪いんだから。覚悟は出来てるの。このまま留置場に入れられても、文句は言えないの。
京都で駐禁の切符を切られた時も、最終日だったなぁ・・・。今回も、最後の最後で切られちゃうなぁ・・・。節約節約で来たのになぁ・・・台無しだなぁ・・・。とかね、色々思いながらね、パトカーの中。
なんにしたってね、この二ヶ月、北海道の旅は楽しすぎるくらいに楽しかったわけで、最後の最後に切符を切られたってそれが変わるわけじゃないわけで、これもいい思いで、話のネタになるんだなぁ・・・と思いながらパトカーの中。
温泉に入りに来て捕まって、悲しいから温泉に入らないで帰ったら、ただ捕まりに来ただけみたいになっちゃうから、やっぱりここは温泉に入って、しっかり温まってから帰ろう・・・と思いながらパトカーの中。
結末?・・・それはちょっと、ここでは言えない。
ただ、ただ、ただ・・・ラッキーボーイは健在なり。温泉は気持ちいいなり。北海道は大好きなり。
ここでは、そうとだけ伝えておくよ。
写真は、昆布駅の近くの温泉。幽泉閣。