豊頃のノノサン宅にて。
ノノサンの家の壁には、写真がたーくさん貼ってある。
四ヶ月の間、ノノサンが家に招いたライダーや旅人たちの写真とか、家族の写真とか。
「これ、誰ですか?」と僕が聞く。
「えっ?どれ?・・・おれだよ!」と、ノノサンが答える。
「えっ?ノノサン?えっ?これノノサンなの?」
サラリーマン時代のノノサンの写真。
「あははは」と僕は笑う。
「ノノサン、ちょー若返ったじゃん!」と、失礼にも僕は笑う。
新潟の小さな町の病院の隣の公園の芝生の上で。
隣に座って陽射しを浴びるノノサンに僕は言う。
「ノノサン、また若返ったね」
「そうかなぁ?」とノノサンは照れる。
ノノサンは生きてるなぁ、と僕は想う。
生きてるから輝いてるんだなぁ、と僕は想う。
ノノサンは真面目に働いてきた人で、真面目に働いて来なかった僕とは、人生の歩み方がまるで違う。
ここまでの歩み方はまるで違うのに、今居る場所はそれほど違わない気がする。
なんとなく、同じ風景が見える場所にいる。
ノノサンみたいになりたいなぁ・・・と、僕は想う。
僕の知らない世界を、ノノサンは先に歩いてる。僕が進む未来を、ノノサンは今歩いてる。
ノノサンみたいになりたいなぁ・・・と、僕は想う。
「まだ三時間くらいは走れるな。これから長野まで行くから、そろそろ行くよ」
そう言って、ノノサンは腰を上げる。
タフだ。460キロ走って来て、これからまた200キロ近く走ろうというのだから。。。ないない。ないない。おれだったら、疲れ果ててここで寝る。
「また会おうね」
また会おうねっていう言葉が、僕は好きだ。
絶対に会おうねっていう意味の「また会おうね」っていう言葉が、僕は好きだ。
来年も、再来年も、僕が旅を続ける限り、ノノサンが旅を続ける限り、会える気がする。
土手の上から、ノノサンが手を振る。
「かっこいいなぁ、ノノサン」
手を振りながら、僕はつぶやく。
「お見舞い金翼ライダー」おわり。
ノノサン、ありがとう。